苔むした石段の雨蛙。
やがて、体色が苔色となり溶けるように消えていきました。
実は、西芳寺ではなく鎌倉の苔寺といわれる妙法寺での句。
妙法寺は日蓮の寺院。しかし戦乱に巻き込まれ塔頭も焼失。
やがて徳川家により再興されます。
ところで、妙法寺の境内裏の小径。
登りつめると美しい相模の海と富士山が楽しめます、と作者。
一番高い評価を受けた句です。
採らなかった方の意見を紹介します。
雨蛙が苔寺の緑に溶けこんだ、という視覚的な句で美しい。
だが「色に溶けゆく」が言わずもがなの感じ。
苔寺の「静けさ」を加えては如何。
これは判断が難しいですね。
作者の解説を読むと「溶けるように消えていった」とあり、
言外に静寂を詠み込んでいると読むことも出来ます。
「消えゆく」とすることも出来ますが・・・
皆さんはどう考えます? (遅足)