黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

伊藤潤「茶聖」を読み終えて・・・

2020-03-06 | 日記
本文最終章~
「利休が切腹して果てた後、血の海に横たわる夫の体の上に、
りきはおろしたての白小袖をかけてやった。」

 一方、秀吉は○○から報告を受けると、一瞬、顔を強張らせた後、
「大儀」とだけ言った。

 利休の死後、秀吉は何もかも忘れたいかのように演能にのめり込んだ
そして慶長三年(1598)病没した。

・・・この1冊の長い物語は 終わる。
 そう、絢爛豪華な美を競い合った安土桃山時代は終わりを告げた。
 
     

 この本の前に彼(伊藤潤)の「天下人の茶」を読んでいた。
  (2015.12.20ブログ アップ)
     

 今回の「茶聖」の内容にも重複する箇所もあったが、
 「茶聖」は読み始めから  終わるまで、
 久しぶりの読み応え・・・いや、むさぼり読み・・・
 時間を忘れ
 夜のベッドで3日間・・・次頁をめくるもどかしさ 
 そんな強烈な1冊だった。

  今回の登場人物は、まさに安土桃山時代の千両役者の
 そろい踏み。

 織田信長から始まり   

 主役二人  秀吉 と 千宋易(利休)
 
 秀吉の弟  秀長 

 堺の商人 天下三宗匠の今井宗久、津田宗及
 利休の直弟子 山上宗二 
 楽焼の創始者長次郎
 利休の息子 長男千紹安 後妻の子 千少庵

 明智光秀  

 石田三成  黒田孝高(如水)

 古田織部  伊達政宗  

 大友宗麟  細川忠興 
 
 蒲生氏郷 

 そして大御所 徳川家康  

  信長~家康までの戦国時代のエースが
  この物語のそれぞれの「場面」での 主役? 
  いや、 すべての場面での主役は 「千利休」である。

  「茶の湯」という一大文化とは?
  そして、利休の切腹の真相は? が、この本のテーマである。

  「天下人の茶」の中から 作者は こう書いている。 
 
  「功を挙げた者たちへの褒美を、土地や金銀ではなく、
  茶道具にすると仰せか」 光秀が唖然として問い返す。

  信長は~
  そうだ、土地には限りがあるからな」
   ・・・・
  「この策は、そこにおる千宗易の発案だ」 信長が顎を末座にに
  向けると、宗易は両手をつき、軽く頭を下げた。

  信長は~「これまで誰にも告げていなかったが、わしは大陸の
  要衝を制し、そこを拠点として、南蛮諸国と交易するつもりだ」
  ~・・・つまり、南蛮との交易から生まれる利を独占するのだ」

   ・・・なんと現実的な。
  信長が求めるのは点。すなわち港なのだ。

  信長の この考え方は 当時の彼(信長)の下の武将たちには
  視点の違いと、裁量の違いが理解できなかった。
   その為、 彼は不運な結末を迎え 爾後の歴史を変えたのである。

  ただ、信長は、「もはや戦など、わしにとってはどうでもよいことだ。
  戦などせずに天下を平らげること、すなわち戦乱のなき世をを実現
   することができればそれに越したことはない」

   信長の歴史的 残虐行為? は 最終的にはこの目的のため。
  古今の歴史家の意見にも是非論 数多あるが・・・
   東西の歴史の中には 同じような、いや もっと凄い権力を
  振るった為政者は多い・・・時間を経て 歴史は答えを出すのである。

   そして この物語の展開に 実は 茶道に興味のある御仁には
  興味深い 逸品の名前が ・・・次々に登場し
   場面を和やかに、そして楽しく 面白く 引っ張りこんでくれるのだ。

   利休 「待庵」 国宝 数寄屋造りの原型
    

    
    待庵の額  これ 利休の筆で残っていたら・・・
     どれほどの値打ちになっているだろう~

   歴史に名を遺す  数々の 名器 「茶碗」「肩衝」「茶筅」

    「九十九髭茄子」
     
       
  
    「珠光小茄子」 村田珠光の名品 四大小茄子の一つ

       

     「古田織部」の織部焼は 
     従来の手法とは違い・・・
      沓形等 斬新なデザインで登場!

        

     また、「楽焼」も 長次郎によって・・・「黒」「赤」
      「黒楽」 楽焼№1 の呼び声高い 「大黒」
         

       同じく名器 「俊寛」
         
         
     

    太閤のここまでやるか・・・権力とは 
      オール金張り・・・
     利休よ! これが 我の 侘び、寂 じゃ~

    天正15年10月1日 京都 北野天満宮境内での大茶会では
     こんな であったろうと・・・(MOA美術館で復元のもの)
  
  
   利休が追い求めた 「静謐」は、豊臣家を滅ぼした徳川家康によって
   実現し、人々は戦乱のない世を謳歌することになる。

  この1冊を読み終えて・・・・ ますます「戦国時代」という歴史。
  そして その信長~家康までの 「日本」の姿の変わりようを
  もっともっと追いかけたくなった・・・

   ここに登場した」「人物」 一人ひとり が 主役として1冊の
  本になっている~ まだまだ 私にとっての時間はある。

   次にまた 夢中になれる1冊の本との出会いが 楽しみだ。

   「茶聖」 500ページを超えるものですが、 興味のある方

   是非 本屋へ そして アマゾンをクリックしてご注文しては?
   きっと、楽しい時間を過ごせますよ・・・・ これって お節介?
 

      
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続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。