ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『エリザベスタウン』

2005-11-11 23:28:34 | 映画
ドリューは、シューズメーカーのデザイナーをしていたが、新作が大量に返品され、会社もクビになってしまう。失意の中、父親が亡くなったと聞き、父親の故郷に向かう。

うーん、この映画ね、人生に絶望した主人公が人々の優しさに触れ立ち直っていく物語なんだろうけどね、たかが一足のシューズで10億ドルの損失を被る企業が、どこにあるのだろうか。クビになったことが自殺しようとするほどの辛いことなのか疑問。「自殺マシーン」を作ってるあたり、こちらをおちょくってる。別にその損失をドリュー自身が背負ったわけでもなし。端から見れば、人生95点だった若者が80点に減点されただけのこと。結局恵まれてるさ、ドリューは。そんな出だしから共感できず、映画の中に入って行けなかった。

終盤の一人ドライブは、アメリカの田舎風景がきれいで、流れる曲もカントリーやポップ、ロック、様々で良かったけど、そこに向かうためのストーリー自体が長い前フリのように感じてしまった。だから、CMのおすぎのほめ方は感心しません。

それから、前にも書いたけどもう一度書きます。キリスティン・ダンストはヒロイン向きの女優ではありません。断言するとかわいそうかもしれないけれど、カワイイ感じを出そうと頑張れば頑張るほど、ウザさを感じてしまう。今作は、オーディションから受けたっていうことだから、自らやりたい役だったのだろう。『エターナル・サンシャイン』の病院の受付嬢役は良かったから、もう少し考えて欲しいなぁ。

『空中庭園』

2005-11-11 22:47:55 | 映画
まもなく移転する、ユーロスペースにて。

なんでも包み隠さず話し合うことがモットーの京橋家。しかし、父親は愛人を持ち、息子はその愛人を自分の家庭教師にし、娘は学校をサボり見知らぬ人物の相手をしていたのだ。

なんと、息苦しい映画だろう。隠し事をしないというタテマエを作ってしまったからこそ、隠しているものが、さらに気持ち悪く映ってしまう。家族の住んでいる郊外のベッドタウンに建てられたマンションは、日の光が多く入り込むように作られ、街も、広いスペースを開けて道や建物が並び、快適そうである。でも、なんだか、それは人間の営みまで「設計」されているように見えてしまって、ぽっかりと空いてしまった空虚な空間のように思える。どこかで見たことがある風景だと思っていたら、うちの大学の近くで撮影したようだった。どおりで「ホテル野猿」が登場するのか。

その空虚な感じは、リンクするようにこの家庭の中にも見えてくる。理想の家庭を作るための、小泉今日子の完璧な「つくり笑顔」、バースデーパーティでの母親への恨みの「死ねよ」の一言、赤い雨の中での絶叫。シーンごとのギャップを見事に演じきっている。すごいよ、これは。自分の手で見事な家庭を作ったようでいて、崩壊していく。苦しい。家族再生の物語だというけれど、ラストで出てくる白い花や人形のプレゼントは、リスタートを意味しているようで、何にでも染まる白という色を見ていると不安が過ぎって、やっぱり息苦しかった。

最初のシーンで、麻薬のことが朝食の話題に出て、苦笑。ある意味、監督は最高の「演出」をしてしまったのかも。のぞき込んだり、ユラユラ、グルグル、といった浮遊感のある映像は、ここから来たのかと妙に納得させられる。

帰り道の新宿駅で、映画の中に出てきた、飼い犬のようにロープに繋がれた幼児というものを見かけた。あまりにも、タイムリーすぎてちょっとぞっとした。