本文最終章~
「利休が切腹して果てた後、血の海に横たわる夫の体の上に、
りきはおろしたての白小袖をかけてやった。」
一方、秀吉は○○から報告を受けると、一瞬、顔を強張らせた後、
「大儀」とだけ言った。
利休の死後、秀吉は何もかも忘れたいかのように演能にのめり込んだ。
そして慶長三年(1598)病没した。
・・・この1冊の長い物語は 終わる。
そう、絢爛豪華な美を競い合った安土桃山時代は終わりを告げた。
この本の前に彼(伊藤潤)の「天下人の茶」を読んでいた。
(2015.12.20ブログ アップ)
今回の「茶聖」の内容にも重複する箇所もあったが、
「茶聖」は読み始めから 終わるまで、
久しぶりの読み応え・・・いや、むさぼり読み・・・
時間を忘れ
夜のベッドで3日間・・・次頁をめくるもどかしさ
そんな強烈な1冊だった。
今回の登場人物は、まさに安土桃山時代の千両役者の
そろい踏み。
織田信長から始まり
主役二人 秀吉 と 千宋易(利休)
秀吉の弟 秀長
堺の商人 天下三宗匠の今井宗久、津田宗及
利休の直弟子 山上宗二
楽焼の創始者長次郎
利休の息子 長男千紹安 後妻の子 千少庵
明智光秀
石田三成 黒田孝高(如水)
古田織部 伊達政宗
大友宗麟 細川忠興
蒲生氏郷
そして大御所 徳川家康
信長~家康までの戦国時代のエースが
この物語のそれぞれの「場面」での 主役?
いや、 すべての場面での主役は 「千利休」である。
「茶の湯」という一大文化とは?
そして、利休の切腹の真相は? が、この本のテーマである。
「天下人の茶」の中から 作者は こう書いている。
「功を挙げた者たちへの褒美を、土地や金銀ではなく、
茶道具にすると仰せか」 光秀が唖然として問い返す。
信長は~
そうだ、土地には限りがあるからな」
・・・・
「この策は、そこにおる千宗易の発案だ」 信長が顎を末座にに
向けると、宗易は両手をつき、軽く頭を下げた。
信長は~「これまで誰にも告げていなかったが、わしは大陸の
要衝を制し、そこを拠点として、南蛮諸国と交易するつもりだ」
~・・・つまり、南蛮との交易から生まれる利を独占するのだ」
・・・なんと現実的な。
信長が求めるのは点。すなわち港なのだ。
信長の この考え方は 当時の彼(信長)の下の武将たちには
視点の違いと、裁量の違いが理解できなかった。
その為、 彼は不運な結末を迎え 爾後の歴史を変えたのである。
ただ、信長は、「もはや戦など、わしにとってはどうでもよいことだ。
戦などせずに天下を平らげること、すなわち戦乱のなき世をを実現
することができればそれに越したことはない」
信長の歴史的 残虐行為? は 最終的にはこの目的のため。
古今の歴史家の意見にも是非論 数多あるが・・・
東西の歴史の中には 同じような、いや もっと凄い権力を
振るった為政者は多い・・・時間を経て 歴史は答えを出すのである。
そして この物語の展開に 実は 茶道に興味のある御仁には
興味深い 逸品の名前が ・・・次々に登場し
場面を和やかに、そして楽しく 面白く 引っ張りこんでくれるのだ。
利休 「待庵」 国宝 数寄屋造りの原型
待庵の額 これ 利休の筆で残っていたら・・・
どれほどの値打ちになっているだろう~
歴史に名を遺す 数々の 名器 「茶碗」「肩衝」「茶筅」
「九十九髭茄子」
「珠光小茄子」 村田珠光の名品 四大小茄子の一つ
「古田織部」の織部焼は
従来の手法とは違い・・・
沓形等 斬新なデザインで登場!
また、「楽焼」も 長次郎によって・・・「黒」「赤」
「黒楽」 楽焼№1 の呼び声高い 「大黒」
同じく名器 「俊寛」
太閤のここまでやるか・・・権力とは
オール金張り・・・
利休よ! これが 我の 侘び、寂 じゃ~
天正15年10月1日 京都 北野天満宮境内での大茶会では
こんな であったろうと・・・(MOA美術館で復元のもの)
利休が追い求めた 「静謐」は、豊臣家を滅ぼした徳川家康によって
実現し、人々は戦乱のない世を謳歌することになる。
この1冊を読み終えて・・・・ ますます「戦国時代」という歴史。
そして その信長~家康までの 「日本」の姿の変わりようを
もっともっと追いかけたくなった・・・
ここに登場した」「人物」 一人ひとり が 主役として1冊の
本になっている~ まだまだ 私にとっての時間はある。
次にまた 夢中になれる1冊の本との出会いが 楽しみだ。
「茶聖」 500ページを超えるものですが、 興味のある方
是非 本屋へ そして アマゾンをクリックしてご注文しては?
きっと、楽しい時間を過ごせますよ・・・・ これって お節介?