奥州初老カメラ小僧

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秋に聴きたい音楽 NO.1(Ⅱ)

2012-09-26 20:44:03 | インポート
ルービンシュタインのブラームスピアノ協奏曲第2番について語る前に、レコード・CDに聴くバックハウスの演奏について述べたい。

手元にある資料によると、バックハウスは同曲を3回録音している。
1.K.ベーム&ドレスデン国立O.との共演(SP・録音年不明)
2.K.シューリヒト&ウィーンフィルとの共演(モノ録音・1952年)
3.K.ベーム&ウィーンフィルとの共演(ステレオ録音・1967年)
(私は、2はレコードで、3はレコード・CDで所有)

上記3番目が、ONTOMOMOOK「21世紀の名曲名盤・1」(2002年)によれば、ポリーニ&アバド(1995年ライブ録音)に次いで、第2位にランクされている。そのコメントを少し引用してみよう(前掲書136頁)

「・・・歴史的な録音としていまなお高い評価を獲得し続けて名盤。・・・中略・・・風格無比のブラームスである。・・・中略・・・精神性の高い巨匠的演奏・・・」

しかし、このコメントや類似のコメントに接すると、首を傾げてしまう。

精神性が頗る高いのは認めるが、演奏そのものはどうなのか?

1975年頃、FM雑誌で、邦人女流ピアニストが、この演奏を「ヨタッタ演奏」と評した記事を読んだからである。確かに、録音された年=1967年、バックハウスは83歳の高齢で、演奏上の「老いの衰え」は隠せなかっただろう。

私は、残念ながら、この曲の総譜(スコア)は所有していない。スコアを見ながら、このバックハウスの演奏を聴いてみれば、おそらく、この女流ピアニストの言わんとする事は確認できるだろうと思う。

(序にいえば、クラッシクレコード評論家という人種のうち、果たして、何人がスコアを参照しながら、演奏に関してコメントを書いているのか、気になる事が度々ある。)

しかし、その女流ピアニストは、演奏としては欠陥があるかもしれないが、それを補って余りあるものがあるともコメントしていた。まさにそこにあるのは、バックハウスの高い精神性に他ならない。

譬えは少しズレるかもしれないが、ある高名な落語家が寄席の高座で、「まくら」を言った途端、老齢の為か、居眠りをしてしまい、観客から「そのまま寝かしてやれ」と声が掛ったそうである。

バックハウスの1967年の録音に何か所かミスタッチ等があっても、レコード・CDという再生音で聴く者にとっては、それを演奏家の「味わい」として理解するだけでなく、只管に演奏する姿を想像しながら聴く事によって、巨匠の素晴らしさを直観的に感じ取っているのではないか、と思う。

おまけ:わたしは、上記2&3以外に、バックハウスのブラームスピアノ協奏曲第2番のCDを1枚持っている。CDジャケットには、ピアノ:W.バックハウス 指揮:K.クラウス ウィーンフィル ムジックフェラインザール 1953 と記載されている。しかし、CD本体の表面には、指揮はG.ロジェストヴェンスキーと記載。何処かに、「バッタモン」の香りが漂う。CD本体表面は単なる誤記であるとすれば、このCDは2つの面で「掘り出し物」と言えそうである。

1つは、スタジオ録音ではないバックハウスのライブを追体験できる事。
2つは、1954年メキシコ演奏旅行中に死亡したK.クラウスの伴奏指揮者としての演奏に触れる事できる事。尚、クラウスの最後の演奏会の曲目にはブラームスのピアノ協奏曲第2番が含まれていたそうである。





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