山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

市立デザイン研究所の学生募集に橋下氏いちゃもん

2014年07月10日 09時33分42秒 | Weblog
 全国唯一の公立の工業デザイン専門学校の学生募集をつづけることに橋下大阪市長がいちゃもんをつけた。
 大阪市立工芸高校(阿倍野区)の卒業生が引き続き2年間教育をうけるための専修学校として大阪市立デザイン教育研究所がもうけられている。工芸高校はレトロなデザインの名建築校舎を持つ。
 大阪市教育委員会は、橋下氏の圧力に押されて2014年度以降の学生募集を停止するとしていたのを、卒業生らの反対が強く、昨年7月1年延期にしていた。その後も存続運動がつづいたことから、この度、2015、16年度入学募集をつづけることを7月8日決定した。
 これに対し、橋下氏は9日、「僕は承知していない」「教育委員会が大きな政治方針を無視した形で決定をした。もう一度再考してもらわなければいけない」として関連予算の計上を認めない方針を表明した。
 橋下氏の教育介入は常軌を逸している。すべてを自分の思い通りにしないと気が済まない。すでに大阪市教育委員会は橋下氏のしもべになりさがっており、ほとんど彼のいうとおりのことをやっている。教育行政が一般行政から独立したものだという戦後政治制度は大阪では完全にくずれている。ところが、より高度の教育をするための専攻科的学校を継続することを橋下氏の意に反して決定したら、この通りだ。
 教育委員会がいったん決めたものであっても、強い教育要求のまえに継続をきめたのはいいことだ。教育の条理に従った決定だ。工業都市大阪に必要な工業デザイナーを育成する事業を大阪市が自前でやってきた伝統にささえられたものだ。
 ところが橋下氏は、歴史、文化、伝統を破壊することに自らのの存在価値を見いだしている。人間の共同社会を破壊し資本の餌場にする新自由主義的文脈でのみ存在価値があるのが橋下政治だ。
 もともと市には高校の設置義務がない、多くの市立高校をかかえるのは無駄だという橋下氏。まして専攻科的専修学校などとんでもないというのだろう。高校はすべて府立に移管をめざしている。だが大阪市が多くの高校を設立したのは、都市の文化的な格を示すためのものだった。全国の主要都市がそうだ。唯一大阪市がそのレベルから降りるというのだ。大阪市立大学も無駄、府立大学と統合し学部も削る。国際児童文学館しかり、文楽協会しかり、大阪センチュリー交響楽団・大阪市音楽団しかりだ。大阪府市民が誇りとしてきたものに嫌悪感を示し、攻撃の矢を向ける。
 こんな橋下氏に好き勝手させていたら、大阪は無残な姿になってしまう。
コメント (2)
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