自遊空間、 ぶらぶら歩き。

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奇跡の寄席―天満天神繁昌亭―(140B)~堤成光さん

2012-02-19 | 

繁昌亭への行き帰りの電車の中で読んだ本です。
といっても、たまたまですけれど・・・。

執筆者の堤成光さんはシカゴに赴任時代に桂三枝さんと出会い、繁昌亭構想のはじめから、このプロジェクトを知る、大阪商工会議所の現役所員です。


繁昌亭の「奇跡」は本の裏表紙にしっかりまとめられて^^いました。

●消えかかっていた上方落語の灯を四天王が守り継承させた
 四天王とは笑福亭松鶴(故人)、桂米朝桂春團治桂文枝(故人)です。
●資金や土地のあてはなし 落語家だけが「常席建設」への財産
●大阪天満宮の土地を無償で借り受けるという幸運
●行政が「1円も出していない」のに2億4千万円の寄付が集まる
●構想からわずか約3年で開席が実現
●「落語家による寄席運営」は史上初 3年たっても大繁盛

そして・・・
●先達の夢を引き継いだ、上方落語協会・桂三枝の「磁力」

だそうです。

 

繁昌亭には建設資金を寄付した方々の名前が書かれた提灯が場内に1200個、場外に350個掲げられています。
各々の提灯に電球を入れると電気代やメンテナンスに費用や手間がかかることから、間接照明で提灯を浮かび上がらせる方法にしたり、提灯に文字を書く職人さんが足りなくて、書道教室にたのんだりと、細かい苦労は絶えなかったようです。
建物内の提灯は消防法の関係から「燃えない素材」を使ったり、場外の提灯も「感謝の気持ちをできる限り長く留めたいと「耐久性に優れた素材」を使ったりと、製造コストが寄付金を上回ったものもあるのだとか。

 

舞台(もちろん檜です)に噺家が座った時、よく見える位置に赤い提灯を吊り下げたのは「繁昌亭は、皆さんのご協力より出来た」ということをいつも確認してほしいこと。時計を噺家の正面に設置して、与えられた時間で口演するようにとの思いからだそうです。


なんとなく繁昌亭の誕生物語は知っていましたが、関わった方々のご苦労が改めて分かりました。
こうやっていい記録が残って、報われましたね。

 

 

コメント
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