はくはつフクロウの独り言

白髪混じりの薄髪。初老フクロウのひとりごと。

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「近代日本の画家たち」

2008年09月04日 | 美術

8月22日に発行された「別冊太陽」で副題は「日本画・洋画 美の競演」。
192ページで8章からなる。

各章のタイトルと紹介されている画家は以下の通り。
○西洋画への憧憬
 高橋由一 五姓田由松 百武兼行 原田直次郎 浅井忠
 田村宗立 川村清雄 小林永濯 小林清親 渡辺省亭
 竹内栖鳳
○理想を求めて
 狩野芳崖 橋本雅邦 横山大観 山本芳翠 黒田清輝
○ロマンと情緒
 青木繁 藤島武二 中村彝 村山槐多 関根正二
 今村紫紅 土田麦僊 植村松園 村上華岳 鏑木清方
 小茂田青樹
○南画と個性派
 富岡鉄斎 富田渓仙 小室翠雲 橋本関雪 平福百穂
 小野竹橋 小川芋銭 小杉放菴
○大正の写実主義
 岸田劉生 速水御舟 岡本春草 甲斐庄楠音 秦テルヲ
 小出楢重
○装飾表現の試み
 菱田春草 下村観山 前田青邨 川端龍子 福田平八郎
 梅原龍三郎

○反抗と前衛
 萬鉄五郎 長谷川利行 佐伯祐三 古賀春江 三岸好太郎
 北脇昇 長谷川三郎 靉光 松本竣介
○日本美を求めて
 安井曾太郎 岡田三郎助 坂本繁二郎 須田国太郎 小磯良平
 藤田嗣治 川合玉堂 小林古径 安田靫彦

  
以上65名が登場する。このうち知っている作家を太線で示したが39名、6割である。

本書の冒頭の解説に「日本近代を代表する画家たちだけを取り上げ、しかもその代表作のみを紹介する今回のような出版企画は以外に少ない」とある。

良い教科書になると思う。

ちなみに、表紙の絵は、高橋由一の「美人(花魁)」と狩野芳崖の「仁王捉鬼図」である。

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第14回アートコレクョン展

2008年09月01日 | 美術

ホテルオークラ東京で開催された(8月8日~8月30日)。
この展覧会のフルネームは「
チャリティーイベント アートは世界の子供を救う第14回 秘蔵の名品 アートコレクション展」で、企業、個人等が所有し普段は観ることができない名画が並ぶ。

昨年から行っているが、今年は「パリノエスプリ・京の雅・江戸の粋」との副題があり、モネを中心とする印象派の絵画に、それらに影響を与えた日本絵画が展示されていた。


モネの「カミーユ夫人」。夭折した彼の妻の肖像画だが、顔がはっきり描かれたものは珍しいそうである。
2人の息子を残し、32歳で亡くなったと思って観るからか、その表情からは幸の薄さを感ずる。


伊藤若冲の「松下群鶏図」。彼は庭に放し飼いにした鶏を観察・写生したそうだが、特に羽根の細かい表現に感嘆した。


竹内栖鳳の「虎」。六曲一双の右隻の部分だが、その顔は猫でありほほえましかった。

この他、写真はないが伊東深水の「お手前」も良い作品だと思った。

簡単には観ることができない絵画を観ることができる貴重な機会である。
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いきもの集合!

2008年08月30日 | 美術

フルネームは「夏休み特別企画 いきもの集合!-描かれた動物たち-」で、山種美術館で開催中(8月2日~9月7日)。

夏休み中の子供も楽しめるようにと、動物を描いた日本画の特集である。
牛、馬、山羊、鹿、兎、猿、孔雀など多くの動物が登場するが、私の目当ては「フクロウ」。


まずは、山口華楊の「木精(こだま)」。観るのは2回目だが、老木の守り神といったところである。136.3×185.0cmと大きな絵で迫力がある。


横山大観の「木兎」。この絵があるのは知っていたが実物を観るのは初めて。
軸装されており、風格があった。

もう1点、竹内栖鳳の「みゝづく」があったが、この絵葉書はなかった。その代わり?冒頭に示したチラシに使われている。


一番可愛いと思ったのが、この竹内栖鳳の「鴨雛」。
腹一杯えさを食べ、お腹を上にしてひっくり返っている様子が何とも言えない。


川端龍子の「黒潮」。
この写真よりももっと濃い海を細部まで書き込まれたトビウオが飛んでいる様子は目をひいた。

親しみ深い動物が多く、楽しい展覧会であった。

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北斎館

2008年08月14日 | 美術

7日に訪問。
なぜ小布施に北斎館かというと、北斎が80歳台半ばに地元の豪商に招かれて小布施に逗留し、寺院、祭屋台の天井画を描いたからだそうである。

館内の一室には肉筆画が展示されていたが、「このような絵があったのだ」と思った2点を紹介する。


「水恋鳥」。カワセミのことだそうである。


「水瓜と包丁」


冒頭に書いた祭屋台の天井画は4枚が屋台と共に展示されていた。
そのうちの、「鳳凰と龍」である(他の2枚は「男波」と「女波」)。





どのようにして江戸から小布施まで行ったのかは知らないが、80台半ばで長旅をし、しかも旅先で大作を描いたということに驚嘆した。
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木彫 前原冬樹展

2008年08月13日 | 美術

おぶせミュージアム・中島千波館※で開催中(8月1日~10月7日)。

これを目指して行ったわけではなく、たまたま開催中であった。
前原冬樹は1962年東京生まれ。プロボクサーとしてリングに立った後、東京藝術大学で油絵を学び、卒業後は木彫に転じたという異色の経歴の持ち主。

ありふれた物を題材に「スーパーリアル」な作品を作る。
このチラシに使われているのは「空缶」と「木の芽」。彩色された木彫なのだが、本物のようだ。


「自在蟹」。このように白木のままだと木彫であることが分るがほとんどの作品は彩色されている。
ところで、この作品、「自在」と名づけられているので、関節が動くのだろうが、当然?確認はできなかった。


ジェルトンという東南アジア産の木材を用い、「一刻」と題されている。
道端などに放置されていたら誰も振り向かないだろう。

チラシには「触りたくなるような衝動を抑えて、作品ひとつひとつを、そしてそれが発する空気を感じて、じっくりとご覧いただければと思います。どうぞ、熟視してくださいますよう。」とあるが、「衝動を抑える」のに苦労した。

※中島千波館は、昭和20年(1945年)に日本画家中島清之の三男として、疎開先であった小布施で生まれた中島千波が小布施町に約1000点の作品を寄贈したことから開設された。
いつの日か、常設展を観てみたい。

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東山魁夷展

2008年08月12日 | 美術

「生誕100年」と題され、長野県信濃美術館 東山魁夷館で開催中(7月12日~8月31日)。
東京国立近代美術館でも開催された(3月29日~5月18日)のだが、大変な混雑のようなので善光寺詣りと併せて長野まで出かけた。

これは、展示されたいた作品の中では15歳の時の「自画像」を除くと最も初期、20歳の時の作品で「山国の秋(試作)」と題されている。
後の単純化、パターン化は見られず、写実的な作品で人物も描かれているのが珍しいと思った。


「残照」(1947年)。
戦後、すべての肉親を失い失意の中で千葉県の鹿野山に登り、初めて自然とひとつになったとの実感を得て描いたそうである。


「たにま」(1953年)。
何枚かのスケッチ、小下図、大下図が併せて展示されており、作品の成立過程を居観深く観た。


「緑響く」(1982年)。
シャープのCMに使われた作品だが、モーツアルトのピアノ協奏曲第23番の第2楽章を聴いていて思い浮かんだ情景を描いたとのことである。


「夕星」(1999年)、絶筆である。
夢で見た風景を描いたそうだが、明るく輝いている星が水面には描かれていないのが象徴的なような気がした。

この展覧会は「本制作約100点、スケッチ・習作約50点を数える大展覧会」で、「これまでの東山の回顧展で最大規模」(同展のオフィシャルサイト)だそうで、唐招提寺の障壁画まで展示されている。

東山魁夷展は2004年に横浜美術館で開催されたものも観たので、その主要作品はほとんど観たことになる。

なお、この展示会の音声ガイドには東山本人による解説もあり、大変参考になった。

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ルオー大回顧展

2008年08月07日 | 美術

出光美術館で開催中(6月14日~8月17日)。

ルオーの絵では道化師を書いたものが好きなのだが、「大回顧展」だけあっていくつも観ることができた。
制作年代順に紹介する。


1912年の「白い靴下の道化師」。
出番を終えて化粧を落としているところだろうか。疲れたような憂いを帯びた顔が印象に残った。


1925年の「小さな女曲馬師」。
道化師ではないが関係あるサーカスの絵。馬までがリボンをつけていて可愛い。


1932年の「小さな家族」。
道化師一家の団欒の様子がほほえましい。


1953~1956年の「アルルカン」。
道化師の顔というよりも神の顔といっていいほど崇高な感じがした。

この展覧会で驚いたことが2点ある。
・まず、副題が「没後50年」。これほど現代に近い人だとは知らなかった。
・次に展示されていた約230点の全てが出光コレクションだということ。 
出光美術館と言えば日本美術と思っていただけに意外であった。
要は「勉強不足」ということなのだ。

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「対決 巨匠たちの日本美術」展

2008年08月05日 | 美術

東京国立博物館で開催中(7月8日~8月12日)。

中世から近代までの日本美術の巨匠24人を2人ずつ組み合わせ、「対決」させる形で紹介する展覧会。

取り上げられているのは、
第1会場が「運慶vs快慶」、「雪舟vs雪村」、「永徳vs等伯」、「長次郎vs光悦」、「宗達vs光琳」、
第2会場が「応挙vs芦雪」、「仁清vs乾山」、「円空vs木喰」、「若冲vs蕭白」、「大雅vs蕪村」、「歌麿vs写楽」、「鉄斎vs大観」。

「創刊記念『國華』※120周年・朝日新聞130周年 特別展」ということで、国宝10点、重要文化財39点、重要美術品3点を含む延110点の作品が並ぶ。

名品揃いで「感嘆しきり」だったが、面白かったのが「応挙vs芦雪」。




上が応挙の「猛虎図屏風」で下が芦雪の「虎図襖」(ともに部分)だが、どちらも顔は猫である。今にも飛び出しそうな迫力で芦雪に軍配を上げる。

一番感動したのがこの蕪村の作品。


二幅一対の「鳶鴉図」のうちの鴉図で、冬の寒さ、厳しさが伝わってきた。

※「國華」とは、明治22(1889)年に岡倉天心らによって創刊され、現在も刊行されている美術研究誌だそうで、今回初めて知った。

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4人が創る「わたしの美術館」展・その4

2008年07月16日 | 美術

最後のコーナーは、脳科学者茂木健一郎氏のコーナーで「絵画の福音」と題されている。


実はこの絵が一番観たかったもので、その美貌の対極のおどろおどろしい絵を描く日本画家松井冬子の「世界中の子と友達になれる」。
まず、181.8×227.8cmというその大きさに驚いた。
そして、題名には希望が感じられるが、描かれた女の子の足には血がにじんているし、一見美しいフジの下端の黒い部分はハチの塊である。
さらに、画面の右に描かれている乳母車は、彼女が赤ん坊の時代からそこで育ったことを暗示しているように思え、外の世界を覗いてはいるものの、そこから出られるとは思えなかった。


フランシス・ベーコンの「座像」。
ピエロだろうが、その顔の一部は垂れ幕に隠れ、鼻から下は崩れているように見える。
舞台での明るくおどけた姿の裏にある疲労、悲哀を見たような気がする。


コーナーの最後にあったのが、この小川晴暘の「弥勒菩薩像(中宮寺)」。
シリアスな魂を揺さぶられるような作品が多かったので、この写真は「救い」を感じさせた。

今回の展覧会は4人のゲストキュレーターが選んだ作品をそれぞれのコーナーに展示するもので、各コーナーが個性と独自のまとまりをもつ興味深い展覧会だった。

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4人が創る「わたしの美術館」展・その3

2008年07月15日 | 美術

3番目のコーナーには、はなさんが選んだ作品が並ぶ。
彼女は大学で東洋美術史を専攻し、仏教美術に造詣が深く、NHKの「新日曜美術館」の司会も勤めた。
今回は「ほほえみ浮かぶ、絵の中で」と題し、「心がくすぐられ、見た時に思わず「くすっ」と微笑んだ」作品を選んだそうである。


ピカソとその息子クロードの写真だが、微笑ましい。特にクロードの表情が何とも言えない良い写真だ。後で気づいたのだが、写したのはロバート・キャパである。


横山大観の「装飾文字「寿」(仮題)」。安田靫彦文化勲章受賞記念画帖のために書かれた作品である。おもしろい作品だった。


藤本四八の「善財童子」。彼方を見つめる無心な目に惹かれた。

深刻にならず、良い意味でサラッと観られる諸作品であった。

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