山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

子どもをUSJに招待することの是非

2010年02月11日 09時30分13秒 | Weblog
 2月10日夕方のテレビで報道したし、今日の朝刊にも「大阪は苦しい世帯が多いというデータがある。府内にUSJがあるのに、それで行けないなら、じゃあ公が親代わりに連れて行っても子育て支援の一環になるんじゃないのかな。リサーチでいらないよとなれば必要ないし。どうですか。やっぱウケ悪いのかな。1回貸し切りで5千万円、3日間で1億5千万円だったらどうですか。」(『朝日』2月11日付け「橋下会見」欄)と伝えている。ただで連れて行ってくれるのなら行きたいとなるだろう。でも、冷静に考えないといけない。
 『毎日』の11日付け朝刊は、「知事は、10日報道陣に『芸術やスポーツ鑑賞よりも多く子どもはUSJに行きたいのでは』と延べ、府費で公立小中学校の児童生徒を無料招待する考えを示した。通常料金だと約28億円の負担となり、府内部からも疑問の声が上っている。府幹部は『遠足の行き先をあえて府が指定し、公費で負担する必要があるのか』と困惑している」と報じた。『毎日』の方がちゃんと関係部局にも取材している。連日のようにおこなう記者会見をそのまま垂れ流すのではテレビといっしょで利用されているだけだ。まあ、でもどんなことを言ったのかわかるから、便利な面はあるのだが。要は垂れ流しに終わらずに、独自の取材をするかどうかだ。
 平日3日間USJを貸切にできるとして、1億五千万円なのか、その3日間で全大阪の小中学生50万人余を参加さすことができるのか?日数を増やさないと不可能だろう。
 この案を実施すると、府の幹部(おそらく府教委の幹部)がいうように、遠足の行き先を府知事が指定することになる。遠足以外に新たに行事日を確保することは不可能だ。遠足を全府下一律にする、しかもUSJに遊びに行くのはどうかと思う。各学校の独自の教育計画を否定するものでばかげている。里山に入り自然に親しむ、飯盒炊爨をしてクラスレクレーションをする、博物館見学と街並み観察を組み合わせる、歴史遺跡を訪ねるなど各学校はちゃんとした年間の教育目標に遠足を位置づけて実施している。それを知事の一声でUSJにもって行くのは教育的には何の値打ちもない。知事の人気取りにはなるだろうが。
 気になるのは、もうひとつ「芸術鑑賞よりも」とのべていることだ。芸術鑑賞とUSJを並べたら子どもはUSJを好むだろう。しかし学校教育で芸術鑑賞を組み込んでやることの意味は大変大きい。教育委員会の予算として、子どもをUSJに!ということを実施すれば、芸術鑑賞の補助その他教育予算を減らすことになるだろう。知事は各部局の予算の更なる削減を求めている下ではそうなるだろう。人気取りに惑わされてはいけない、重要な問題がひそんでいる。
コメント (3)
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