緑のフォワードは強かった
南アフリカは強かった。
出足の速いタックルが最初から最後まで続いた。これがかの国の勝因である。後半この防禦網に穴が開くことを期待して見続けたが網は破れなかった。日本の完敗であった。
逆に南アフリカが日本の防禦網を次々破ったのだが、それはラインアウトで高い位置でボールをとりすばやくモールを組んで前進するという形。日本がいちばん嫌がる戦法で来た南アフリカはさすがであった。
日本はマイボールラインアウトの半分は敵に取られそこからのモールラッシュも許してしまった。モールで押し込んでからの素早い球出し、疾走、トライは敵ながら見ていて爽快であった。こうなると勝算はない。
鉄壁な防禦で横へ展開する日本をことごとく潰した。日本の11番14番が走るシーンはほぼなかった。横へ展開しても前へ進めないシーンは、かつて早稲田対明治で早稲田が明治の圧力に屈したシーンを思った。むろん日本も南アフリカもそのレベルの実力ではないが。
ニュージーランドはむろんフォワードも強いがどちかといえば日本型の展開ラグビーをする。日本の目指す最高の存在がオールブラックスであろう。
オールブラックスはモール攻撃をどう処理するか。これは日本がさらに伸びる課題である。
ただしオールブラックスは相手にモールを組ませない速さとパワーも持ち合わす。
モールはほんとうに嫌だなあと思った一戦であった。故意に潰せばさらに事態は悪化する。日本がモールで攻められるようになるのがいちばんのモール克服法であろうが、それには10年はかかりそうな気がする。
しかし、決勝ラウンドへ4勝全勝で進出するなど予想を超えた活躍の日本を称えたい。勤勉、我慢、克己という日本の美徳を象徴したプレースタイルは日本文化をラグビーにおいて世界に発信したといっていい。
南アフリカの選手は一人一人の守備範囲が非常に広く、ストッピングパワーも強かった。パスが読まれているとしか思えない反応速度で、この守備の様子を見ていたら(他のチームには申し訳ないが)予選で戦った4チームの守備なんぞザル以外の何物でもない。
日本がボールを持ってから南アフリカのタックルが飛んで来るまでの時間は、他のチームよりも2テンポは早かった。フランカー・センターの突撃はおろかフッカー・プロップの前進すら許さない防衛線はまるでトリモチのよう。
それ以外にも、ラインアウトは取れない、敵ウイングにタックルしてもなかなか倒れない(「回避率が高い」というよりも、「当たり負けしない」)、味方フッカー・プロップの強引な前進も敵一人で止められる、モールは一方的に押される、止めにボールキープのためのラックまで見事に潰されるわでもうボロボロ。フィジカルの差があり過ぎた、これではもう打つ手が無い。よくニュージーランドは予選でこのチームを破れたな……(^_^;)
せめて1本はトライが欲しかったが、だがそれでも、日本チームは本当によく頑張ったと思う。これが影響して、4年後までに選手層が多少は厚くなれば良いのだが。交代要員がいないのは辛い……
明日、明後日と地上波で準決勝の2試合を放送してくれるみたいなので、特に南アフリカ戦は注意して見てみる事にする。ついでにフィギュア(羽生・紀平)も見る。