「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part10)「60年代サイケ名盤編 その6」

2021-06-26 16:36:19 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい。今月も始まりました!
「イーノで紐解くロックの歴史」。
{ 編集長「MASH」}
始まった!
《ハウリンメガネ》
今回のテーマは前回の流れで
「ビートルズの影響はアメリカにどんな音楽をもたらしたのか」
でございます。
{ 編集長 }
どうした?妙におとなしいじゃないか?
《ハウリンメガネ》
いえ、たまには教養番組の様に静か~に
やってみるのも趣向が変わってよろしいかと思いまして。
{ 編集長 }
どういう風の吹きまわしだ?
それに、その変なしゃべり方ヤメロよ!
《ハウリンメガネ》
まあまあ、お気になさらず。
というわけで、本日の主役はこちら。
「ラヴィン・スプーンフル」という
実にフレッシュな若者「4人組バンド」でございです。
{ 編集長 }
・・・・
《ハウリンメガネ》
ええ、しかし皆様、コチラの若者達
「実に素晴らしいバンド」でございますのはもちろん、
この方たちは……あ~……曲がぁ……大変よろしいですね……
{ 編集長 }
……ちょっと訊いていいか?
《ハウリンメガネ》
(微笑みを浮かべながら)なんでございましょう?
{ 編集長 }
未だかつて君からスプーンフルの話題をふられた覚えがないんだが?
《ハウリンメガネ》
ギクッ!
{ 編集長 }
……お前あまり聴いていないな?
そんな不得意ジャンルだから
いつもと調子を変えて
煙に巻こうとしてるんじゃないか?
《ハウリンメガネ》
ギクギクッ!
{ 編集長 }
どうやら図星の様だな?
《ハウリンメガネ》
……バレたか!
{ 編集長 }
バレたか!じゃないよ!
何年つきあってると思ってんだ!
《ハウリンメガネ》
ウハハハ!バレちゃぁしょうがない!
{ 編集長 }
ウッ、急にいつもの調子に戻して来たな!
《ハウリンメガネ》
バレてんのに今更取り繕ってもしょうがないでしょ!(笑)
そうなんですよぉ、全然通ってないんだよね。
このスプーンフル。有名曲しか聴いたことなかったから。
いや、ほら「王道のグッドメロディ系」
後回しにしがちな私の悪癖、ご存知でしょ?
{ 編集長 }
ソーいうのを「へそ曲がり」とか
「性質(たち)が悪い」とか言うんだよ。
《ハウリンメガネ》
いや、すいません(苦笑)。
今回はあなたに送ってもらった盤の感想オンリーで
しゃべるしかないので、ちょっと私、不利ですね(笑)。
{ 編集長 }
何を言ってるんだ。
彼らの代表曲中心のベスト盤に、
あえて入って来ない「この2枚」は彼らを知る重要作だぞ!
《ハウリンメガネ》
まあ、行ってみましょうか!
そもそも「ラヴィン・スプーンフル」というと
「魔法を信じるかい?」に代表される
フォーキーなグッドメロディのアメリカンバンド、
というのが私の印象なんですが。
{ 編集長 }
ベスト盤を聴いて「バブルガム系」とホザク・・・
そんなアホもいるな。
《ハウリンメガネ》
(苦笑)あと、やっぱり「ウッドストック」に出たこともあってか、
メイン・ソングライターの「ジョン・セバスチャン」が有名ですよね。
ボブとかCSNとの絡みもありますし。
{ 編集長 }
ジョン・セバスチャンは実に重要な人物なんだよ!
追々説明していくがね。
《ハウリンメガネ》
じゃあ、まずはこちらの2枚。

スプーンフルが音楽を担当した映画のサントラですね。
スプーンフルの活動時期的には後期に当たるんでしょうか?
{ 編集長 }
全6枚中の「3枚目(写真左)」と「5枚目(右)」だから
中後期と云ったところだが
何せ活動が2年と短いからねぇ。
分けることがナンセンスだし、
しかも「タイガー・リリー(左)」
次作に出す大名盤「ハムズ~」(写真↓)

のセッション風景と来ている!
《ハウリンメガネ》
この映画2つとも見たことないなぁ。見ました?
{ 編集長 }
観ていないけれど「タイガー・リリー」は
「スプーンフルの演奏シーン」が有ると聞いたよ。
谷口監督の東宝映画「国際秘密警察・鍵の鍵」を
ウディ・アレンがセリフや独自のシーンを入れ込み仕上げた
そんなパロディ映画のようだね。
日本盤DVDは版権の問題で出ていないみたいね。
《ハウリンメガネ》
ほほう。もう一方は?
{ 編集長 }
初期コッポラの「大人になれば・・・」だね?
コレも観ていないけれど、
こっちは国内でもちゃんとDVD化されている様だよ。
で、肝心のサウンドはどうだったのよ?
《ハウリンメガネ》
イイです!
スプーンフルの「バンドサウンド」と
「映画のBGM用にアレンジされたインスト」
が入り混じってるけど、どっちもいい!
{ 編集長 }
そうだろ!
《ハウリンメガネ》
インストの方は見事に50 60年代アメリカン映画音楽!
ストリングスも入ったビッグバンド編成で
個人的に「トムとジェリー」のBGMを思いだすんですが、
あの時代のアメリカン映画、TV向け音楽って
今聴くと無茶苦茶豪勢ですよね。
{ 編集長 }
「アメリカの世界」
って感じがモロだよね。
《ハウリンメガネ》
しかし、このアレンジ凄く上手いけど、
ジョンセバが一人でやったんですかね?
{ 編集長 }
先にも言った通り
前者は「セッション風景」から生まれていて
後者は「オーケストレーションまで起用」した
本格的なサントラ盤だよね!
前者は名義こそ無いけれど
やっぱりソコは彼らの片腕
「エリック・ヤコブセン」のプロデュース
だと思うんだよね。
《ハウリンメガネ》
後者は?
{ 編集長 }
コチラもバンド・アレンジの方はスプーンフルながら
オーケストラ・アレンジは他者がヤリ、
それをヤコブセンの下で被せた感じさ。
《ハウリンメガネ》
ふーん、なるほど。上手くいっていますねぇ。
で、バンドでの曲について言うと
やっぱり「ビートルズの影響」はあると思うんですが、
この人たちの場合、ベーシックな部分は
「アメリカン・フォーク」にあるように思うんですよ。
メロディのフックにうまく
「ビートリーなアレンジ」が入ってたりするけど、
モロに「ビートルズやりたい!」系ではないですよね?
{ 編集長 }
そこがスプーンフル!
彼らは前回紹介した「バグス」なんかとは違い
基本アメリカのフォーク・ブルースに
イギリスから急に入って来た・・・・
そんな「ビートルズ」を
エッセンスとして音に入れているんだね。
《ハウリンメガネ》
ジョン・セバスチャンって人は
元々「レッド・ベリー」とか
「ミシシッピ・ジョン・ハート」
なんかに影響されて演奏し始めたようですね。
{ 編集長 }
そうなんだよ。
「黒人フォーク・ブルース」だよね。
《ハウリンメガネ》
前々回のポール・バターフィールド・ブルース・バンド
の時にも似たようなことを言いましたけど、
この「アメリカン・フォーク(ルーツ)+ビートリー」なセンス、
ってのが彼らを「ビートルフォロワー」という一言で
到底片付けられない「肝の部分」ですよね。
{ 編集長 }
そうなんだよ。
「バーズ」や「デッド」も同じだよね。
結局は今でも聴かれ、名を残している
そんな「アメリカン・バンド」って
ソコに尽きるんだよ!
《ハウリンメガネ》
こうやって「ビートリーな感覚」と「ルーツの部分」が
上手く融和していって「王道アメリカン・ミュージック」が
徐々に変化していくわけですね。
{ 編集長 }
65年辺りから急に「アメリカンロック」が動く!
そんなところだよね。
《ハウリンメガネ》
その辺わかりやすいのが「ジョン・セバスチャン」のソロ作。
ベタに「ブルー・スウェード・シューズ」とかやってんですよね!

このライブ盤、ジョンセバ以外は
ピアノとベースが入るぐらいなんですが、
ジョンセバはいいギター弾きますねぇ!
カントリー・フレーバーありありな感じで、
ギターだけでもちゃんとオーケストレーションしてて。
こういうところもボブとかCSNと仲良かった要因の一つですかね。
{ 編集長 }
この盤は「ライブの温かさ」を上手く録らえた名盤だね。
観客とのコミュニケーションに彼の人柄が出ていてさ。
だからこそ「会場の一体感」が有って、
聴いていると、観客の一人になった気がする・・・
そんな所も素晴らしいんだ。
《ハウリンメガネ》
LP「ユーアー・ア・ビッグ・ボーイ・ナウ」にも入ってる
「ダーリン・ビー・ホーム・スーン」も原曲より
アコギの鳴らし方が野太くてかっこいいですね。
原曲の素朴な感じも捨てがたいですが。
{ 編集長 }
「ウッドストック」でもスプーンフル時代の曲を、
彼ひとりでヤルわけだけれど
結局、スプーンフルってジョンだけでいいよねぇ~。
って思わせる独自性があるよ。
《ハウリンメガネ》
その後に出てるアルバムの
「ザ・フォー・オブ・アス(写真左)」では


サウンド自体はグッとルーツに接近しつつ、
メロディの抜き差しが更に巧みになっていたりと、
ルーツの味は残しつつ、アレンジやメロディは進歩していく……
これはボブにも通じるものがありますね。
{ 編集長 }
結局ボブよりも「自分に正直」な分、
コー云う「ジョンセバ印(じるし)の作品」
になるわけだけれど、まあボブと違い
本人もレコード会社も
「セールスは気にしていない」
って作りになっているよね。
その分、聴く方も不思議とリラックスできるんだよ。
《ハウリンメガネ》
他のソロ作品も、どれも同じテイストなんでしょうか?
{ 編集長 }
そうだね。
「ターザン・キッド」という74年の作品(写真)では

そのリラックス感が上手く出ていて、コレも名盤だね!
その後、ある時期から「早期退職」しちゃって(笑)、
音楽家を辞めちゃう辺りも一癖ある人物だよ!
「ロックの殿堂」に入った時に見せたライブでは
「物凄く音痴になっていて」驚いたよ(笑)!
《ハウリンメガネ》
えっ、そうなの?(笑)
しかし、やっぱり音楽ってどっかで地続きなんですよね。
もちろんジョンセバはルーツとの関係が分かりやすい方だけど、
突拍子もなく出てきたように見える音楽でも
どこかで必ず親になるなにかがある。
{ 編集長 }
例えば「ビートルズ」の「ハンブルグ時代」とか聴くと
CベリーやLリチャードなんかの「ルーツR&R」が
それこそステージでのメイン曲なワケじゃない。
でもなぜか、それらの黒人音楽を
「ビートルズ風アレンジ」で演るうちに、
そこから「ビートル・サウンド」が生まれるのよ。
ソレがアメリカに逆輸入されて
「アメリカンロック」が活気付くのさ!
《ハウリンメガネ》
という感じで、煙に巻くのは失敗しましたが、
いい感じの着地を見た!
ということで今回はよろしいでしょうか?
{ 編集長 }
う~ん……
まあ上手くまとまったから、
今回は許してやろう。
《ハウリンメガネ》
よっしゃ!あざーっす!
{ 編集長 }
んっ、その言葉使い……
こりゃ説教が足りねぇか?
《ハウリンメガネ》
すんません!勘弁してください!ううっ。
運動部、特に「野球部の人」への言葉使いには
皆様もご注意を・・・・
では、また次回!ううっ・・・。
{ 編集長 }
そもそも聴き込みが甘い!
ちょっとコチラへ、イラッシャイ!
《ハウリンメガネ》
ああっ・・・元「桂三枝」のネタまで飛び出した!
聴き込むべきだった・・・
皆さんも「焼を入れられる」前に聴き込みましょう!
{ 編集長 }
聴き込んで、しかも言葉もシッカリだ!
「日本の未来」は君たちに掛かっているからな!
ワッハッハ!
《ハウリンメガネ》
大きな話になっちまったなぁ・・・
{ 編集長 }
んっ、何か言ったか?
《ハウリンメガネ》
何も言っておりません!
それより「ラバーソウル」のラウドカット
について、ご質問なのですが・・・
{ 編集長 }
おっ、いいね!何でも聞いてくれたまえ!
ラウドカットは世界を救うからな!ワッハッハッ!
《ハウリンメガネ》
・・・・・

<続>