575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

トマト句会   麗

2019年07月18日 | Weblog

梅雨の晴れ間となった昨日、トマト句会が開催されました。
身近にある野菜過ぎて作るのに時間がかかる難題でした。

今回の遅足主宰からの金言は

1,共感の持てる発見であること。
2,言葉で絵を描く。
3、回想句に要注意!

このあたりが選句のポイントになった感じでした。ではどんな発見があったのか見て行きましょう。


題詠「トマト」

①廃村に紅一点のトマト生る

映像が目に見えるようです。やや、散文的という指摘がありました。「廃村や」と切れにしてはというコメントも。

②障がい児トマト六つにうまく切れ

包丁の切れ味をためすくらいトマトを切るのは難しいです。しかも、障がいを持つお子さんなら尚更です。「障がい児」という言葉が強すぎるという声も。

③トマトもいで虫垂炎のオペの跡

トマトの種は虫垂炎になる?それはスイカでは?手術した苦い夏の思い出でしょうか?

④トマト生り注連飾りたる伊勢への路

確かに伊勢の町には一年中注連縄が飾ってありますよね。トマトとの結びつきにやや共感得られず。

⑤五回裏球児丸ごと塩トマト

グランド整備をする「五回裏」が発見でした。塩分水分補給の時間です。

⑥おとなりさんミニトマトもう食べごろよ

口語調がこの句の決め手です。

⑦かぶりつく赤の誘惑トマトかな

「赤の誘惑」がこの句のポイントです。

⑧美を競うフルーツトマトより甘く

どんどん甘くなるトマト。水分を控えると甘さが増すそうです。ダイエットと通じるものがありますがやや共感得られず。

⑨ひとかぶり身体にしみる赤トマト

中七を具体的にした方が発見があるのでは?実感はありますが。

⑩木の流しトマトがぶりし暑き昼

「暑き昼」にもう一工夫欲しいとの声あり。

⑪焼跡のトマト豊作敗戦日

これからの日本に何か明るい希望が欲しかったという作者。もう戦争は終わりトマトだけは赤く熟れていました。お見事!

⑫馳走膳ピカピカトマトの肌に露

「ピカピカ」にかわるオノマトペが何かあれば。

⑬高湿度冷やしトマトの茶うけにす

「高湿度」を何か違う言葉で。

⑭ホバリング網掛けトマトつつきをり

この句の発見は「ホバリング」です。烏やひよどりと言わなくても鳥との攻防戦がわかります。

⑮少数派と知りしトマトの砂糖がけ

個人的な思い出を大多数に共感させる難しさ。

⑯桐箱によそ行き顔のトマトかな

「よそ行き顔」が発見でした。桐箱に入ったトマト。さぞやお高いことでしょう。

⑰クラス会初恋の人ミニトマト

三段切れ。初恋の人とかわいいミニトマトがうまく響きあう感じがしました。実情は60年ぶりに会った初恋の人が、今は野菜を作っていたという落ちでした。

いかがでしたでしょうか?意外に難しいお題でした。

ちなみに久保田万太郎の俳句。

    梅雨冷えのサラダのトマト赤きかな

でした。季重なり。トマトは赤いもの!と夏井先生に指摘されそうです(笑)
俳句ってやっぱり難しいですね~。

来月はお盆も終わり、一息つく頃の開催です。

8月21日(水)午後1時20分 愛知芸文センター12階でお待ちしています。
題詠は「鬼灯」です。どんな鬼灯が競い合うでしょうか?言葉で絵を描いて見ましょう。麗

コメント (4)
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