山上俊夫・日本と世界あちこち

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「9月平壌共同宣言」と「軍事分野合意書」 平和・非核化の新たなとびら開く

2018年09月22日 17時32分00秒 | Weblog
 2018年9月19日、韓国のムンジェイン大統領と北朝鮮のキムジョンウン国務委員長が、平壌で第3回南北首脳会談をおこない、「9月平壌共同宣言」と「軍事分野合意書」に署名した。今回の「宣言」と「合意書」は膠着状態がつづき、平和と非核への道のりが閉ざされたような論調がふりまかれていた状況を打開し、新たな展望を示した。
 「宣言」は、「非武装地帯をはじめとする対峙地域での軍事的敵対関係の終息を朝鮮半島全地域での実質的な戦争脅威の除去と、根本的な敵対関係解消につなげる」と述べている。4月「板門店宣言」での、非武装地帯の軍事的敵対関係の終息を朝鮮半島全域に広げた点に大きな意味がある。この宣言の実践的措置として、「地上と海上、空中をはじめとする全ての空間において軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面中止する」「いかなる場合にも武力を使用せず、相手の管轄区域に侵入または攻撃・占領しない。2018年11月1日から軍事境界線一帯で軍事演習を中止する」とし、これまで衝突が繰り返されてきた西海(黄海)を平和水域にし、偶発的な軍事衝突を防止する、南北軍事当局者間の直通電話を設置すると「合意書」に定めた。このように南北間の緊張緩和に寄与し、朝鮮戦争の終結宣言・平和協定につながる重要な合意が結ばれたことは大きな前進だ。
 さらに「宣言」では「離散家族問題を根本的に解決するための人道的協力をいっそう強化する」とし、「合意書」では、板門店共同警備地域を非武装地帯にし、そこで、南北共同遺骸発掘を試験的に行うとした。

 非核化についてはこの間進展がないとして否定的な言論が多く流されてきた。今度の南北会談「共同宣言」で朝鮮半島の非核化へ向けた具体的措置が書き込まれたことは重要な前進だ。まず、北朝鮮が「東倉里エンジン試験場とミサイル発射台を関係国の専門家の立ち合いの下で、まず永久的に廃棄する」とした。さらに、米国が「相応措置を取るなら、寧辺核施設の永久的廃棄のような追加的措置を引き続き取っていく」と表明した。加えて、「朝鮮半島の完全な非核化を推進いていく過程で共に緊密に協力していく」ことを確認した。これらは非核化への確実な一段階であり、大きな意味を持っている。
 これに対し、すべての核兵器や核物質、核関連施設の申告をしていない、寧辺核施設の範囲や相応措置の意味もはっきりしない、移動発射台がある以上東倉里発射台廃棄は意味がないなどの批判が出ている。米政府報道官は非核化がなされていないのに譲るべきものはないもないという趣旨の言葉をくりかえしている。
 完全な非核化から見れば、まだ部分的な措置でしかない。しかし具体的な措置が宣言されたことは重要な前進だ。北朝鮮が非核化を達成したら、経済制裁の解除など対応する措置を取るというのがアメリカやこれに追随する日本の立場ではある。だが核開発の初期段階だったリビアと、これを完成させ、ミサイル搭載まですすんだ北朝鮮とは扱いが異なって当然だ。非核化の完成まで10数年かかるといわれる。そこまでやって初めて制裁解除というのはあまりに一方的だ。逆に非核化を真に追及しているのかが疑われる。外交はステップ・バイ・ステップが常識だ。
 宣言で、非核化のために南北が緊密に協力していくことが宣言されたことは、朝鮮半島の緊張緩和、民族自主・民族自決の文言と合わせてみると重みがある。これと逆の見方を提示しているのが寺島実郎氏だ。寺島氏は南北、米朝の動きを読み解くカギは中国にあると一貫して主張している。事態は中国に引きずられているという。中国の思惑や動きが影響している面はあるが、あくまでも主体は南北朝鮮であり、韓国の民衆のろうそく革命以来の運動があってようやく到達した地点なのだ。
 6月以来の膠着状態に何とかならないのかという思いを抱いていたが、南北の主体的な努力で新たなとびらを開いたことを喜ぶ。

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