黄昏どきを愉しむ

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まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

感動の1冊が

2013-01-17 | 日記・エッセイ・コラム

第148回直木賞に福岡久留米出身の安部龍太郎氏が。

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受賞作は、桃山時代の絵師、長谷川等伯が主人公。

次々と襲いかかる悲劇を乗り越えて、苦悩と向き合いながら

「松林図?風」を描き上げる姿を描いたもの。

「このような晴れやかな日がくるとは思っていなかった。

自分の解釈よりは、その人の内面が分かるまですり寄っていく基本姿勢

で書きたい」と語った。(新聞紙面より)

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Touhaku


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去年、この1冊を読み終えて、ブログに掲載した。

私の近年の感動の1冊にあげるものです。

ちょうど東京在の折に、この絵に出会える機会を得たこと、そしてその時の感動。

水墨画を趣味とするものなら・・・ただただ、その作品の前に立ち尽くすのみである。

「ふう~っ・・・というような、感動を表現する術もなく」 だった記憶です。

「松林図?風」長谷川等伯筆、六曲一双

この作品「創立100年記念東京国立博物館所蔵名品展」の解釈は次のように

述べている。

「霧につつまれた松林のたたずまいを、濃淡の微妙な墨調と颯爽とはげしい

筆致によって、静かに、生き生きと表現している。

牧谿をはじめ中国宋元の水墨画を深く研究した等伯が、それらの模倣を超えて、

日本人の独自の感性を率直に盛り込め得る水墨画家と大成したことは、この一作

によって何よりも雄弁に証明されることだろう」

絵の一部分(美術書より)

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今回の小説「等伯」は、松林図?風の解説に似て、まさに作者安部龍太郎さん

が小説家として、等伯自身の絵に込められた魂を巧みに、活字に変換して

我ら「読み手」に静かに、そして荒々しく、時に激しく、圧倒する迫力で最終章まで

引っ張り続けてくれた。  この一作によって証明されたのだ。 

読み終えたあと・・・・・心地よい疲労感と充実感が交じり合う清々しい時を頂いた。

安部龍太郎さん受賞おめでとうございます!・・・。

いい加減な読者私としては、次の作品は?と、既に心待ちに。

「本ってやっぱりいいですね~、本を手にして、紙の感触、めくる音、活字の匂い、

著者の「まえがき」と書き終えて」・・・・

「本」でなければ味わえないもの。 

そこにこそ、存在感もあるのだ。

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