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静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

  西国の秋 ≪ 1 ≫ 

2015-11-29 16:54:46 | 旅行
 秋の深まりを求め、いつもながらの一人旅に出た。初日は兵庫県のほぼ真ん中、と云っても南半分の中央部というべきか、中国自動車道でいえば「滝野社」の傍に住む旧知の友に会うため、新大阪からバスで一路西へ向かった。 前に会ってから10年は経つ。
 夕陽に輝く霜をこうべに頂き、深く刻まれた皺”しわ”を(それとなく)互いに見つめ合う。高校卒業後、流れた時間は50年近い。だが間違いなく、少年の顔が二つ、そこに在った。 語るにつれ、温泉の泥泡がボコボコ沸くように、過ぎ去った日々の残像が浮かんでは消える・・・。甘くも哀しい、ひと時。
 歌が好きだったのを思い出し、スナックへ<人口が少なく、カラオケ専業店は無い>。多少は低くなっているが、年齢の割には高い音域を出せる友に感心した。

 翌日は米子まで行くというと、鳥取まで車で送ろうと云ってくれた。シシ鍋で有名な丹波篠山で休憩。篠山城というのがあるからと城跡へ。明治維新後、他の多くの城と同じく廃棄され、天守閣跡が淋しく遺る。だが、石垣だけは綺麗に残っていた。【写真:上左】これまた全国あちらこちらで見かける光景だが、如何にも荒城の月を口ずさみたくなった。
 篠山から浜坂に向かう途中で友が「もうすぐ俺が好きな名前の峠があるんだ」という。「峠で好きな名前というなら、美しい響きの名前ということかい?」「イエス」・・。 その名は<春来峠>。【写真:上中】”ハルキ”・・春がやって来る峠・・ふむ、確かに楽しくなる響きだ。内陸で雪深い山村のに住む人々が春を待ち望む気持ち、と想像力をたくましくさせてくれる。「峠だけじゃなく、地名にも春来がついているんだ」と友が教えてくれるので、窓外を眺めると言葉どおり。 

其の春来峠から更に登ったところに評判の十割蕎麦を食べさせる店がある、というので入った【写真:上右】。然も晩秋は[新そば]入荷とあり、早速戴く。蕎麦にクレイジーではない私にも、香りが立つのはよ~く分かった。十割とはいっても何かでつないでいる筈だが、繋ぎを感じさせないくらい柔らかい。
 献立に「そばがき」とある。さぞかし旨かろうと注文【写真:下左】。東京で出してくるのは魚の形に整えたりするが、こちらは田舎風そのもの。粉を湯で練り上げただけで味付け無し。然も、液体に浸かっていない。さりながら、歯触りと香りは期待を裏切らなかった! 嗚呼、口福の時ぞ・・・。

 別れる前、鳥取砂丘へ。幸い強風ではなかったので、砂嵐に見舞われず。浜沿いには色とりどりのパラセイラ―が3~4つ見え隠れ。然るに、これが全く飛び立てずにウロウロするばかり。友と苦笑しつつ、砂紋を同時に撮ろうとカメラを向けたら、偶然にも二人のシルエットが重なるので「こりゃ面白そう」とシャッターを切った。【写真:下右】砂に描かれたシルエットが仲良き少年ふたりを暗喩するかのようで、甘酸っぱい1枚になった。         ≪ つづく ≫
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