ホイッスルバード あいざわぶん

「ミンタロ・ハットの主・佐藤氏は上品の人」の巻

12月2日から宿泊して丁度一週間目の夜。
妹から電話が来て、明日の正午に母の担当医師から
説明(IC)があるとのこと。

・ ・・ああ、いよいよか・・・

と思ったのだが、いざ行ってみると単なる現状説明
だった。

母はいつ死んでもおかしくはないのだが、このまま
暫くは頑張り続けるのかも知れない。
天候も悪いので、5日後の金曜日に松山に帰ること
にする、と妹に告げたのだった。
妹も全てに納得をしていて、私の生活のことを心配
し始めたようである。

一方、山形の友人は東京まで車を買いに行く可能性
が出てきたから私の車に便乗させてほしいと言う。

火曜の朝、その友人から電話が来て、車購入の件が
決まったので三重県・桑名市まで乗せて行ってくれ
と言う。
もう少しで洗濯機に洗濯物を入れるところでの電話
だったから、友人にはツキがあったようだ。
了解をして帰途の準備を始めたのである。

約束の時間まで、まだ一時間あるので、玄関に出て
煙草を呑んだ。
近所の野良猫母仔が来て、腹が空いたとアピール
をする。
この母仔はミンタロ・ハットの佐藤さんから世話に
なっている猫である。
だが避妊手術の他、何処まで世話になっているのか
私には判らない。
しかし啼き方で腹が空いているのは私にも判る。

・ ・・もうすぐ私は帰る。少しだけ餌を・・・

そう考え、スプーン二杯分の餌を持ってきて彼女ら
に与えたのだった。
二匹は想像通り、唸りながら食らいついた。
佐藤さんに訊いてから与えるべきだったのかを思い
ながら玄関内に入り、スリッパを履こうとした瞬間、
左足の親指を思い切り内側に捻ってしまった。
体重を全てかけた格好だから、親指はアッという間
に膨れあがった。

・ ・・佐藤さんに別れの挨拶はやめよう・・・

そう決心し、午前9時半にミンタロ・ハットに別れ
を告げたのだ。

さて、私がミンタロ・ハットに宿泊したのは偶然か
必然か。
大分の友人は、この世に偶然は無く全て必然だ、と
私に言ったばかりである。
・ ・・そんな莫迦な。偶然もあるだろう・・・
と私は思ったが、今回の出会いは偶然ではないよう
な気がしてならない。
そう思いたいのである。

友人宅に向いながら、私は上品・下品のことを頭に
浮かべていた。
ジョウヒン・ゲヒンではなく、ジョウボン・ゲボン
と読む。
ジョウヒン・ゲヒンは見掛け、立ち居振舞いのこと。
ジョウボン・ゲボンは心の在り方だ。
もしかしたらミンタロ・ハットの佐藤さんは、この
上品の人ではないか、と思ったのである。
だとしたら私は、久々に上品の人に出遭えたことに
なる。

私が佐藤さんを誉めるので、佐藤さんは奥さんに
その話を聞かせたらしい。
すると奥さんの由美さんは、「あなたのことをよく
知らないからよ」と笑いながら言ったと云う。
「いやいや由美さん、それは灯台下暗し。ことの
本質は他人の私の方が解る場合もある」と彼女に
伝えたかったのだが、見るからに恥ずかしがり屋の
女性だから、私は言わずに去ったのである。

今度ミンタロ・ハットに行く日が来たら、奥さんの
由美さんと話をしなければならない。
庭の古木から採れた梅酒と、由美さんとの会話は、
次の楽しみに取って置くことにした。

遠回りして長々と書いてきたが、私が一番言いたい
ことは、山形のゲストハウス「ミンタロ・ハット」の
本当の良さは、主の佐藤英夫氏は上品の人である、と
いうことである。
そして良質のコーラスを求めてやまない音楽屋である、
ということである。

松山に移住してから山形の凄い男に出会うとは、全く
残念でならない。
下品(げぼん)から抜け切れぬ私は、遠く松山から
眺めていることにする。

写真1はミンタロ・ハットのペレットストーヴ。
写真2は下品(げぼん)から抜け切れぬホル君。



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