ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

“気づき” って?

2017-05-19 06:49:34 | 病状
 「気付く」という言葉には、外からの刺激をリアルタイムで知覚するという意味の「気付く」もありますが、自分の内なる過去を思索し何かを「悟る」という意味も含まれています。さらに「気付く」は、身体的・心理的変化をリアルタイムで自覚するという場合にも使われます。それだけ幅広い意味を持った言葉です。

 私が過去について “気づく” という場合は、ヒラメキに似たこの「悟る」という意味の方が重要で、単に記憶を呼び戻し特定するという意味だけではありません。精神科領域では自分の内なる世界を自己洞察するという意味でも使われ、その積み重ねが依存症の回復に不可欠とされています。自助会AAのミーティングでも “気づきの積み重ね” は殊の外大切にされています。

 その “気づき” という言葉に混乱していた時期がありました。AAのミーティングに通い始めてから1年(断酒後1年半)ぐらいまでの間だったと思います。その頃は、他人の酒害体験を聞くことで、なぜ “気づき” があるのかよくわかっていない状態でした。

 記憶障害に加え、ちょうどひどい想起障害を自覚し始めた時期でもあり、こともあろうに情動不安と情動不安定の区別がつかないほどでした。時の流れがとてつもなくゆっくり感じていた状態から回復しつつありましたが、文章を書いていて時制の区分がわからなくなるなど、頭が奇妙に混乱していた時期でした。

 当時の私は、体験談を聞いて似たような経験を思い出すぐらいのことはあっても、その場で何かに “気づく” ことはまれでした。ミーティングの帰り道、やっと思い当たるということの方が多かったようです。言ってみれば旧式の蛍光灯状態そのもので、即刻点灯するようなヒラメキの経験はありませんでした。だから、他のメンバーが「仲間の話で今 “気づいた” のですが…」と即座に反応していたことに感心し、反面強い違和感を持っていました。

 ミーティングでは、一言も聞き漏らすまいと耳をそばだてていたものです。そんなことで集中力が長続きするわけがなく、記憶障害のせいで物覚えも悪かったので、これはと思った言葉でも左から右に抜けていく状態でした。今でこそ聞くでもなしに聞いている状態であっても、琴線に触れた言葉はしっかり心に残るようになっているのですが・・・。ゴミ拾いで、見るでもなしに見ている方がよくゴミに気付けるのと同じです。当時はせいぜい最後に聞いた言葉が、辛うじて耳に残る程度だったのです。

 外からの刺激の場合と違い、自分の内なる世界を洞察するには時間が掛かる場合もあるのです。アルコールでイカレた当時の頭でも、「気付く」に幅広い意味があることは理解していました。しかし「悟る」と同義の “気づく” も、外の刺激にリアルタイムで気付けるのと同様に、リアルタイムが当たり前と考えていたようなのです。しばらくは「気付く」というよりは、むしろ「思い当たる / 心当たりがある」という言葉を使った方が正しいのではないかとしきりに考えていました。

 今からみると、ただ単に反応が遅すぎただけなのに、随分可笑しなことを真剣に考えていたものだと思います。後になって、その場で即刻 “気づく” などはむしろ希で、“気づく” には少し間が空く方が当たり前なのだと思えるようになれました。心当たりに加えてヒラメクようなことがあったら、私はそれを “気づき” と呼ぶことにしています。

 酒害体験は個人を超えて共通するところが多く、当然聞き手も似通った経験をしているものです。AAのミーティングでは、話し手は共通したテーマに沿って各自の体験を語ってくれます。言ってみれば異なった角度から同じテーマについて語るわけです。

 聞き手はそれらを多角的に聞くうちに、たとえ遠い記憶であっても似通った経験を呼び戻すことができます。最初のうちは反応が遅くても、聞く経験を繰り返すうちに反応するのが速くなり、中には当然ながらヒラメキもあります。こんなことで “気づきの積み重ね” が得られ、究極の「悟り」につながるのだと私は考えています。



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2 コメント

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Unknown (蓮の花)
2017-05-19 12:41:02
なんと!
同じことを考えている人がいるとは!
ちょうど、次回の記事にしようとして下書きをし終えたところでしたん!
基本論理回路は似ているのですね。
Re.蓮の花さんへ (ヒゲジイ)
2017-05-19 20:22:44
書いたモノが読み手にわかってもらえたなら書き手冥利につきます。
文章というのは読み手にうまく伝わるかが勝負で、
とても難しいものだと常々思っています。まだまだ道半ばです。

私も毎回、あなたの記事を読ませていただいています。
次回も是非読ませていただきますのでヨロシク。

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