ニュースの中のJW

WEB上のニュースや新聞などで扱われたエホバの証人のニュースを取り上げます。シリアスな話題から笑えるニュースまで。

牛の血液で救われた命

2011-05-16 18:54:42 | 医療系
世界で一番最初に輸血が行われたのは、17世紀のこと。当時は羊の血液を人間に輸血していました。死亡例も多かったのですが、成功例もあるそうです。やがて、動物の血を人間に輸血するのは危険だとわかり、19世紀後半には行われなくなりました。

というのが簡単な輸血の歴史ですが、ついに21世紀、動物の血液が人間に輸血されて、命を救うのようになりました。牛の血液が、その血漿を加工した人工血液ですが、事故で多くの血液を失った女性の命を救いました。

以下、記事を訳しておきます。

■ News Com AU

あるオーストラリア人女性の命は、牛の血漿から作られた人工血液成分によって救われた。

世界で最初の例となったが、メルボルンのアルフレッド病院は33才になるタマル・コーカリーを交通事故による深刻な血液流出と心臓停止の危機から救い出した。

彼女の脊髄はほとんど切断され、肺はつぶれ、頭蓋骨は陥没し、肋骨、頬と顎の骨は折れ、秘蔵は破裂していた。

病院についた時には、彼女はかろうじて生きていた状態だった。

「私は、わずか1リットルの血液しか体にありませんでした」と彼女は述べている。

※ 通常、人間の血液は体重の8%と言われています。そのうち30%以上の血液を急激に失うと命の危険な状態になるそうです。彼女が仮に50Kgだとすると、血液量は4Kg(4L)で、事故により75%の血液を失っていたことになります。

コーカリーの命を救う最大限の努力が払われ、ヘモグロビンをベースとした酸素運搬物質であるHBOC201がアメリカから10単位空輸された。

この合成物質には、牛の血漿から作られた分子が含まれている。これは酸素を組織に運ぶ働きがあり、彼女のヘモグロビンのレベルを回復させた。

フィッツジェラルド准教授は、これは世界的な血液不足に応える、実際に可能な血液の選択肢として重要な一歩となったと述べている。

人間の血液と違って、事前に適合を調べる交叉試験をする必要がなく、冷蔵せずに3年に渡って保管が可能である。

フィッツジェラルド准教授は「ちょっとしたSFのようなものだ」と言う。

エホバの証人であるコーカリーは輸血を受けることは出来ないが、代用血液を受け入れることは出来る。

教授は、アメリカ海軍で研究されてきたこの合成血液製剤に精通していた。というのも、彼が第三者として5年前にこの有望な研究にアドバイスを与えていたからである。

彼はその夜、製薬会社のOPKバイオテク、オーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA) 、オーストラリア衛生検査局や航空会社と夜通しで交渉を行なった。

アルフレッド病院の倫理委員会はゴーサインを出した。許可はTGAの特例審査によって出され、製薬会社が支払いをした。

HBOC21は、世界中で研究開発されている数ある代用血液のひとつである。

メルボルン大学小児科部部長のポール・モナゴル医師は、合成血液は患者への血液供給の問題を緩和し、僻地に住む人々に救命治療の機会を与えることになると述べている。

モナゴル教授は、どんな合成血液にせよ、実験段階から実務的な使用に供するためにはしっかりとした検査やテストを受ける必要があると述べた。

前述のコーカリーは、昏睡状態の中で瀬戸際の手術を受けていたが、彼女はどれほど死ぬ寸前だったかを理解している。

「彼らは出来ることをすべて行なってくれました。私はとても嬉しいです」

---------

なんにしても、彼女の命が救われたことは良かったことです。

ところで、ペットの動物用にも輸血用の人工血液があることをご存知ですか?
言われてみると、「そうかもしれない」と思うかもしれません。
アメリカではイヌ用の人工血液が承認されています。なんとこの犬用の人工血液にも牛の血液が使われているそうです。日本の獣医さんも使っていたようですが、BSE(牛海綿状脳症)の問題もあり、現在のところこの牛由来の人工血液を輸入することがほとんど出来ないようです。

ペットポータルというサイトの中で紹介がされていました。
ペットポータル

そうなると、人間に輸血された牛由来の血液から狂牛病などが発生する可能性はあるのだろうかと考えたくなりますね。おそらく、狂牛病の元となるプリオンを不活性化させる処理が行われているのでしょう。
現在、献血された血液は基本的に放射線を通しています。これで輸血後GVHDを防いでいるわけですが、牛の血液でも同様の作業がされているのでしょうか。研究者からすると、血液も詰まるところ様々な分子の集合体に過ぎないと見えるのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。