吉敷(よしき)川だより

山口盆地を小さく貫く吉敷川、そのほとりに住まい、キノコや花を求め、山野を彷徨っています。移ろいゆく自然に心を重ねながら。

どうぞ、良いお年を!!

2013-12-31 | Weblog
 朝は霧がすっぽりと大地を覆っていた。正月を迎える大方の準備はできていて、家にいても邪魔になるので 、一人で出かける。
 濃い霧は差し始めた陽の色に彩られて、ぼっと明るくメルヘンチックである。

 江汐公園へ出かけたが、既に公園の駐車場は閉まっていた。近くの道路のふくらみに車を駐め、園内を歩く。

 木についた硬いきのこを見ても、脳はよろこぶ。思えばこの脳を喜ばすために今年もよく歩いたように思う。
 2~3のきのこを見て、今年最後のきのこウォッチングを終え、昼食を取り、帰途につく。

 今年1年、つたないブログを訪れていただき、ありがとうございました。
 来年も、野山をたずね歩き、たくさんのきのこの気配を伝えることができればと願っています。
 本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 どうかよいお年をお迎えください。

          「今日の写真」
          
          クジラタケ Trametes orientalis カサ径8cm前後。何カ所かに出ていた。
            
            ネンドタケモドキ Phellinus setifer 頭上の枯れ枝上に付いたものが、足もとに落ちていることが多い。カサには
            剛毛が密生する。
            
            カキシメジ Tricholoma ustale カサ径3cmほど。近くにには古くなった、シモコシも見られた。
          
          キミノタマミズキ 実の径は3mmほど。実が足もとに落ちて初めてこの木の存在を知る。タマミズキはよく見るのだが、
          本種は少ないようである。
     
     シモフリヌメリガサ Hygrophorus hypothejus と思う。 カサ径3.3cm。フユヤマタケとの異同は今ひとつはっきりしない。この1月にここで、
     カサ径5.5cmの個体を見ている・・・。
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冬の火

2013-12-30 | Weblog
 冬の火    津 村 信 夫

 屋根の上で雉が鳴いていた
 澄明な空と冷たい空気
 これこそわたしが選んだ季節だ
 枯れた薄(すすき)を
 自動車がしいて行った
 夕日が一つの家の中を
 いつまでも照らしていた
 心の内なる促しが
 こうして
 私をはこびさる
 野の末に
 そして山あいに

 山人の驕奢(おごり)の名残か
 色づいたままの
 葉が朽ちていた
 朽ちた葉の小径が
 私を山人の家に導いた
 一つの業を守り
 いくつもの夢を忘れて
 煤(すす)けた障子のもとに
 その人は
 孤り者の火を抱いていた



 解説に「この山人の孤独と閑寂の人生は、信夫の人生観に深い衝撃を与えたにちがいない。
 なぜか、その人の人生が、侘びしくも清らかな冬の火のように心あたたまるものに見えた、というのである。」とあった。
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切なる願い

2013-12-29 | Weblog
 今年は早くから雪が降り、雪がなくてスキー場が悲鳴を上げていたのは何時だったかしら、と自然の摂理の微妙さを思う。

 わたしが春・夏・秋と、きのこを求めてさまよう広島県芸北の八幡では1m以上の雪が積もっているらしい。
 暖温帯に住む者としては、雪の多い方が、次のシーズンのきのこや作物の収穫が良いように思え、冬の豊かな雪は歓迎である。

 今日もとても寒い日で、朝目が覚めると、はだら雪が山肌を点々と白く染めていた。日中は朝方雪が降ったが、陽の差す午後となった。

 一日中どこにも出ず、ブルーバックスの『死なないやつら 極限から考える「生命とは何か」』をボールペンで赤線を引きながら読み終えた。
 多くの新たなことを知る喜びは何ごとにも代え難い。

 生物に関する学問の領域も広いようだが、残念なことに、菌類学に関するこうした研究者の書いた読み物は少ないように思う。
 日頃、調査、研究、論文の発表と、忙しくされていることとは思うが、浮世にもっとアナウンスしてもらいたい、というのが切なる願いである。

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オニフスベ

2013-12-28 | Weblog
 下松(くだまつ)市のナルちゃん宅を二人して訪れる。
 まだ、ジャパニーズは話さないが、次第にそれらしくなってきた。わたしがキリンは?と言うと、ちゃんとキリンのオモチャを持ってくる。
 ライオンと言えばライオンを、ゾウさんといえばゾウさんを持ってくる。

 その瞳の輝きは、遠い日に3歳と3ヶ月で逝ってしまった、わが愛し子と重なる。わたしは目を見開いて、愛しき孫ナルちゃんを見つめる。

 ナルちゃんはわたしのバイバイにはあっさりと応じる。彼と別れて、一人光(ひかり)市へ向けて車を走らせる。
 海辺のクロマツ林を歩いたが、マツカサタケはどうしても見つからず、マツカサキノコモドキばかりが折り重なる松葉の下に、たしかな命の姿を見せていた。

 さらに、海辺の道を歩いたが、乾いていて、きのこはまったく見えず、場所を変えて山寄りの森を歩く。
 わずかに、ハダイロガサが見られ、さらにカリンの実が転がっているところに、オニフスベが転がっていたのを撮した。
 見回せば、オニフスベは5個ばかりそこここに見られるのであった。

 今から帰る旨の電話をして、下松へ引き返す。

 そうして、下松の家を辞去する。わたしたちがナルちゃんと分かれる際、妻がバイバイをすると後を追うようにぐずる。
 正月はすぐそこ、またナルちゃんに会える日を楽しみに、国道2号線を山口へ向かう。
       「今日の写真」
       
       ハダイロガサ Cuphophyllus pratensis カサ径2cmちょっと。この厳寒期に姿を見せて、わたしの無聊をなぐさめる。
          
          同上 すぐ側の別菌。
     
     オニフスベ Calvatia nipponica 頭部の径は25cm前後。既に外皮は剥げ、胞子は風に任せて散布されているようだ。すぐ側に香りの良い
     カリンの実が転がっていた。撮り終えてあたりを見渡せば、オニフスベがなんと計5個ばかり、大小取り混ぜて転がっていた。
     カリンの実のきれいなものを2個ばかり持ち帰る。2~3日は良い香りが続く。
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北岳にて

2013-12-27 | Weblog
 北岳にて    辻 まこと

 山巓(さんてん)の岩に座って一時間。
 目は光りを吸い、耳は風の音をひろっているばかり。
 登りつめたそのときに、バンザイとさけんでいたら、あるいはヤッホーと声にだして息をはいたら、わたしの何かがおわっただろう。
 それをとどめたものは何だろう。

 足もとの岩に、ハイマツの群れに、遠い森に、山なみに、雲に、呼びかけることができたら、
 私の何かが出発しただろう。
 それをとどめたものは何だろう。

 もしまた風の音に失われたものの声をきき、目をとじて唱和できたなら、私の感情は安らかなねむりを得るだろう。
 それをとどめたものは何だろう。

 山巓の岩に座って一時間。
 寂しい―――という一つの言葉が粟つぶのように心に浮かんできた。だが私はそれを声にできない。
 沈黙は認識ではない。でもそれは私を一生歩かせる。
 歩きつづけ登りつづけるほかに登山者には答えようがない。


    『辻まことセレクション1』山と森 平凡社ライブラリー
    初出『エーデルワイス・シリーズ2―――山の詩集』(角川書店1968)

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ハナガサタケのあどけない表情

2013-12-26 | Weblog
 今年もいろいろと出かけて、たくさんのきのこを撮った。
 初めて見るきのこなども、毎年追加されて、わたしのきのこ人生に彩りを添えてくれる。

 写真の整理をしていて、つい撮った状況などが、手に取るように思い出される。
 それは、愛しいナルちゃんの写真を見るのと同じように、わたしの気分を豊かにしてくれる。


 今年もカレンダーが届く。「ドキッときのこ」の竹しんじさんからである。
 10年前にいただいた、2本のベニテングタケの写真を、居間の出窓の傍らに飾っているが、今年は妻が新しく届いたハナガサタケを見て、これに替えたいという。
 わたしに異存はない。
 ベニテングタケもベストショットなのだが、ハナガサタケがとてもいい表情なのである。その誘惑に二人して負けてしまった。

 すばらしい写真をありがとうございました。


 これから数日は、雨や雪の予報である。しっとりしたきのこの写真が撮れるかも知れない、湿った森を歩きたい。
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フユヤマタケ

2013-12-25 | Weblog
 週間天気予報で、年末の晴れる日は今日が一番のようである。
 朝から空は碧く、空気は石英のようにきりっとして冷たく、肌にこびない小気味よさ、気分はいい。

 家人は、あれを洗いこれを乾し、とこの晴天を使い尽くす心意気のようだ。
 やむを得ず、わたしは一人支度をして家を出る。仁保の森を訪ねた。前回歩いてからもう10日になる。

 コノテガシワが植えてある樹下に、コオトメノカサが溢れていた。ハダイロガサ、ハマシメジなどの老菌、あるいはニオイアシナガタケが元気な姿を見せている。
 また、センボンクヌギタケの幼菌がコナラの倒木に溢れていた。

 ナナイロヌメリタケも何カ所かで見たが、柄が青くなって美しい個体は、やはりカメラに収める。
 その他にもフユヤマタケ、キチチタケ、ナガエノチャワンタケ類似種、ナメコ、シイタケ、ケコガサタケ属、キウロコタケ、キヌハダタケ、ツヤウチワタケモドキ、イグチの仲間などを見る。

 昼まで閑静な森で遊んで、帰り際に本屋によって、3冊ばかり本を注文する。年内に入るかどうかわからないとのこと、構わない旨告げて、帰途につく。
          「今日の写真」
          
          フユヤマタケ Hygrophorus hypthejus f.pinetorum カサ径2.7cm。数本見ただけである。
            
            同上 ヒダの様子。
            
            ケコガサタケ属 Galerina sp. カサ径1cmほど。凍みていた。
          
          エノキタケ Flammulina velutipes 大きいものは7cmばかり。凍みていた。見ればつい撮ってしまう。
          
          ナメコ Pholiota nameko カサ径5~7cm。
       
       イグチ類 カサ径2.5cm。春早くから見られる。不明種。
         
         同上 管孔、柄の様子。
         
         同上 切断したもの。肉はやや赤変するようだ。
     
     ナナイロヌメリタケ Gliophorus laeta 大きいものはカサ径2.3cm。柄の青がとても印象的。
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そして、気がつけば後1週間!

2013-12-24 | Weblog
 山口済生会病院へ出かける。予約時刻は10時からだが、予約の1時間前には血液検査を終えていないといけないので早めに出かけ、着いたら8時25分であった。

 内科の待合室には既に多くの人が席を埋めており、受付のカーテンは閉まったままである。診察予約票を箱に入れ、空いた席に座り、文庫本をひろげる。

 ほどなく呼ばれて、採血の指示書を受け取り、採血場所へ移動する。
 採血を済ませて、内科に戻り空いた椅子に座り、時計を見れば8時50分であった。再び文庫本を取り出し、面白いところは赤色の線を引きながら、読む。

 ほぼ10時頃名前を呼ばれ、医師の診断をあおぐ。
 医師が言うには、ほぼ安定しているので、以後はかかりつけの医師に診てもらうように、また、年に1度甲状腺の検査を受けるようにとのことであった。
 その内容などについては紹介状の中に書いておくので、後日取りに来るようにと付け加え、診察後、事務方に連絡先を聞かれる。

 薬を42日分もらって、病院を後にしたのは10時半であった。
 一応これで済生会病院へ通うことはひとまずなくなりほっとする。

 甲状腺に異常があるということで、通い始めたのはつい昨日のことのように思われるが、もう1年半の日月を閲(ケミ)しているのであった。


 昼から、昔使った電気カーペットやその他可燃物を市の清掃場へ運び込み、また資源ゴミも指定の場所へ持って行って、年内に済ませることを一つずつ減らしていく。
 年賀状は、とうの昔に止めていて、あれを書かねばという切迫感がないのはありがたい。そして、気がつけば後1週間!
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チウロコタケ

2013-12-23 | Weblog
 サルトリイバラの実を採りに出かける。ついでに秋吉台の辺縁の森、昨日とは違う場所へ寄ることにする。

 国道262号線沿いの竹林公園へも寄ってみたが、ここはしっかり雪に覆われていて、きのこは見られず、
以前見つけていたサルトリイバラのある場所へ寄って、リースを飾るくらいの実を採り、秋吉台辺縁の森へ向かう。

 人の気配のない森は、湿った空気を保ったまま、ひっそりとしている。
 ほとんど顧みられない、モウソウチクとシイ・カシのせめぎ合う森へと足を踏み入れる。
 無秩序に倒れた古い竹をまたぎあるいは迂回し、着ているものが、木や竹に触れないように、身をくねらせながら歩く。
 そうして目は地上を這い、枯れ木の上を這う。

 シロヒガサ、ナナイロヌメリタケ、ヒメダイダイタケなどの老菌は見るだけとなる。
 その他にも歩けばそこそこにきのこは見られ、カメラに収めることができた。

 冷えた体を車の中で温め、来た道へ、車のアクセルを踏む。
       「今日の写真」
       
       チウロコタケ Stereum hirsutum 半背着生で、傷つけると血赤色の液をにじみ出す。濃いところは爪で傷つけたところ。
          
          シモフリシメジ Tricholoma portentosum カサ径6cmちょっと。周りを探したがこの1本だけであった。
               
               チシオタケ Mycena haematopus カサ径2cmほど。
                    
                    アラゲキクラゲ Auricularia polytricha 径6cm前後。子実層面は平滑だが、背面には毛が密生する。
            
            サガリハリタケ Radulomyces copelandii 長さ5mmほど。
          
          コガネニカワタケ Tremella mesenterica 径5~6cm。広葉樹の枯れ木に何個か出ていた。
          
          エノキタケ Flammulina velutipes 大きいものはカサ径6cmほど。切られた枯れた広葉樹の木口に出ていた。
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ヒメシロアミタケ

2013-12-22 | Weblog
 朝方はまだ路面の凍結も心配されるので、出かけるのは昼からにする。
 ストレッチを念入りに行い、ラジオ放送のテキストを開いて、復習をする。
 もっと密度を高くして、集中してやらないといけないことに今頃、やっと気づく。この気分をずっと持ち続けねば・・・。

 昼食を早めに取り、共に重装備と言うかしっかり厚着をして、もちろん腰にはカイロを貼り付けて出かける。わが里には雪の気配はないが、西鳳翩山、東鳳翩山とも、はだら雪が上半分を覆っている。

 国道435号線の標高300mあたりでは道路傍に雪が積もっていた。この分だと、雪できのこ観察は無理かと思いつつ、秋吉台の辺縁の森に着けば、こは如何に、雪のかけらもないのであった。

 私たちは喜んで森を歩く。
                「今日の写真」
                 
                 ツチグリ Astraeus hygrometricus 内皮の径2cmほど。既に頂口は開いていて、この雨でずいぶん胞子を散布したのであろう。
               
               ウバノカサ Cuphophyllus lacmus カサ径1cmちょっと。
               
               同上 ヒダは垂生で、連絡脈がある。柄は意外と長い。
            
            ヒラタケ Pleurotus ostreatus カサ径大きいものは8cmほど。
            
            ニカワオシロイタケ属 Antrodiella fragrans カサ径6cmほど。和名はまだないようだ。成長期のものは香りがあるのだが、匂わなかった。
            
            センボンクヌギタケ Mycena laevigata カサ径5mmほど。まだこれから大きくなるようだ。
            
            ワサビタケ Panellus stipticus カサ径2cm前後。カワラタケと陣取りゲームをしているようであった。
               
               同上 ヒダの様子、連絡脈はしっかりある。噛めば舌を刺すような辛味がある。
            
            ハカワラタケ Trichaptum biforme カサ径5cm前後。重生していた。
               
               同上 カサ裏は紫褐色で針状。
          
          トビチャニセフウセンタケ Cortinarius fasciatus カサ径1~2cmほど。ヒノキや広葉樹の茂る林縁の斜面に出ていた。
          
          同上 別菌。
          
          ヒメシロアミタケ Antrodia albida カサ径2~3cm。スギの枝に出ていた。
          
          同上 カサの様子。
       
       同上 子実層托はヒダ状~網状。
            
            不明種 カサ径8mmほど、ホウライタケ属であろう。
       
       同上 ヒダの様子。
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