山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

ISD条項はインチキ裁判、TPPは売国条約、安倍は売国奴

2016年05月05日 14時19分45秒 | Weblog
 農業は国によってその条件が異なる。耕作面積は、アメリカやオーストラリアは日本の1500倍だ。農業とその従事者を保護すること、食の安全の確保が最重要だ。
 農業とともに重大なのが、ISD(投資家対国家紛争解決)条項だ。『赤旗』2016・5・2付けにISD条項の特集があった。弁護士の岩月浩二さんの解説でその恐ろしさがよりわかった。
 ISD条項は、外国投資家が、投資先国家の協定違反で損害を受けたとして、その国を国際仲裁という裁判に訴えることができるとする。岩月氏は、大規模環境汚染を起こしたアメリカ企業にエクアドルの裁判所が損害賠償命令をだしたのに対し、仲裁廷はエクアドル政府に同判決の執行停止を命じたことを紹介している。つまり独立国家の司法権が外部から破壊される。国家主権はどこにいくのか。
 では国際仲裁というのはいったい何なのか。国際裁判とはいっても、常設の裁判所はない。国際仲裁は、私的な第3者に紛争解決を求める制度だと若月氏はいう。あやしい。仲裁人は、提訴した外国投資家が一人、訴えられた政府が一人を選び、両社の合意で第3の仲裁人が選ばれる。その仲裁人は、グローバル企業に雇われる弁護士や法律家だというのだ。いよいよあやしい。結論を出せば解散する、一審限りの裁判だ。
 こんなあやしい制度で、国の制度や規制がくずされる。農業、環境、食品安全規制、医療、労働規制などがやり玉に挙げられ、グローバル企業好みの判決を出し、押し付けられる。押し付けれっぱなしになる。
 こんなものはとうてい裁判とはいえない。裁判の体裁をなしていない。これでは司法権の崩壊になる。国家主権の否定になる。
 国家の立法権をも浸食する。日本は国会が国権の最高機関で唯一の立法機関だ。そこで作った法律が、いかがわしい国際仲裁なる裁判で、否定されるのだ。いかがわしい判決が押し付けられ、それに基づいて国内の法律を変えることまで迫られる。植民地的だ。
 憲法の上にTPPがくるのだ。憲法が最高法規ではなくなる。主権国家の集合体で国際社会が成り立っているのに、主権国家をかってに浸食し、食いちぎるグローバル企業が世界を支配するのだ。
 安倍首相は、企業が世界で一番活動しやすい国をつくることをかかげている。もちろん中小零細企業ではなく巨大企業だ。日本の巨大企業にもアメリカと並ぶグローバル企業がある。だから安倍首相はそのためにTPPをつくったのだ。ISDによって日本の環境や、食の安全や農業、労働者がどうなろうといいのだ。逆に日本のグローバル企業がISDでアジアなどに浸食するのを後押ししようというのだ。
 国家主権が侵され、したがって国民主権も侵される。近代国家、近代国際社会の否定だ。日本国民から見れば、TPPは売国条約、安倍は売国奴だ。
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