小説の中にジュブナイルというジャンルがありました。
ジュブナイルという言葉の本来の意味は「少年期」で、小説の場合は児童あるいはヤングアダルト向き作品のことを指します。
現在はライトノベルという言葉に置き換わっているようです。
中学生の頃、そうした作品群の中でSFジュブナイルというのが好きで色々と読んでいました。
有名どころでは眉村卓氏の「ねらわれた学園」とかでしょうか。
薬師丸ひろ子さん主演で映画化されましたね。
そして、更に有名なものとして筒井康隆氏の「時をかける少女」という作品があります。
これも中学生時に読みましたが、高校生の頃には原田知世さん主演で映画およびドラマ化されました。
映像化はあまり見ませんでしたが、かなり人気作だったように記憶しています。
その後も1997年に映画化、他に何作かドラマ化されたようですが、これらはあまり憶えていません
あくまでこれまでの作品同様、原作小説の映像化でストーリー的に目新しさもなさそうで興味がわかなかったのでしょう。
しかし更に最近、2006年にアニメの映画、2010年に実写の映画が作成されたのですが、それらはどうやら作者公認で原作小説の続編という体裁をとっているということで、ちょっと気になっていました。
そのアニメ版の方を今年後半に民放やWOWOWで放送してくれたので、見ることが出来ました。
原作の舞台は1972年で主人公は芳山和子という当時中学3年の少女でした。
この映画の舞台はもちろん2000年代。
主人公はこの「真琴」という高校2年の少女です。
左が原作主役の芳山和子で、真琴はその姪という設定となっています。
大間かなストーリーとしては真琴が前作の和子と同様に、アクシデントからタイムリープ能力を獲得してしまう。
その関係で未来からやってきた少年と淡い恋愛的交流をし、最終的には生きる時代の違い故に別離を経験するという、この手のタイムトラベルものの定番的展開となっています。
面白かったのは前作主役がタイムリープ能力を持ったことに対して恐れおののき、能力がなくなることを望むのに対し、今作の主役はいかにも現代っ子という反応を示すこと。
最後はきちんと泣かせる展開になっていましたけれど。
この作品がなかなか楽しめましたので実写の方も見てみたいと思い、こちらはDVDをレンタルしてみました。
こちらの主演は仲里依紗さんという、最近かなり人気のあるスウェーデンクォーターの女優さんです。
アニメ版で主人公真琴の声優を務め、そのまま実写の主役に抜擢されたようです。
こちらの主人公は「芳山あかり」といい、左の安田成美さん扮する「芳山和子」の娘という設定でした。
アニメ版の方は若干設定に変更が加わっており、芳山和子が純粋に前作の主人公の後の姿とは言い切れない感じになっていましたが、こちらは本当に前作の36年後ということになっているようです。
母親が36年前に未来から来た少年と交わした約束を果たすために作り上げたタイムリープするための薬を使い、母の代理として主人公が過去に飛ぶ。
飛んだ過去で勝手がわからず困り果てた主人公を、たまたま出会った映画監督を目指す男子大学生が協力し、母の約束を果たすために駆け回るというストーリーです。
主人公が1970年代の大学生に、自分が未来から来たことを証明するために携帯電話を見せるシーン。
現代の女子高生と「神田川」時代の学生のやりとりがなかなか面白い。
こちらも別離を前提とした恋愛模様が描かれており、ラストはなかなか泣けるものとなっています。
どちらの映画もなかなかよかったですね。
ただ本来のストーリー以上に楽しめていたように思うのはやはり前作の存在があり、その後の世界が描かれている前提があってというのはあると思います。
ということで、中学時代以来30数年ぶりに原作を読みかえしたくなってしまいました。
実家に帰ればどこかにあるはずなんですけどね。
取りに戻るのも大変だし、そもそもどこにあるかわかりませんので新たに購入。
表紙は2006年のアニメ映画時に新装となったようですから、まあそれなりに買い直す価値はあるかな。
ということで今年の136冊目で、さすがにこれでラストでしょう。
筒井康隆氏作「時をかける少女」
今年のブログもこれでラスト。
来年もよろしくお願いします。