わたしも今日から仕事始め、午前中、一人で市内の森へ出かける。
森へ着いて支度をする間は寒いように思えたが、歩きはじめれば、ネックウオーマーもいらないくらい、暖かくなった。
フユヤマタケやスイチチショウロなどを見たくて、宮野の森をさまよう。昨年の冬は溢れるほどあったカニノツメの白い袋は、今年は一個も見られなかった。
しかし歩けばいくばくかのきのこに出会える。何種かカメラに収め、また、地面を掻けば、スイチチショウロも見ることができた。正午前には引き上げる。
「林さん書留ですよっ!」
珍らしく元気のいい小母さんの声に、梯子段に置いてある封筒をとり上げると、時事の白木さんからの書留だった。
金二十三円也! 童話の稿料だった。当分ひもじいめをしないですむ。胸がはずむ、ああうれしい。(中略)
私は窓をいっぱいあけて、上野の鐘を聞いた。晩はおいしい寿司でも食べましょう。
以上は林芙美子の『放浪記』第一部の終わりの部分である。
23円の稿料が届き、晩はおいしい寿司でもたべましょう、という彼女の弾む思いが伝わってくる。
そして、これはわが家のこと、昼過ぎ、愛しい柔らかくて暖かいナルちゃんがやってきた。
事前にママと打ち合わせたらしい、新年の挨拶がなかなかできなかったが、やっと蚊の鳴くような声で、涙ながらの挨拶となる。
今夜はおいしいワインでも飲みましょう、と林芙美子さんのように言ってみる。
「今日のきのこ」

クジラタケ Trametes orientalis (Yasuda) Imazeki カサ径6cmちょっと。

エノキタケ Flammulina velutipes (Curtis) Singer カサ径4cmちょっと。冬に姿を見せ、私に付き合ってくれる。ありがたいきのこ。

ダイダイタケ Hymenochaete xerantica (Berk.) S.H. He & Y.C. Dai既に老菌、カサ径5cmほど。

マツカサキノコモドキ Strobilurus stephanocystis (Kühner & Romagn. ex Hora) Sing. カサ径2~3cm。アカマツの樹下に溢れていた。

フユヤマタケ Hygrophorus hypothejus (Fr.) Fr. f. pinetorum (Hongo) Hongo カサ径2cmほど。10個ばかり点々と生えていた。

ナメコ Pholiota microspora (Berk.) Sacc. カサ径3cm弱の幼菌。植菌である。

スイチチショウロ Zelleromyces sp. 偏球形の頭部の長径は1cmほど。はじめ淡黄色、後に赤褐色になることから酔(すい)と命名されたようである。

同上 切断すると白い乳液を分泌する。胞子には剛毛状の毛があり、径は10μmほどでメルツァー液に反応する。
森へ着いて支度をする間は寒いように思えたが、歩きはじめれば、ネックウオーマーもいらないくらい、暖かくなった。
フユヤマタケやスイチチショウロなどを見たくて、宮野の森をさまよう。昨年の冬は溢れるほどあったカニノツメの白い袋は、今年は一個も見られなかった。
しかし歩けばいくばくかのきのこに出会える。何種かカメラに収め、また、地面を掻けば、スイチチショウロも見ることができた。正午前には引き上げる。
「林さん書留ですよっ!」
珍らしく元気のいい小母さんの声に、梯子段に置いてある封筒をとり上げると、時事の白木さんからの書留だった。
金二十三円也! 童話の稿料だった。当分ひもじいめをしないですむ。胸がはずむ、ああうれしい。(中略)
私は窓をいっぱいあけて、上野の鐘を聞いた。晩はおいしい寿司でも食べましょう。
以上は林芙美子の『放浪記』第一部の終わりの部分である。
23円の稿料が届き、晩はおいしい寿司でもたべましょう、という彼女の弾む思いが伝わってくる。
そして、これはわが家のこと、昼過ぎ、愛しい柔らかくて暖かいナルちゃんがやってきた。
事前にママと打ち合わせたらしい、新年の挨拶がなかなかできなかったが、やっと蚊の鳴くような声で、涙ながらの挨拶となる。
今夜はおいしいワインでも飲みましょう、と林芙美子さんのように言ってみる。
「今日のきのこ」

クジラタケ Trametes orientalis (Yasuda) Imazeki カサ径6cmちょっと。

エノキタケ Flammulina velutipes (Curtis) Singer カサ径4cmちょっと。冬に姿を見せ、私に付き合ってくれる。ありがたいきのこ。

ダイダイタケ Hymenochaete xerantica (Berk.) S.H. He & Y.C. Dai既に老菌、カサ径5cmほど。

マツカサキノコモドキ Strobilurus stephanocystis (Kühner & Romagn. ex Hora) Sing. カサ径2~3cm。アカマツの樹下に溢れていた。

フユヤマタケ Hygrophorus hypothejus (Fr.) Fr. f. pinetorum (Hongo) Hongo カサ径2cmほど。10個ばかり点々と生えていた。

ナメコ Pholiota microspora (Berk.) Sacc. カサ径3cm弱の幼菌。植菌である。

スイチチショウロ Zelleromyces sp. 偏球形の頭部の長径は1cmほど。はじめ淡黄色、後に赤褐色になることから酔(すい)と命名されたようである。

同上 切断すると白い乳液を分泌する。胞子には剛毛状の毛があり、径は10μmほどでメルツァー液に反応する。