子どものためのホスピスを作りたい--。全国の小中学校で毎年150回の「いのちの授業」をしているNPO法人「生きるちからVIVACE」の代表、甲斐裕美さん(40)が日本初の子どものホスピスを作る準備を始めた。2年後、神奈川県大磯町にオープンさせる。
96年に大人のホスピスでボランティアを始めた甲斐さん。医師とのかかわりを持つようになり、命の危機にある子どもとその家族が大人以上に過酷な状況だと知り、居場所づくりに乗り出した。
東京都大田区内の小学校で2月に行った「いのちの授業」。6年生に子どものホスピスのイメージを問うと、「収容所みたいな感じ?」「隔離されている」「小さい子の老人ホーム」との答えが返ってきた。甲斐さんは「死ぬ人がいる所ではなく、誰よりも一生懸命生きている人がいる所」と教えた。
小児がんや多くのケアが必要な肢体不自由児とその家族も使え、自分の家にいるように過ごせる場所をめざす。VIVACEは聖路加国際病院の細谷亮太副院長ら小児科医のスタッフもおり、協力を約束している。
予定地は大磯町の約2万1000平方メートル。3年前に肺がんで亡くなった義父が、「苦しんでいる人のために使って」と3棟の中古住宅を残してくれたのだ。
大きな窓と広いリビングのある棟は子どもたちの滞在用に、新潟県の古民家の建材を使った棟はスタッフルームとして使う。映画「となりのトトロ」に出てくるような昭和初期の古民家は遊び場に考えている。
子どもを看護する親の精神的・肉体的負担は少なくない。浜松市の加藤真弓さん(47)は、14年前に7歳の息子、将貴君を脳幹部腫瘍(しゅよう)で亡くした。治療方法がなくなってから8カ月、4階のアパートでケアし、みとった。下の子は1歳と3歳だった。「平日はほとんど一人。体と気持ちが休まる施設がどれだけほしかったか」。今は、8割以上が治るといわれるが、小児がんの治療は過酷だ。「子どものホスピスは本当に必要。見通しが立ってきたのがうれしい」と話した。
ホスピス実現には多くの資金が必要だ。甲斐さんは理解を広めようと、今月8日、東京都内のホテルでチャリティー講演会も計画している。【本橋由紀】
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子どもを看護する親の精神的・肉体的負担は少なくない。浜松市の加藤真弓さん(47)は、14年前に7歳の息子、将貴君を脳幹部腫瘍(しゅよう)で亡くした。治療方法がなくなってから8カ月、4階のアパートでケアし、みとった。下の子は1歳と3歳だった。「平日はほとんど一人。体と気持ちが休まる施設がどれだけほしかったか」。今は、8割以上が治るといわれるが、小児がんの治療は過酷だ。「子どものホスピスは本当に必要。見通しが立ってきたのがうれしい」と話した。
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