「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~ハード・パンチBLUES~

Jerry's Groupの代表「Mash」による,フル・ジャンルを切る「ハード・パンチ・ブログ」です。

明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る「どこまでもヴァイナル中毒!」(第24回)「ナンバーガール」編

2020-02-13 14:17:46 | アナログ盤(レコード)

読者諸賢、

様々なウイルスが猛威を奮い、

世間は騒がしい一方だが御健勝か?

ハウリンメガネである。


いろいろな情報が世間に溢れているが、

防疫の基本は手洗いうがい!

どうか健康に過ごして頂きたい。

 

そうそう、私とMash氏でお送りする新連載

「マシュメガネ対談」は楽しんで頂けただろうか。

読んで頂けたならお分かりだろうが、

我々、いつもあんな話しかしとらんのである(笑)。

今後も月一での連載予定なので

ぜひ我々の会話を真横で聞いている気分でお楽しみ頂きたい。

 

さて、今回は普段の回と方向が大きく異なる。日本のバンドに興味のない方は回れ右!せずに、まあ、ご笑覧あれ。

筆者が中高生だった頃、日本は第三次バンドブームといってよい時代であった。

そう、ロッキン・オン・ジャパン黄金期(筆者の思い入れ込み)である(個人的にはベンチャーズ来日に端を発するテケテケブームを第一次ブーム、ホコ天やイカ天によってバンド市場が肥大化した時期を第二次ブームと捉えている)。

おそらく今35〜40才ぐらいの人には分かって頂けるだろうが、筆者が青春ど真ん中だった1997〜2002年頃というのは日本のオルタナ的ミュージック全盛期であり、ミッシェル・ガン・エレファントやスーパーカー、くるり、キリンジ、プレイグス、ピールアウト、グレイプヴァイン等々、

洋楽を消化した音を鳴らすバンドがメジャーシーンで存在感を増していた時期であった。

その中で、最も衝撃的だったのが今回の主役であるナンバーガールであった!

ピクシーズやティーンエイジ・ファンクラブ直系のポップかつハードエッジなバンドサウンドに乗せてフロントマンの向井秀徳氏が歌う、坂口安吾の妄想のような世界は当時中学生だった筆者に、とてつもない衝撃を与えた。

何よりも衝撃的だったのは

「メガネをかけていてもロックしていいんだ!」ということであった。これは当時思い込みの激しかった(まあ、今もだが)筆者の価値観を変えた。もちろんその後バディ・ホリーやジョンを筆頭にメガネをかけたロッカーは山ほどいることに気づくのだけど、当時、メガネをかけた気弱な少年だった筆者は(僕のようなメガネはロックをやってはいけないのでは……せめてコンタクトにすべきでは……)とホントに思い込んでいたのだ。

2002年に解散し、以降は各々で活動を続けていた彼らだが、なんと去年、オリジナルメンバーでツアーを行う、と突然の再結成を発表(再結成時に向井氏がメンバーを誘った文句が奮っている。「ひと稼ぎしようや」だぜ?もちろんそれだけが理由ではないのは氏もインタビューで語っているが、このフレーズをのっけに持ってくるところに今も最前線でやっている人間のリアリティが見えてシビれるよ、俺は)

この再結成に応じる形で、彼らのメジャーデビュー後のアルバムが初アナログ化された。

それが冒頭の写真の3枚(左から1st「Scholl Girl Distortional Addict」、2nd「Sappukei」、3rd「Num Heavymetalic」、全て日本プレス)である。

正直に言ってこの手のアナログ化に筆者は懐疑的である。というのも口は悪いが、大抵は最近のアナログブームに乗っかってCDと同じような音でただアナログにしました、というような盤が多いからだ。

今回のこの3枚も「どうかなぁ……」と思いつつもそこはやはりファンの性分(苦笑)。「まあ、コレクターズアイテムでもいいか……」と、とりあえず注文した。

んで、聴いてみたわけだが……いや、悪かった!疑った俺が悪かった!向井さん、やっぱりあんたは偉い!

びっくりしたのだ。ここまで変わるか!?

今の私の耳で彼らの音をCDで聴くと、全体的にトレブリーかつエッジー過ぎるのだが、今回のこのアナログ盤、全体の音の重心を下げることで、全く異なるアルバムになっている!

もともと彼らの音は前述のとおりエッジの効いたサウンドが特徴なのだが、全体的に重心が下がることで場を支配していたギターサウンドがクリアになり、ベースとドラムとの一体感がより強くなり、耳は疲れないがしっかり音圧を感じる。

CDだとガシャーン!となっていたシンバルの音もキツくない!ゴリッゴリの音だったベースの音もちゃんとベースらしい太くローに余裕のあるサウンド!

そして、歌がちゃんと聴こえる!(CDだとギターにマスキングされる感じで歌はがなっている印象が強かったのだが、ちゃんとメロウなところはメロウに歌っていたのが分かるのだ)

この辺り、以前クラプトンのスローハンドでCDだとギターとシンバルがうるさいと書いたことがあったが、同様のケースだと思われる。特に彼らはレコーディングではアナログで録っていたはずなので、やはりCDでのマスタリングとアナログでのマスタリングには大きな差があるのだろう。

(いやぁ……生で観たいなぁ……)と思った筆者。全国ツアー発表後、急ぎチケット抽選に応募したのだが、見事に外れ。

あーあ……と思っていたのだが、同好の士であり、バンドマン仲間である会社の先輩から連絡が入った。

「当たったぞ!一緒に行こうや!」

というわけで。

行ってきました!2月10日、Zepp Osaka Bayside!

会場の周辺には当時のファンを筆頭に、解散後に彼らを知ったであろう若者や、親子連れでの観客も多く、(こうやって日本のロックも文化へ変わっていくのだなぁ……)と独りごちた私であった。

19時ほぼジャストに開演。「鉄風、鋭くなって」から始まり、全期を通した選曲で突っ走る!開演前に「あれが聴きたい!これも聴きたい!」と先輩とワチャワチャ喋っていた筆者だが、全部聴けた!

先にピクシーズ直系の〜と書いたが、彼らはアルバム単位でどんどん進化したバンドであり、ギターロックを核としてダブ、ヒップホップ、ジャムセッションといった要素を取り入れていったのだが、まさに全部のせ!幕の内弁当状態!

ベースの中尾憲太郎(45)とドラムス、アヒト・イナザワのリズム隊は太く、タイトに攻め上げ、ギターの田渕ひさ子女史のジャズマスターは軽やかにリズムを刻んだかと思えばソロで雄叫びをあげ、そしてフロントマンである向井氏のテレキャスターはデビュー時の売り文句どおりの鋭角サウンドからマイルドなトーンまで自由自在に行き来(時にはギターを置いてダンスにふける瞬間も……)。

生で「福岡県、博多市からやってまいりましたナンバーガールです。ドラムス、アヒト・イナザワ」のMCから「omoide in my head」が始まったときにはさすがの私も若干涙腺が緩んだ。 

アンコール含め2時間半、ほぼノンストップで突っ走り、筆者も大満足だったのだが、同時にこうも思った。

「おそらく新譜はないな…」

期待通りのサウンドであった。

あの頃の自分の記憶が蘇っては消えるような本当に素晴らしく楽しい時間だった。

だがそれ以上でも以下でもなかった。


もちろんまだツアーは終わっていないし、変化するかもしれない。だが、彼らが各々に今やっているバンドに感じる「今の先」を私は感じなかった。

約20年ぶりに復活したバンドにそれを求めるべきではないのかもしれないし、そういう類いの再結成ではない気もしている。

そもそも全員他の活動が忙しいはずだ。本当にファンの為だけに再結成したのではないか。あの頃の思い出の残像を皆に見せるための……

 

感傷のうずまきに沈んでいく俺を

まぼろしにとりつかれた俺を

突き飛ばせ そしてどこかに

捨てちまえ

(omoide in my headより抜粋)

そうだ。思い出にひたっている暇はない。

下らない自分を突き飛ばして捨てちまえ。

そんなどこかスッキリした気分で駅を歩いていると……

 

 

おお!そうだ!そんな生き方を今も続けている男がもうすぐ来るじゃないか!

嗚呼、まだまだ新しい楽しみは山のようにあるぞ!

諸君!4月に会おう!あでゅー。

《ハウリンメガネ 筆》

 

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