山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

安倍首相に読ませたいペリー元米国防長官インタヴュー

2017年12月10日 10時51分48秒 | Weblog
 ちょっと前の記事だが、11月29日(2017)の「朝日新聞」のウイリアム・ペリー元米国防長官のインタヴューに大注目した。ペリーさんは、幕末に浦賀に来航したペリー提督の孫の孫にあたるくらいの人だ。インタヴューのテーマは北朝鮮問題。これほど線を引きながら読んだこともめずらしい。
 なるほど、そうだと思ったところを引用、紹介したい。

 (94年の北朝鮮危機の時)「私も大統領も、軍事的手段は選択肢の一つでしたが、それをテーブルの隅に押しやり、外交的解決を模索しました。それは攻撃実行が困難だからではなく、その帰結として、北朝鮮が韓国に反撃する可能性があったためでした」
 (現在の北朝鮮危機は94年と比較して)「はるかに深刻です。いまや北朝鮮は核兵器を保有し、その核を使用するかもしれないのです。犠牲は莫大で、94年と桁違いの被害をもたらします。北朝鮮への先制攻撃は実行可能とは思えません」
 「危険なのは米朝とも戦争勃発を望んでいないのに、核戦争に図らずも突入するおそれがあることです。米国が限定的な攻撃をしたつもりでも、北朝鮮が核兵器で(全面的に)応戦することもあり得る。われわれの強烈な威嚇で、北朝鮮側が『指導者を狙った先制攻撃を米国が間もなく仕掛けてくる』と信じ込めば、自暴自棄になって最初に兵器を使うかもしれない」
 (トランプ大統領は対話を時間の無駄といい、安倍首相も今は対話の時ではないというが)「議論の余地がないのは、『今は核戦争をする時ではない』という点です。私には軍事衝突に代わる手段が、外交以外にあるとは思えません。よい結果が必ず生み出せるかどうか自信があるわけではありませんが、対話しなければ、よい結果はそもそも得られません」
 「外交の不在や見境のない発言は、戦争に、非常に壊滅的な核戦争に突入する条件を醸成してしまいます。実行可能な軍事オプションがあるなら、私もそれを薦めるかもしれませんが、(実際のところ)そんな解決策はないのです。私が驚くのは、実に多くの人が戦争がもたらす甚大な結果に目を向けていないことです。戦争は日本にも波及し、核(戦争)になれば、その被害は(韓国にとって)朝鮮戦争の10倍に、(日本にとって)第2次世界大戦での犠牲者数に匹敵する大きさになります。我々は外交を真剣に検討すべきです。私は安倍首相に、トランプ大統領との議論で、こうしたことを促すことを期待しています」

 トランプ大統領は、軍事的手段を含むすべての選択肢がテーブルの上にあるといい、安倍首相はそれを100%支持している。ペリー氏のように軍事的手段をテーブルの隅に押しやる気はない。外交手段を優先するとはいわない。安倍首相はとくに、対話のための対話は意味がないと、外交的解決への道を確保することをばかにしている。
 米側の強烈な威嚇を、間もなく攻め込んでくると間違ってとらえて、北朝鮮が軍事行動に突入する危険がある。また見境のない人間であることでは同列の金正恩とトランプが、どちらからとは言えないが、感情的な軍事行動に出ることは考えられないことではない。トランプは、国連安保理決議に反して、エルサレムをイスラエルの首都として正式認定した。世界に影響の大きい政治家としてはあまりに近視眼的な、見境のない行動だ。だから北朝鮮からも、アメリカからも、94年とはまさに桁違いの危機だ。
 安倍内閣は、北朝鮮との戦争が起きた場合の日本の被害について「仮定のことには答えられません」(菅官房長官)を繰り返すばかりだ。羽鳥さんのモーニングショーで、軍事評論家の田岡俊次さんと共同通信の編集委員さんがそろって、「防衛省・自衛隊は被害想定はしていないだろう」と長年の取材をふまえて語った。アメリカ国防省の想定は入手しているが、独自にはやっていないと。恐るべきことだ。先制攻撃を含む軍事オプションも100%支持しているのに、被害想定をしない。相手の奇襲や想定外の暴発はともかくとして、固い同盟を組んでいるアメリカが先制攻撃をするケースは、すべての予測、想定をするのは当たり前ではないか。そんなことを明らかにしないで、やみくもに支持しているのか。
 とくに宇宙空間をミサイルが飛んだことに対して、警戒警報を鳴らして、地下に逃げ込め、頭を抱えてしゃがみこめと、防空訓練を行ったのは、どういう被害想定を前提にしたものか。とても説明がつかない。韓国のこの問題のシンポジウムに参加した友人の話では、韓国の人々の間では日本の防空訓練は笑いものだそうだ。
 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院の報告では、核が使われた場合、ソウルと東京に40~200万人の犠牲がでるといわれる。米議会調査局の発表では、核攻撃なしでも、最大30万人の犠牲がでるという。こういった結果を招かないために何をするべきか、対話のための対話の糸口をどうつくるか、その糸を太くするためにどうするか。これこそやるべきことなのに、対話を冷笑する安倍政権は、最悪だ。




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