京都大蔵流茂山家の代替わり公演がはじまった。
大雨洪水雷というはでなお天気の中、平気でやっている。
役者が同じ衣装でずらりと舞台にそろい「オンネガイアゲ…」とやるのかなと思っていたらちがった。
舞台袖、橋掛かりから少年がひとり、正装をして面箱をささげ現れる。
これが始まり。無言である。いつもよりお目出たい曲がならぶだけ。
それでも気がつくと出演者すべての舞扇がおそろいだった。
感動したのは、親から子、子から孫へ、目にみえる形でその家に伝わるものを舞台の上で見せたこと。
幼い孫たちが必死で祖父や父のあとをついていく。コレがなければ祖先の足跡は伝わるまい。
能、囃子、他流狂言すべてを集めて公演がはじまった。
その始まりがあの大雨。おかげで客は、頭から水をぶっかけられたようになって帰った。