山上俊夫・日本と世界あちこち

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安倍首相、核先制不使用に「反対」して核兵器にしがみつく

2016年08月17日 10時04分46秒 | Weblog
 オバマ政権が核兵器の先制不使用政策を検討していることに対して、日本の安倍首相は7月26日、ハリス米太平洋軍司令官が訪日した際に、北朝鮮に対する抑止力が弱体化するとして反対の意向を伝えたことが明らかになった。安倍首相は先制不使用政策を導入すれば、アメリカに依存している核の傘にほころびが出るという考えだ。
 核なき世界を表明しながら何の効果的な方策も示せなかったオバマ大統領が、核の先制不使用宣言にふみだせば、核なき世界に向け大きな一歩をふみだすことになる。先制不使用宣言は、核廃絶に向けて不可欠の一里塚だ。すべての核保有国が互いに先制不使用を宣言すれば、核兵器は無用の長物になる。
 今度の発言で、安倍首相は核廃絶を本心からは願っていないことが明らかになった。広島と長崎の平和式典で、核兵器のない世界に向けて努力を重ねていくということをいったが、実践の裏づけのない心のこもらない発言だった。
 核先制不使用とは、核保有国に対して、自国・同盟国が核攻撃を受けた場合に限って核兵器の使用をするという政策だ。核先制攻撃はしないということだ。もちろん核兵器を持たない国に対しては使用しないことは大前提だ。
 安倍首相は、核先制不使用を宣言すれば、核兵器開発をすすめている北朝鮮に対する抑止力が崩れると考えている。いざというときには核による先制攻撃もすると常に脅しつづけることが最善だというのだ。でもそれでは、北朝鮮は核開発をやめることはない。脅されているのだからもっともっと核開発を急がなければならないという論拠になってしまう。
 そもそも核不拡散条約の体制は、米英仏露中の5か国だけに核兵器保有権を認めて、これ以外には認めないというものだ。インド、パキスタン、イスラエルなどの未加盟国には何の拘束力も持ちえない。脱退した北朝鮮も同様だ。これらの国は(イスラエルは保有の有無をいわないままアメリカの庇護をうけている)、核不拡散条約は不平等条約だといっている。不平等条約であることは事実だ。
 これらの国に核兵器を放棄させるにはどうすればいいか。自分たちはいいが、あとから核兵器を持つのは認めない、大量破壊兵器をだから認められないといくら言っても何の説得力もない。「絶対悪」(2016広島市長平和宣言)だからすべての国がこれを放棄しなければならない。
 安倍首相の先制核使用を前提とする核抑止は、相手が核兵器を放棄することにはつながらない。5か国のうち先制不使用を宣言しているのは中国だけだ。アメリカが踏み切れば流れが変わる。北朝鮮に対して先制使用はしないと宣言すれば、北朝鮮も対抗戦略として核開発をすすめてきた根拠がなくなる。さらに北朝鮮の政権を攻め滅ぼすことはしない(国連憲章で保障されていること)と約束すれば、北朝鮮も経済負担になっている核開発を放棄することにつながる。
 安倍首相の核先制攻撃戦略は、北朝鮮に核放棄を迫ることに何の役にも立たないし、広島長崎でのほとんど意味のない発言「核不拡散体制の維持・強化」「核兵器のない世界にむけ努力を積み重ねてまいります」にさえそむくものだ。安倍首相は、核兵器禁止条約に背を向け続けるだけでなく、オバマ大統領が検討をはじめた先制不使用に機敏に反対を唱えたことで、核兵器にしがみつく反動政治家として世界に名をとどろかせた。
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