吉敷(よしき)川だより

山口盆地を小さく貫く吉敷川、そのほとりに住まい、キノコや花を求め、山野を彷徨っています。移ろいゆく自然に心を重ねながら。

ハチノスタケ及びその類似種

2014-01-31 | Weblog
 今日もまた春先のような暖かさで、萩方面へ出かけてみる。

 日本海の白い波が打ち寄せる海岸で、妻は桜貝を求め、わたしはケシボウズタケの仲間でも見つかればと、しばしさまよう。
 きのこは何も見えず、桜貝のコレクションを少し増やして、次の場所へ移動し森を歩く。

 何種かのきのこをカメラに収め、昼食を取ってさらに椿群生林に向かう。
 途中の道傍の椿は既に満開であった。
 さぞや群生林は椿の花が溢れていることだろうと、期待したが、これがまったくで、見頃は今しばらく時間がかかりそうである。
 モズのうわずったような鳴き声だけがあたりにこだます。

 帰り際に思いがけなくFさん夫妻に出逢う。歳を取る早さを嘆きあい、分かれたが、本当に、珠玉のような日々もあっという間に過ぎてしまい、2014年の1月はもう過去になろうとしている。

 閑話休題(それはさておき)
 生物を形作る最小単位の細胞のすばらしい能力を、新しく見いだした小保方晴子さんが新聞テレビで賑やかに報じられている。
 我々の細胞は遙かなる遠い昔の単細胞時代に獲得した能力の、その余韻を今に伝えているようである。すなわち、ストレスを受けた時の身の処し方は数十億年前の昔のまま、その形質を今に伝えているということであろうか。
 彼女の中学二年の時の読書感想文も目を見張るものがあったが、とにかくこれから、わたしもいっそう長生きして、彼女のさらなる進化のさまを見たいものと思う。
          「今日のきのこ」
          
          シイタケ Lentinula edodes カサ径5cmほど。5~6mから上は既に折れてなく、立ったまま枯れた幹周り1mほどのシイ
          の木に幼菌がぼこぼこと生えていた。本種は大分前にはヒラタケ科であったが、それがあっと驚くためごろう、ツキヨタケ科
          に変わった。今はさらにホウライタケ科に変わっているようである。さまよえるシイタケよ、お前はどこへ行く!
        
        ハチノスタケ近似種 Polyporus sp. カサ径2cmほど。管孔がハチノスタケより小さい。サビハチノスタケではと思ったが、錆びて(?)いない。
          
          同上 管孔面の様子。管孔は小さい。
          
          ハチノスタケ Polyporus alveolaris カサ径2cmほど。上記に比べ管孔は大きい。
               
               ツバキキンカクチャワンタケ Ciborinia camelliae 椀の径は1.2mmほど。
               
               キクラゲ Auricularia auricular-judae 大きい方の径は6cmほど。この森ではアラゲキクラゲと勢力を二分している。
          
          同上 カサ裏の胞子を作っている面。
           
          同上 さらにアップで。
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冬が来た 高村光太郎

2014-01-30 | Weblog
 今日も暖かいが、冬の詩人と言われた光太郎の若き詩を一篇掲出したい。冬を想い、そしてその先を・・・。

  冬が来た   高村光太郎

 きっぱりと冬が来た
 八つ手の白い花も消え
 公孫樹の木も箒(ほうき)になった
 
 きりきりともみ込むような冬が来た
 人にいやがられる冬
 草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
 
 冬よ
 僕に来い、僕に来い
 僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
 
 しみ透れ、つきぬけ
 火事を出せ、雪で埋めろ
 刃物のような冬が来た


 この言葉の強い語調が、わたしにはまぶしい。だが、自分の若い時にも、そんな日もあったかと想われて懐かしい。
 若いというのはいい、だが、すぐ老いることもな忘れそ・・・。
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ぼうぼうばくばく

2014-01-29 | Weblog
 この間から歩いてみたいと思っていた、本州最西端の町下関へ向かう。
 国道435号線を豊田まで走り、そこから県道34号線をさらに西進し、深坂の森を訪ねた。

 森は乾いていて、きのこはまるで見られず、その上、湖畔の遊歩道は伐採作業のため通行禁止で万事休す。
 昼食を取って、もう春の気配を漂わせる田園地帯を走り抜け、来る時通ったであろう道を引き返す。

 人は誰も、皆過去になるせわしない時を生きている。そうして、今日という日もまたぼうぼうばくばくとせつない過去となる。

 昼過ぎて、図書館で新しく本を借りたり、吉敷支所で自分が自分であることの証を、免許証を持参して、やっと証明印をもらったり、「きのこ図鑑」に新しく5種を掲載したり・・・とわたしはわたしの時間をあっさりと費やす。
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クヌギタケ属

2014-01-28 | Weblog
 午後は雨の予報なので、近場をと、市内北部の標高300mあたりへ出かける。
 道すがら、里山の落葉樹の一群が目に入る。その枝先には光がくぐもってけぶったように見えるのであった。

 目的地の凍えた大地に立つ。ここはまだ、スギが怒ったような褐色の姿を見せず、青々としていた。
 だが、雪の重みで腕より太い大枝が、あちこちで折れていた。

 日陰部分が多い山地の凍てついた大地を歩くのは芯まで冷える。それでもきのこは生えている。凍りついたままクヌギタケの仲間が幼菌を含めて10本近く出ていた。

 一箇所に屈んで写真を撮ると、外気の冷えが足もとから這い上がってくる。背中には「貼るカイロ」を貼り付けているが、寒いところでは効きが悪い。
 何カットか撮って、早めに移動する。

 雪に溢れたこの森ももうしばらくすると、わたしのかけがえのない遊び場となる。愛しき森を後に車のエンジンをかける。
     「今日の写真」
     
     クヌギタケ属 Mycena sp. ラッシタケ科クヌギタケ属。カサ径大きいものは4.5cm。きのこもその周りの枯れ枝なども凍りついていた。
        
        同上 ヒダや柄の様子。
        
        スギエダタケ Strobilurus ohshimae タマバリタケ科マツカサキノコ属。カサ径2cm。まだあちこちに何本か見られた。
     
     アラゲカワラタケ Trametes hirsute タマチョレイタケ科シロアミタケ属。カサ径4cm前後。ちょっとカサの色が暗色になっているものが多いが
     本種名でいいようだ。
       
       同上 管孔の様子。
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ヒメツチグリ

2014-01-27 | Weblog
 山口盆地の空は、見上げれば雲一つなく、突き抜けるような深い碧の色がさわやかである。
 最近テレビで放送された俳人芭蕉が気にかかり、彼の句を理解するため、借りていた『俳句入門 実作への招待』を読み終える。

 これが又面白くて、俳句への理解が進みそうである。何度も読みかえす必要があり、本屋に注文することにした。

 昼過ぎて、久しぶりに吉敷川沿いを上ってみる。外気はことのほか冷たい。陽の当たらない竹林の影では、まだ霜が溶けず、空気までが凍っているようであった。

 川の水は以外に多く、モズやジョウビタキが川岸に生えた灌木の枝に羽を休めている。川の流れが変わったのか、思わぬところにハヤがうごめき、人の足音に反応して、すばやく身を翻す。
 正面に仰ぎ見る鳳翩山は、まさに眠るがごとくたおやかである。
 生きていることを実感しつつ、できるだけ歩幅を広げて歩く。

 きのこを撮る用意はしていなかったが、ヒメツチグリがたくさん生えているところに行き当たる。
 ウォーキングを終えたら、車でもう一度来なくてはならない。

 8500歩ほど歩いたが、厚着をしていたため、汗をかいてしまい、着替えて再び車で出かけ、きのこを撮った。ヒメツチグリは探して見つかるきのこでもなく、偶然出逢うきのこのようである。
     「今日の写真」
     
     東鳳翩山 山まさに眠るがごとし。  幾千のたましひをさめ山眠る  稲畑廣太郎
       
       ニレサルノコシカケ Rigidoporus ulmarius カサの大きなものは30cm近くある。エノキの巨木の根元に、何年も前から出ているのを見る。
     
     ヒメツチグリ Geastrum schmidelii 内皮の径8mmほど。外皮の先はしっかり土を掴んでいる。ふくれたところをちょっと押してみると、中から
     胞子を噴き出す。胞子は球形でとげ状、大きさは3.3μmほど。
        
        同上 ちょっとアップで。内皮には短柄がある。
     
     同上 視点を変えてさらにアップで。
     
     同上 これはすぐ近くの立ち枯れた木に苔が生え、その中から出たものである
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ニセニクハリタケ

2014-01-26 | Weblog
 秋吉台辺縁の森へ出かける。途中雪の残っているところを通ったが、目的地のあたりはまるで雪はなく、きのこ探しには良いあんばいであった。

 天気はとても変わりやすく、晴れているかと思うと、霰(あられ)が音を立てて降り出す。カメラに傘を差し掛けてもらって何種か撮った。
 車に帰って昼食を取り、もう1箇所へ回る。

 スギやヒノキが植えられた林道を歩いた。初めての場所だったが、面白そうな森で、これからが楽しみである。
 ただしばらくはスギの花粉がガードしているので、それが落ち尽くしてから歩くことになる。
 くしゃみが出て、鼻水がつーっと流れる。きのこ探しはスギ林も面白いが、これから厄介な季節となり、しばらくは敬遠せざるを得ない。
          「今日の写真」
          
          クロハナビラニカワタケ Tremella fimbriata 全体の幅7cmほど。
       
       チウロコタケ Stereum gausapatum カサは放射状に波うち屈曲する。子実層を傷つけると血のような液をにじみ出す。
          
          ニオイアシナガタケ Mycena filopes カサ径7mm。かろうじて残っていた。
            
            タマキクラゲ Exidia uvapassa 球形~座布団形で1.2cm前後。互いにひしめき合っているが、融合しない。
            細かいイボに覆われている。
                        
                        ヒラタケ Pleutus ostreatus 7~10cmほど。既に老菌で、カサの裏
                        には線虫が白いつぶつぶを作っている。
          
          フユノスギカワタケ Gloiocephala sp. カサ径2cmほど。カサの白い幼菌がたくさん出ていた。
          
          不明種 
                        
                        センボンクヌギタケ Mycena laevigata カサ径1.5cm弱。
               
               キクラゲ Auricularia auricular 径2cm弱の幼菌。
       
       ニセニクハリタケ Steccherinum murashkinskyi カサ径4cmほど。半背着生でシナモンのような芳香がある。
       
       同上 カサの様子。
             
            エノキタケ Flammulina velutipes カサ径3cmほど。これも大方は既に老菌であった。
            
            ムラサキシメジ Lepista nuda カサ径15cmほど。既に変色しているが、色香は残っている。
          
          ムサシアブミ 大人の握り拳くらいの大きさで、他にも4~5個見られたが、皆倒れている。鳥のついばんだ痕のあるものもあった。
       
       ヒメシロカイメンタケ Oxyporus cuneatus カサ径2~3cm。ヒノキの倒木に群生していた。
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かんがへのまとまらぬゆゑ

2014-01-25 | Weblog
 2008年、大山で行われた日本菌学会の採集会のおりに、配布された資料は形態的な分類から遺伝子解析による新たな視点で分類が為されたもので、新鮮な衝撃を受けた覚えがある。

 その資料を元に不備は承知で、自分で担子菌の分類体系と子囊菌の分類体系を作っていた。

 基礎資料は英文で書かれたものばかりで、その一部は『Dictionary of Fungi , 9th Edition』などがそれであった。
 現在では『Dictionary of Fungi , 10th Edition』となっているようだが、わたしにはそれを読み解く力はないので、「本書なしで菌類の分類を語ることはできない」と言われると、まあそのとおりなのであった。

 しかし、ホームページ「気分はき・の・こ」ではそれらをふまえた分類表を日本語で書いておられる。ありがたく、いそいそとそれをコピーして手近なところに置いている。

 それを垣間見ると、ハラタケ類、ヒダナシタケ類、腹菌類、キクラゲ類などとした旧分類に分けるには無理があるようである。安易に旧分類体系でと思っていたのだが・・・。
 新しい目レベルでの認識に従う方がよいように思われ、わたしの逡巡とする日は続く。

 かんがへのまとまらぬゆゑ雪をまつ 森 澄雄
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老人性痴呆

2014-01-24 | Weblog
 10時予約の歯医者へ出かける。小さな待合室に、老夫婦と中年の女性の3人の先客である。

 「寒くはないですか」などと、老婦人をいたわるように老人が声をかけるのを聞いて、どうやら老婦人の歯の治療に夫が付き添ってきているらしい。
 何と優しい夫だろうと思いながら、わたしは週刊誌に目をやりつつ彼らの話声を聞くともなく聞いていた。

 やがて、名前を呼ばれ、老婦人をいたわりながら診療室に入ったが、すぐに出てきた老人の首には名札がぶら下がっていることに気づく。
 どこかの施設の職員のようで、この老人が先ほどの老婦人の歯の治療に付き添ってきたものであろう。

 やがて治療を終えた老婦人はその老人に帽子をかぶせてもらったり、防寒着の前のジッパーを上げてもらったりして、しきりに「すみません」、「ありがとうございます」と、礼を述べていた。

 それから瞬時、その老人が帰りましょうと言った途端、彼女の態度は急変する。
 「どちらさまですか?なぜわたしがあなたと帰らなければなりませんか?どこに帰るのですか?」と矢継ぎ早に、先ほどの礼を言った口調とはがらりと変わったクールな声で、相手を譴責するのであった。

 わたしは週刊誌を持っている手に思わず力が入り、隣の中年の女性と顔を見合わせる。老人は困ったように、「帰るところは○○苑ですよ。」とこびるような笑顔で答えたが、それもかえって悪かったようである。

 老婦人は、自分の家に帰る、と言ったり、しばらくしてもう自分の家はないなど言っていたが、座ったまま動こうとせず、がんとして付き添いの老人の言うことをはねつけるのであった。

 老人は困って電話をしたりしていたが、受付の女性に援軍を頼む旨告げて、出て行った。
 ほどなくわたしも治療を受け、待合室に戻ってみれば、件の女性の姿はなかった。

 座ったまま、不安げな様子であらぬ方を注視する老婦人の姿が、印象的で、老人性痴呆という現実に初めて逢着し、しみじみと厳粛な気持ちになるのであった。


「きのこ図鑑」に5種追加する。
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チャムクエタケモドキ

2014-01-23 | Weblog
 夢である。広島へ出張して、車を広島へ置いて、なぜか山口県の大島のあたりを歩いている。どうしても帰り道が辿れず、いたたまれない不安に、目が覚めれば、既に8時近い。
 導眠剤アモバンに似たジェネリック製品のゾルピデムを半錠飲んだのだが、薬の所為でもないのだろう・・・。

 朝の6時から始まるラジオ講座は聴けるはずもなく、夕方の放送を待たねばならない。
 居間の炬燵で朝刊を開けば、田中将大選手のアメリカ行きは「ヤンキース」に決まったと報じていた。7年契約で161億円とある。金額はわたしには想像できないが、彼の活躍する姿を見たいものと思う。

 南向きの窓から、冬の陽が惜しみなくわが居間を照らす。優しい陽の色はもう春のようである。
 遅く起きてしまい、遠くへ出かけることを断念して、市内の森を歩く。

 日陰の凍みたところではつららが下がっていて、雪もあちこちに消え残っていた。しかし、歩けば冬のけなげなきのこに出会える。
 老いてなお、この生を燃焼させる幸せを感じつつ帰途につく。

 「きのこ図鑑」に5種追加する。
         「今日の写真」
         
         つらら 日陰の苔むした湿地の岩から垂れ下がっていた。
       
       チャムクエタケモドキ Tubaria furfuracea カサ径2cmほど。山道の草原の枯れ草上に点々と出ていた。
               
               同上 
          
          フユノコガサ Galerina heterocystis カサ径1.3cm。本種も寒い冬を厭わない。
          
          シカタケ Datronia mollis 半背着生。小さな流れを跨いだ倒木に生えていた。
       
       オロシタケ Heterochaete delicate 背着生で互いに癒合する。子実層は細かいとげ状。これがヒメキクラゲの仲間と言う。
       進化は何でもありのようである。
       
       クシノハシワタケ Lopharia cinerascens 背着生。子実層の歯牙状の模様はなかなかどうして美しい。
       
       スエヒロタケ Schizophyllum commune カサ径1.5cm前後。免疫力が衰えた者には気管支などに取り付き、そこで繁殖する
       (さすがにきのこは作らないようだが)という厄介なきのこではある。東南アジアではこのきのこを煮出して出汁を取るというから、
       世の中は広~い。
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今日も家居

2014-01-22 | Weblog
 今日も一日、あれこれきのこの旧分類体系を飛び越えて行ったものの処遇の仕方を考える。素人なのでその辺は変幻自在に割り切りたいとは思うのだが・・・。

 今日も寒い日で、家居を決め込んだが、明日からちょっと気温がゆるむようだ。行ってみたい森があり、明日朝決断しよう。

 「きのこ図鑑」に5種ほど追加した。ちょうど1000種になった。
 この素人図鑑を作るのは労も多いが、益するところもまた多大で、良い勉強をさせてもらっている。
 いつまで続けられるか分からないが、できるだけ、と夢は持ち続けたい。
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