山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

橋下市長のパフォーマンスには道理がない

2014年02月04日 11時12分57秒 | Weblog
 橋下大阪市長は3日(2014・2・3)2時間に及ぶ記者会見をおこない、市長辞任、再選挙の意義を訴えた。時間が長ければ長いほどテレビに映る時間が長いので気持ちがいいのだろう。読売系の番組「ミヤネ屋」は延々と生中継をした。橋下氏の目線は会見場のほとんどを占める記者にではなく、会場の一番奥に並ぶテレビカメラにだけ向いていた。彼にとっては久方ぶりの一大パフォーマンスの舞台だったのだ。
 記者会見で区割り案をひとつに絞らずにやると4,5年かかるといった。ウソつけと思った。橋下氏が市長になって2年2か月。ここまで大阪都構想の準備をすすめ、「大阪における大都市制度の制度設計」(パッケージ案)ができあがり、それにもとづいて法定協議会で議論をしてきた。だがさまざまな問題点が浮かび上がり、橋下市長はこれに答えきれていない。大阪都に絶対反対でもない保守系議員を説得できない制度でしかないのだ。
 ここで4案をひとつに絞らないとあと4,5年かかるという脅しはつじつまが合わない。一つに絞ればあと6か月で完成するのに、4つ並列では4年かかるとは理解不能だ。あと3つ分で3年半かかるのか。橋下氏が言うように財政力が強い北区と中央区をまとめた5区案、7区案は財政力に格差ができすぎありえない。とすれば、北区、中央区をばらした5区案と7区案に作業を集中すればいい。となると長めに見積もっても、あと1年もあれば十分できるではないか。4,5年かかるというのは、橋下氏一流の脅しでしかない。
 会見では、選挙を行うと6億円かかり無駄遣いではないかとの質問が出た。これに橋下氏は6億円は民主主義のコストだ、数千億円の二重行政の無駄遣いに比べれば安いと反論した。だが、不信任もされていないのに、再選挙を行うのは民主主義のコストというより橋下パフォーマンスのコストであり全くの無駄だ。さらに、数千億円の二重行政の無駄というのは完全なウソだ。あまりにひどい発言だ。
 公式に提案しているパッケージ案では「二重行政」解消による効果は976億円だといっているではないか。当初、4000億円の二重行政の無駄がある、これを解消できるといっていたのが、自ら976億に縮めざるを得なかったのだ。効果は過大に見積もり、経費は過少に見積もっても、効果は976億円にしかならなかった。さらにこの976億円にしても、大阪都とは無関係の事業再編、住民サービス削減など706億円(地下鉄民営化も含む)を組み込んだもので、ごまかしの金額だ。共産党の大阪市議団が精査したところによると、「二重行政」解消による効果は9・4億円となっている。マスコミ各紙も水増しだと批判している。
 自らだした976億円を、テレビで見る一般の人は知らないだろうとバカにして、数千億円もの「二重行政」の無駄遣いと大ウソを何度もくりかえした。許せないデマゴーグだ。共産党市議団のいうように、9・4億円の効果だとしたら、6億円の選挙費用で効果の大半が飛んでしまう。橋下氏は住民投票の前に、府議会、市議会で最終案が否決されたら(議会の構成が変わらないから必ず否決される)もう一度市長選挙をやると会見で言った。となるとマイナスになってしまう。
 維新府会議員の中から4人が反乱をおこし、蜜月を誇った公明党も、都構想の内容が具体的になればなるほど敬遠し始めた。法定協議会の維新浅田会長が採決をとらずに終わらせた前日の30日に、橋下氏は公明党議員に談判したそうだ。賛成しろと。だが同意しなかった公明党を人の道に反すると会見でなじった。料理屋の酒の席で、橋下、松井氏と公明議員との間で住民投票まで協力すると約束したというのだが、公明党はそこまでは約束していないという。酒の席での口約束の話だからいいかげんなものだ。だが政策を議席協力でやり取りするのは議会制民主主義を腐らせるものだ。
 それはさておき、「毎日新聞」4日付けに載った前鳥取県知事の片山義博・慶応大教授のコメントは納得できる
「進めたい政策について、議会を説得できなかったから出直し選に踏み切るというのは、選挙を愚弄している。議会を動かす政治力がないか、都構想の政策的な説得力がないということを、橋下氏は認めるべきだ。」
コメント (3)
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