山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

加藤周一さん・井上俊夫さん死去

2008年12月06日 22時50分48秒 | Weblog
 今日の新聞に加藤周一さん5日死去の報があった。90歳を越していたと思ったが89歳だった。加藤さんの書いたものを読んだ記憶で最も古くは、田舎の高校をでて浪人をしていたとき、田舎のわらぶき屋根の家で、岩波新書『羊の歌』を読んだ時のものだ。その後『続羊の歌』も読んだが、内容の詳細は覚えていない。だが、文章の魅力に惹かれ、近代的自我というようなものにふれたような気がする。ずっとあとになって『日本文学史序説』を読んだのか、多分途中でやめたのだろうが、民衆の作品までを視野に入れた真の文学史という印象が残っている。
 でも、なんといっても長く親しんだのは朝日の夕刊に月1回連載された『夕陽妄語』だ。日本人には数少ないほんとうの知識人だと思った。だが、数年前から夕刊から朝刊に移って、朝日夕刊の魅力がゼロに近くなったのが残念だ。
 立命館での「国際平和ミュージアム」の館長職は、生き馬の目を抜く立命館経営のなかにあって良心的な仕事であった。展示内容は、日本の戦争・平和博物館でもっともすぐれたものである。
 なんといっても、加藤周一への尊敬の念を再確認させてくれたのが、「9条の会」の呼びかけ人として、21世紀の日本と世界のすすむべき道を照らし出した、その加藤周一だった。講演内容も魅力的だった。
 詩人の井上俊夫さんが、10月16日亡くなった。H氏賞を受賞した有力詩人だ。86歳だった。府高教豊能支部の教研で井上さんの詩の朗読を含めた講演を聴いたのが井上さんを知るきっかけだった。『80歳の戦争論』を買ってよんだ。その後、岩波現代文庫の『初めて人を殺す』をよんだ。
 戦場体験者の天皇論、靖国神社論は強烈だった。初めて人を殺す情景は真実を思わせた。中国人捕虜を新兵訓練で刺殺する。10人以上が刺突するからぐずぐずだったという。出世志向の兵が先頭に立ち、何事にも根性がなく、行動も遅く、いちばんダメな兵隊が、刺すのはいやだ殺すのはいやだと、さんざん殴られたてもごねたあげくに、これでは皇軍の面目が立たないと数人がかりで彼をかかえて格好だけ突き刺させたというくだりは、侵略軍隊の本質を見事に描いていた(今、本を参照していないので、詳細は不充分な点があるが)。また井上さんは、戦争の愉悦と言うことにも言及していた。つまり、日本では食えない民衆が、飯が食えるだけでなく、略奪にくわわり、強姦ができることをうすうす知らされて期待を抱いて戦争へと向かったことをえぐったのだ。
 かもがわ出版から『86歳の戦争論』の準備をすすめていた矢先の死だった。来年3月以後、暇ができたら読みたい。
 大切なお二人を亡くした。お二人の遺志を学んでいきたい。
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黄金のじゅうたん

2008年12月06日 09時46分03秒 | Weblog
 朝起きたら快晴だ。ピリッとした空気。昨日の朝は雷鳴轟いて、激しい雨だった。そのため木々の葉はすっかり落ちてしまった。
 我が家の白木蓮の葉も8割方落ちた。茶色の大振りの葉がびっしりと土とコンクリートをそしてスギゴケを覆う。並べた植木鉢の上も茶色のドームのようだ。黄葉でなく茶葉なのできれいとはいえないが、冬が迫ってきたことを感じさせる風情がある。淋しさを感じさせる。今日、青空の中の白木蓮の葉を見ると、垂れ落ちそうになるのを、微風に揺られながら必死にぶらさがっている。葉が落ちてしまって、間から青空が透けて見える。
 十三公園の銀杏の周りは分厚い黄金の絨毯になっていた。歩道脇の銀杏から大量に落ちた黄葉が積もって、その上を歩くとふわふわとした感触だった。まさに自然の黄金の絨毯だ。
 学校の銀杏もずいぶん葉を落とした。まだまだ残っている木もあるが、もうまばらになったものもある。プールの脇にある直径5、60センチの古い銀杏は、この雷雨でいっきに葉を落とした。数センチの絨毯を織り上げた。技能員さんに聞いたら建て替え工事で根を切られ、力が衰えたということだ。旧校舎の運動場にあった2本のクスノキのうち1本は残され、いま中庭のクスノキとなっている。だがこれもすぐ横に多目的ホールを建てたので根が切られ、その後すっかり元気をなくした。これも技能員さんにきけば、なんとか持ちこたえさすために周りの土を入れ替えたそうだ。また毎日雑草を抜いて養分を取られないようにしているという。
 木々の少ない大阪でも、その時々の表情に注目すれば、なかなか潤いがある。自分のお気に入りの黄葉スポットがあると楽しいものだ。
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