山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

大阪市、文楽「補助金」全廃。品格のない市に

2014年10月25日 22時01分48秒 | Weblog
 大阪市が、文楽協会への運営補助金を来年度から全廃することを今月初めに協会に通知していたことが今日(2014・10・25〉わかった。夕刊で報道された。なんでも自慢するのに、少しはまずいと思ったのか、隠していた。
 橋下市長の文楽および文楽協会を馬鹿にした態度、発言は、市長の地位と両立しないほどの低劣さだ。橋下氏は伝統にあぐらをかいているから、市場原理の場に投げ込むという考えだが、文楽は歌舞伎のように世襲制をとらない実力だけの世界だ。きびしい修行をおのれに課している。一人前になるのにも長い修行が要り、上演にも多くの人が携わるから、市場原理にはなじまない。橋下氏は、競争に勝ったものだけが残ればいいという考えだが、文化も、動植物の多様性も必要な保護なしには存続はむずかしい。
 橋下氏は生物の多様性に競争原理を持ちこめとまではいっていないが、文化を市場原理に投げ込むことを主張し、行政の対応としてそれを着々と進めている。では、1955年に文楽が重要無形文化財に指定されたのは何だったのか、2009年にユネスコの世界無形文化遺産に第1年目で登録されたのはなぜだったのか。大阪だけにある文楽になぜ大阪の政治がこれほど冷たいのか。なぜこれほどの仕打ちをするのか。こういうことをする政治の質を市民が問うべきだ。
 橋下氏は2012年、自分の特別顧問らが前年より1000万円減の5200万円の補助を提案したのを市長の査定で3900万円に減額して議会に提案した。ところが文楽協会の技芸員が市長とのテレビを入れた公開討論に応じないなら予算執行はしないといちゃもんをつけた。
 このあたりの経緯については、わたしのブログの2012年7月5日、7月11日、7月27日を見ていただきたい。そのときのやりとりがわかる。
 今年の文化勲章が、人形浄瑠璃の竹本住太夫さんに送られるという朗報があったその翌日に、文楽が市場での努力が足りないからと補助を全廃するとの報だ。あまりになさけない。大阪市の品格もここまで落ちたか。これに心を痛めない市民はいるのだろうか。
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