山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

低レベル議論でサミットを党派的に利用する破廉恥・安倍

2016年05月30日 22時13分57秒 | Weblog
 大騒ぎの伊勢志摩サミットがおわった。マスコミ総動員で巨費を投じた一大政治ショーは、中身はないが、その大騒ぎにふさわしい効果を発揮したようだ。『毎日』世論調査(5・30発表)によると、安倍内閣支持率が5ポイントも増え、49%にも達した。男55%、女44%で、男の権力志向がはなはだしい。自民党支持率は33%で変わらない。公明支持層含め与党支持層に高揚感があるようだ。
 それにしても、安倍首相が「先進国首脳会議」という国際会議を自分の国内政治にこれほど露骨で、見苦しい形で利用したのは前代未聞だ。安倍氏が「世界経済はリーマンショック前に似ている」と突然持ち出したのは、従来の日本政府の見解になかったことだ。ところがサミットの首脳宣言ではリーマンショックという文言は一つもなく、「世界経済の回復は続いている」となっている。安倍氏の特異な世界経済論は受け入れられなかった。
 そもそもリーマンショックは、アメリカで不良債権を証券化、再証券化して売りまくってつくりだした金融危機だ。安倍氏は、リーマンショック前に似ているというが、いま金融危機の前兆がどこにあるというのだ。問題の性格もわきまえず、突然もちだして会議を混乱させただけではないか。メルケル独首相は「世界経済はある程度安定した状態だ」と発言し、オランド仏首相は記者会見で「現在は経済危機ではない」と明言した。ヨーロッパのジャーナリストは、安倍首相が消費税増税を遅らせる理由づくりの思惑で発言していると指摘している。
 安倍氏は、世界の一部の商品価格が下がっていることや新興国の成長率が落ちていることをとらえて、リーマンショック前だとわめいた。えっ、それだけで?無理やり探し出した一部の数字。新興国の成長はほぼ0成長の日本に比べれば、相変わらず牽引車だ。おまけに安倍氏は、世界経済はリーマンショック前の状態だが、日本経済はアベノミクスでうまくいっているというのだ。安倍氏の頭の中はどうなっているのか。2015年見通しではサミット7か国の中で日本は成長率0・5%で最低だ。安倍氏はアベノミクスを世界に広げると大口をたたいた。失敗しているのに信仰告白のごとき発言。極右の発言の特徴を体現しているのが安倍発言だ。格差を拡大させ、個人消費を冷え込ませているのがアベノミクスだ。消費税増税中止はアベノミクス失敗を認めてやればいいだけのことだ。
 わたしは前の記事で、サミットはもはや意味を持たないと述べた。意味はないとはいえ、安倍氏による一国の党派的いや首相個人の欲望によって、会議がもてあそばれ、議論の質が下げられたことで、サミットにいっそう傷がついた。
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