山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

韓国日記(3) デパ地下のフード天国

2009年11月07日 17時42分43秒 | Weblog
 免税店もあるロッテ百貨店の地下は、まさにフード天国だった。ここは、10人用と20人用のテーブルが並んでおり、計150人くらいが座って食事ができる。それがもう1箇所ある。店は、日本のデパ地下のようにお持ち帰りの店とともに、その場で調理した料理を皿やどんぶりで提供する店もたくさんある。客はそれを買って思い思いにすわって食べる。食べ終わったら食器を店に返す。カップル、家族づれがほとんど。日本人は少ない。1人ですわっている日本人はほかにいない。
 昼もすぎて腹が減ったので、私は買った韓国風握り寿司を食べようと思ったが、席がないので、小さい階段横のすわるのに適した大理石に陣取った。向かいにも叔母さんがすわって食べている。そこで寿司を食べながら缶ビールを飲んだ。魚はエビ、アナゴ、白身、かにカマ、アボガドだ。シャリにはゴマがかかっている。ロール寿司も入っている。カップ入り味噌汁も。甘いソース、ピリ辛ソースのかかっているのもある。店ではワサビソースをくれた。袋の端を切って、握り寿司にかけて食べるとワサビの風味がひろがりうまい。ワサビソースは驚きのいい発想だ。上からかければ勝手に広がる。一点だけ辛いということはない。味噌汁は日本の味噌とは味が違う。麹の味が強い味噌汁と思った。
 席に余裕があったので、寿司は食べ終わったあとだが、すわった。水をのむコップで赤ワインを飲んだ。ノートをとりだして、フード天国の風景を記録しはじめた。この日記は、フード天国でかきつづったものだ。走り書きで、ひらがなが多い。
 両隣と向かい、斜め向かいの客の食事風景のレポートだ。せっせと書いていても日本語なので何を書いているのかわからない。それをいいことに見たことをドンドン書く。
 やはりカップルが多い。斜め前のカップルは、韓国風に、大きいコップにストローをクロスしてさしこみ、2人でいっしょにジュースを飲む。なかなかほほえましい。2人づれは、カップルはもちろん、女同士でも、2人でつついて食べる人が多い。高校生or大学生カップルは、大きい皿のナポリタン・スパゲッティ?を同時に箸をつっこんで食べている(スパゲッティと思ったのはあとで間違いとわかる)。
 さっき見た店では、日本の魚の練り物のテンプラと同じものをつくっていた。すり身をのばしてその上にウインナーを乗せ、細長いヘラですり身ともにくるくると回して油に入れ、ウインナ天をつくっていた。石橋商店街の有名なおじさんのすり身の天ぷらと同じ技だ。
 日本人旅行者が必ずといっていいほど訪れるロッテ百貨店だから、回転寿司もあるし、回転しない寿司もある。牛丼・天丼・カツ丼の店もある。うどんもある。天むすなどのおにぎりもある。餃子の店もある。各種ギョウーザ、具もいろいろ、ドカンと大きいのもある。韓・和・洋・中となんでもある。
 いま座った目の前の韓国人老夫婦は、おじさんがビビンバと大根キムチ、おばさんがお重に入った和風定食。定食は、ごはん、キムチ、茎わかめの細切り、福神漬け、炒め物、たくあん、竹輪・すり身・紅しょうがの天ぷらなど。ごはんがすごい山盛りだなと思っていたのだが、すこし食べると底が見えた。なんとすごい上げ底だった。小皿にワサビ醤油。金属の箸でごはんを、スプーンで汁を順調に食す。おばさんは、紅しょうがの天ぷらを食べて、ウン?という表情をして、半分をおじさんのビビンバの上にのせた。紅しょうがの天ぷらこそ大阪名物だ。朝の薬丸のテレビでやっていたが、番組メンバーも食べてびっくりしていた。おばさんもびっくりして、半分しか食べなかった。内が朱、外が黒のウルシの椀に入っているのは平べったいうどんかと思ったが、そうではないらしい。席を立って、その和食を確めに店に行くと、「和風おでん弁当」となっていた。味は和風かな?その店では各種和風弁当の写真があった。
 右横にすわった若い女性は、ピザをナイフ・フォークで、コーラとともに食べている。斜め前にすわった若い女性は、私が買ったパック寿司店のサーモンの握り8貫セットを食べている。ワリバシで。8貫といってもやや小ぶりだ。その横に座った女性は、日本のうな重のうるしの折に入った定食を食べている。この店は木のスプーンだ。本当にうなぎ?かどうかはわからない。私の横にすわったカップルは、鉄板にのったデミグラスソースかけ焼き飯定食(串えび焼きのせ)。スープ・キムチ・たくあん付き。男性はどんぶりに入った太焼きそば定食。
 おじさん夫婦が席を立った後、すわったのは若い女性2人づれ。野菜・魚介・チーズのクレープ包みピリ辛ソースかけを小口切りをパンとともにカプチーノを飲みながら食べ始めた。左斜めに30代カップルが。女性は韓国冷麺、男性はチゲ鍋定食ごはん、カクテキ・黒豆付き。
 私の右の席がひとつ空いていた。そこに日本人の中年女性が2人来た。テーブルの角にもう一つ椅子をもってきてすわった。2人とも焼きうどんを食べ始めた。とたんに、「あ~!辛い~!」と悲鳴をあげた。豆腐・緑や赤の野菜、肉が入っているが辛いらしい。これにもたくあんが3枚のせてある。大皿いっぱいの量だ。これがもしかしたら、あのイタリアンなのかもしれない。
 後ろをふり返ったら、年配の韓国女性。ワタリガニの入ったスープ定食のようだ。私のすわっている20人のテーブルのとなりのテーブルに、アメリカ人風の男性2人すわった。ひとりはもやしラーメン、左手で金属箸をうまくあやつっている。つれの男性は例のスパゲッティ・イタリアン?をワリバシを短くもって食べている。
 左手に中年女性2人がすわった。ビニール袋から寿司パックをとりだした。ひとりは小さいロール寿司の上にサーモンがのったロール寿司サーモンのせだ。もう1人のは、わたしの食べたのと同じ。パックは日本でよく使われている、角ばって、蓋を取り外すのに手間取るあれである。ワサビソースの袋をあけてかけている。とびっ子、アナゴの薄切り、青のりロール、ごまロールなども。
 斜め前に家族連れ。大きい豚肉のかたまりに玉ねぎソースを掛けたものをプラスチックナイフ・フォークで切り分けている。母と子どもは、大きい紙のお椀に入ったおでんだ。すり身の揚げ物ばかりだ。
 目の前にカップル。女性は鉄板焼き飯定食、エビ串焼き、牛肉串焼き乗せ。男性はハンバーグ定食、ハンバーグにキャベツの千切り、カクテキ、キューリの漬物、オムライス。2人でつつきながら食べる。あちらのアメリカ人風の男2人は、アイスクリームを食べ始めた。アメリカ人的?右に女性がひとりすわる。大きいどんぶりに、平べったいシューマイの皮をちぎったようなものに野菜とだし。はしとスプーンで食す。左斜め前の若いカップルは、スパゲッティイタリアンの色そっくりの焼きうどん。いままで何人もが食べている。日本女性が辛いと悲鳴をあげたあれだ。若い2人はウンウンとうなづきながら食べている。うまいのだろう。
 今日は、役所が開いていないので公文書館も休みだ。特にすることもないので、ロッテの地下で長い時間をすごした。日本でいえば、阪神デパートの雰囲気に近い。でも日本のデパートはカウンターのある店はその場で食べれるが、多くは持ち帰りだ。でもここは、何でも食べられる。私のようにワインを飲んでいても文句をいわれない。おもしろいシステムだ。
 もう退席しようと思っていたら、目の前にカップルがすわった。例のスパゲッティ風焼きうどんだ。よく見ると、スパゲッティよりやわらかそうだ。昔のやわらかいイタリアン風だ。この人のはキムチも青菜も入っている。トマト風味の赤ではなく、韓国コチュジャン、ヤンニョンジャン、赤唐辛子の赤い色の細焼きうどんなのだろう。食べていないので推測をたくましくする。
 もう出よう。人の姿、食する風景をながめるのは、なかなか楽しい。ノートにその風景をダラダラと書きつづけている。まさか自分の食事風景をメモされているとは誰も思わない。ごめんなさい。
 高校生風の女性2人が、また例の赤い焼きうどんを持ち込んだ。ああ、また席を立てなくなった。こうなったら、この味を確めないと、無責任になるなあ。え?誰もそんな責任を負わせていない!そ、その通りです。以上、現場日記より。
 長く居座った席を立って、この赤い焼きうどんの正体を突き止めようと見て回った。それはやはり、韓国ピリ辛焼きうどんだった。その店では、客が具を選べるようになっていた。ラーメン鉢を渡されて、そこに青菜やピーマン、赤ピーマン、きのこや、もやし、キムチ、豆腐など好みのものを入れていく。だから赤と緑のピーマンのスパゲッティかなと思ったのも無理はない。店員はあまりのせていない客には勝手に野菜をのせてこぼれそうな野菜をぎゅっと押さえつけ、それに肉をのせ、うどんをのせて、上から7種類の調味料をかける。赤い辛味調味料もたっぷり。これを料理人にわたす。料理人は、直径1・5メートルもある丸い鉄板の上にこれをのせ、スープをかけ回す。使う道具は1メートル以上の長さのヘラだ。ケーキのナイフがグーンと伸びたものを想像すればいい。それで材料を丸い鉄板に広げる。日本の焼きそばのコテでは及ばない。日本刀で材料を広げ、集め、また広げを繰り返している感じだ。すべての材料に熱が通る。で、最後に集めて大皿に盛る。これが、赤い色をしたスパゲッティ風韓国焼きうどんだ。店員さんにうどん?と聞いたらうん!と答えてくれた。日本の焼きそば、焼きうどんのようにパサパサではない。皿には赤い汁にじむ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国日記(2) 韓国訪問の目的 | トップ | 韓国日記(4) 地下鉄・ホ... »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事