ホイッスルバード あいざわぶん

原付が行く しまなみ海道 続編

原付が行く!しまなみ海道(続編)
五月とは雖も、バイクに長時間乗ると疲労が溜まる。
そして寒さ対策を怠ると、とんでもないことになるのは
承知している。高校の三年間は三台のバイクを所持して
いたくらいだから、これは当然のことなのだ。
下は厚手の靴下とジーンズ。上は半袖のアンダーシャツの
上に長袖のトレーナー。そして忘れちゃならない手袋。
その上、上下共にウインドブレーカーを着てきたのだが、
午前中はまだまだ暖かいとは言えない天候だった。
ところが、高い陸橋の上に出て海峡を渡り始めると暖かい
風が身に吹きつけ始めた。これは何よりありがたい!

高さにビビリながら橋を走ること10分で、大島に到着。
くるくる回りながら本道から外れて島に着陸したのだった。
すると直ぐ道の駅があり、トイレタイムと珈琲タイム。
窮屈だったヘルメットを脱いでトイレに行くと、なんと
入り口の高さ2mの壁に燕が抱卵しているではないか。
人間が燕に悪さをしないことを親子何代にも亘って確実に
学習していることが理解できる。全く逃げる気配なし!
さすがにカメラを向けたらこちらを意識したが、一枚だけ
頂戴することにした。(写真1)

道の駅は港に併設されているので、いま降りてきたばかりの
橋が見渡せる。橋からバイクでクルクル降りてきたループも
見える。(写真2)向こうが今治市であるが、大島も今治市
である。
平日なので道の駅は閑散としており、私の他には老夫婦が
一組だけ早目の昼食をいただいているようだ。
私はのんびり派だから閑散とした店でも平気だが、賑やかさ
が好きな人は少々寂しく感ずるかもしれないな。

島の中央を縦断するメインストリートを15分ゆっくり走ると
反対側の港に出る。左手に行くと伯方島へ向かう橋が見えたので
写真3とする。
右側には船が海に出られるようななだらかなコンクリ打設がして
あったので、靴下を脱いでちゃぷちゃぷ水遊びをした。

大島は鯛の島。今はのっこみの季節で、鯛の卵はかなり貴重品。
我々庶民の口には到底入らない代物で、先日テレビで観て生唾を
呑んでおしまいである。
因みに土産売り場で見た約一尺の鯛で作った燻製は5250円也。
目の前の海では鯛の手釣り漁が行われている。声を掛ければ簡単に
届きそうな距離である。(写真4)

先ほどの港より、こちら側の港の方が大きく、島民も生活の基盤を
置いているようだ。何しろ港に歯科医院とスーパーがあるからね。
バイクをトコトコ走らせていたら、お婆ちゃんが1m以上もある
立派な太刀魚をぶら下げて歩いている。
写真に撮ろうかと思ったけど、観察する方を優先して断念した。

大島では昔から石を切り出しており、大島石として有名らしい。
石切り場は遠くからの写真5となったが、現在は観光客も現場に
入って実際に大石を切れるそうだが、土日祭日のみ可能で料金は
1000円とのこと。ピックで何箇所も穴を空け、楔(くさび)を
打ち込んで割る方法だ。

木陰で30分の昼寝をしてから「じゃこ天うどん」を食べ、大島を
出発した。
帰りは海沿いの道を選択。距離にして松山までは僅かしか違いはない。

帰路で思いついたのだが、原付バイクで本州に渡るのは格安である。
ならばキャンプ道具を付けて山口の萩市に二泊三日か三泊四日の旅に
行けば、総額5000円程度で済むのではなかろうか。
かつて萩市を訪れたのは二十歳の頃であり、山陰本線を列車で旅した
のだが、先を急いでばかりで充分な見学をしていない後悔がある。
これは楽しみが出てきたぞ!と思っているうちに尻が痛くなってきた。
原付は見た目にはソフトシートだが、ロングラン対応のバイクでは
ないので、尻が苦しいバイクなのだと理解した。しょうがないな~。

前を走る車が飛び立った雀とぶつかり、私の前に死んだ雀が降ってきた。
行きも帰りもツライ出来事である。
今朝見たあの小犬は今頃どうしただろうか。

私はバイクで事故を起こしたくないので、何処でもスピードを
出さない。けれど自転車のスピードは私の原付バイクより速い。
徒歩も自転車も原付バイクも、島に到着すれば必ず高速道路を
一旦降りて島の道を走らなければならないのだから、島民の生活
レベルを意識する必要があるだろう。
島民は思っている筈である。「何やら近頃は危なっかしいなあ」と。

どんな小さな旅でも、旅人は静かに訪れ、静かに去るべきである。
乗り物に乗れば直ぐに酒をあおる悪い習慣を持つ日本人には到底
無理な相談なのかもしれない。しかし民度の高低はそういうところで
見透かされるのである。
旅の恥は掻き捨て・・・なんて、今の時代には通用せんよ。









名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ノンジャンル」カテゴリーもっと見る