自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

星の国から孫ふたり~門野晴子さん

2005-09-08 | 
門野晴子さんは、ぽんぽんと歯切れのいい、しゃべり言葉のような文章を書く。
書くことすべてにうなずくわけではないけれど、おおむね共感できる。

1937年生まれ、’80年代は教育問題を、’90年代は老人問題を中心に活動してきた。老人問題を扱った多くの著書がNHKの朝の連続ドラマ「天うらら」の原作になった。

そして、’00年代はアメリカで家庭を持ったお嬢さんの子育てなんかを日米比較して書いていこうと考えていたと思う。

うろ覚えの記憶では高校生のお嬢さんに同年代の恋人ができたとき、外でこそこそされるよりはと、自宅で同棲させてしまったエピソードがあった。アメリカでかなり年上の大きな子どもがいる人と結婚したのはこのお嬢さんだ。

このお嬢さんが生んだ男の子とその妹が2人ともオーティズム(自閉症)だった。男の子は特に多動で行動全体にこだわりが強い。子育ては大変だと思う。
門野さんは孫のかわいさと、お嬢さんを少しでも手助けしようと、せっせと渡米する。

アメリカという国はとんでもないことをいろいろしでかしてくれけれど、個々の人間を大切にするシステムは先進的だ。2人の兄妹ともスペシャルエデュケーションが始まっている。家族の暮らすバークレーは地域ぐるみでこの子たちを見守る風土がある。

まだ、身体の小さい今だったら、追いかけたり、抱きとめたりできるけれど、2人ともこれからグングン育って、ヒゲも生えるし、胸も大きくなってくる。

門野さんはそんな2人の成長をどんなふうに報告してくれるだろうか。




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魂萌え!~桐野夏生さん

2005-09-08 | 
桐野夏生さんは初めてのエッセイ集『白蛇教異端審問』にこんなことを書いている。

私は言葉を限りなく大事にする職に就き、言葉と共に生きている。言葉が私の信仰だ。

こんな姿勢の桐野さんの文章が好きだ。
何でここまで悪魔的なキャラクターを書くんだろうと思うことの多かった作品が続いて、この『魂萌え!』はごくごく普通にそこらへんにいるであろう(と私は思う)中高齢の人たちの話。定年、死別、離別、子どもの結婚、相続、仕事、老いての性・・・。この年代におそってくる問題てんこ盛り。毎日新聞に連載されていた新聞小説だ。

つい先だって、第5回婦人公論文芸賞を受賞した。

六十歳を前にして、惑うこころは何処へ?
という宣伝文句は、還暦直前の団塊の世代に向けたのかもしれないが、その年代の親を持つ子どもが読んでも悪くない。





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