セルカン氏が携わっているとされるATA宇宙エレベータ計画について、
以下のセルカン氏の国際学会発表資料を基に検証する。
この発表資料のスライド2枚目では、セルカン氏の提案するATA宇宙エレベーター計画についての概略が述べられている。それによると、ATA宇宙エレベーター計画が関わる日本国内外の学会受賞歴として以下のものが挙げられている。
⇒ これらの受賞に関する記録はweb上では確認できない。
また、JSPSは学術関連では通常、日本学術振興会を指すが、日本学術振興会はそのような賞を授与していない。 ちなみに、「創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を早い段階から顕彰する」ことを目的として平成16年に創設された日本学術振興会賞の英文名称は"JSPS Prize"。同賞の過去の受賞者一覧はhttp://www.jsps.go.jp/jsps-prize/index.html で確認可能であるが、セルカン氏の名前はその中にない。)
・ また、この発表資料のスライド3枚目では、ATA宇宙エレベーターのプロジェクトチームの人員構成は、セルカン氏を筆頭に各界著名人を集めた以下の陣容であると述べられている。
・ 2004 Physics Nobel Award Winnerとあるが、2004年のノーベル物理学賞は米国のデイビッド・グロス (David J. Gross)、H. デビッド・ポリツァー (H. David Politzer)、フランク・ウィルチェック (Frank Wilczek)の3人でありナラ・ススムという人物は不明である。
・ Prof. Dr. Tadao ANDOとは、打ち放しコンクリート建築で有名な建築家の安藤忠雄氏のことではないかと推測される。
・ Dr. Arthur C.Clarkeとは、『2001年宇宙の旅』などで有名なSF作家のアーサー・C・クラーク氏のことではないかと推測される。
・ Prof. Dr. Shuichi MATSUMURAとは、セルカン氏が所属する研究室の松村秀一教授のことではないかと推測される。
・ また、この発表資料のスライド16枚目では、ATA宇宙エレベーターに関わる知財として、以下の米国特許が挙げられている。
⇒しかしこの特許番号(U.S. Patent 6,378,203) については、http://www.patentstorm.us/patents/6378203/fulltext.html で確認可能な内容は下記のとおりである。
US Patent 6378203 - Method of making fluid heat exchanger
(Inventors Lu, James W. B. Sanatgar, Homayoun Holt, Neil Johnson, Gary F.)
・ セルカン氏についての日本語版wikipediaでは「学会で懇意となった研究者と共に、現在この計画(ATA宇宙エレベーター)はNASAで研究が続けられている」との記述があるが、上記の発表を見る限りATA宇宙エレベーター計画は日本のJAXA主体で行われているように見える。
・ また理由はまったく不明であるが、上記の多数の表彰歴や非常に大規模な人員計画、知財については、東京大学やJAXAのHPでは一切触れられていない。
・ ちなみに、Google検索によると、NASAサイト中で"space elevator"を含むページは1,610件ヒットする("space elevator" site:nasa.gov で検索)が、NASAサイト中で"ATA space elevator"を含むページは1件もない。
このセルカン氏によるATA宇宙エレベーター計画について、朝日新聞は以下のコメントを寄せたとされている(OHP2枚目)
"Japanese researchers, under the supervision of a young Turkish scientist, are heading to develop the technology of the next century’s vertical ‘Shinkansen’", Asahi Newspaper
ATA宇宙エレベータ計画に関する図画やコンセプトの盗用疑惑
↑ セルカン氏の著書「宇宙エレベーター」p32 (左図)の図の上半分の図や、「ポケットの中の宇宙」p46(右図)に使用されている宇宙エレベーターのイメージ図は、
The Space Elevator Referenceの下記リンク論文の図からの流用である。
"The Space Elevator Development Program, Dr. Brad Edwards, Carbon Designs, Inc. (Session IAC-04-IAA.3.8.2.01)"
この論文は、2004年にカナダのバンクーバーで行われた”International Astronautical Congress”で発表されたものらしい。
この画像のクレジットには "Image from Discover Magazine" とある。
Discover Magazine 2004年7月号に掲載された宇宙エレベーターの記事が、
同Webサイトの2004年7月24日に転載されている(→ 4ページ目の図)
上記論文で使われている図そのものではないが、使われている要素がすべてここにそろっている。
この図は、 "Aerospace engineer Brad Edwards’s plan for a space elevator..."とある。
つまり、この図は上の論文の執筆者である Bradley C. Edwards 氏の宇宙エレベーター計画を、 Discover Magazineが記事にした際に画像化したものである。
(この宇宙エレベーターのイメージ図は、Moonlinxのウェブマガジンにおけるセルカン氏に関する記事にも流用して掲載されている。)
なお、左図の下半分の図は、http://turcopolier.typepad.com/the_athenaeum/2008/09/space-elevator.html に掲載されている図と同一である。
また、更なる調査の結果、この左図の下半分の図は、Space Elevator Library (National Space Society) から入手できる下記の報告書(”Space Elevators - An Advanced Earth-Space Infrastructure for the New Millennium”)の、p8 に同じ図である(PDFでp16の図 http://www.nss.org/resources/library/spaceelevator/2000-SpaceElevator-NASA-CP210429.pdf)。同図には出典があり、さらに別の複数の論文に依拠するらしい。これは1999年にNASA Marshall Space Flight Centerで開かれたワークショップの報告書(2000年出版)である。
セルカン氏著作物の『ポケットの中の宇宙』で、「アメリカのヒューストンで宇宙エレベーターに関するワークショップに参加。"ATAエレベーター"を発表。NASA関係者の目に止まり、共同研究を持ちかけられる」となっているのがちょうどこの時期。ちなみに、Marshall Space Flight Centerはアラバマ州ハンツビル。 ちなみに、この報告書には、ワークショップの参加者の名前が書かれているが、セルカン氏の名前はない。また、REFERENCESにも、BIBLIOGRAPHYにも氏の名前はない。
この報告書では、「片方に小惑星をつないだ宇宙エレベーター」が登場し、別案として、このATA宇宙エレベーターと同じ形式の全長4000km、先端が高度150kmに位置する”LEO space elevator concept”が提示されている。
このワークショップの後、Bradley C. Edwards氏がNASAのNIACから資金提供をを受け、宇宙エレベーターの研究をしている(これはNASAで行われている研究として過去スレでも言及されているもの) 。この報告書も上記のページからダウンロードできる(下二つがそれに該当)。 この一連の流れはセルカン氏のATA宇宙エレベーターの研究と時期的にも、内容的にも一部がかぶっているが、どの報告書にも氏の名前はない。もし仮に、NASA内で異なるプロジェクトが動いていたとしても、まったく言及がないというのはかなり考えにくいのではないか。
まとめ
2006年にセルカン氏が著書『宇宙エレベーター』で発表した「ATA宇宙エレベーター」は、1999年にNASAのMarshall Space Flight Centerで開かれたワークショップで発表された ”LEO space elevator concept”に、コンセプト(全長4000km、先端の高度150km)、概念図ともに酷似している。
”Space Elevators - An Advanced Earth-Space Infrastructure for the New Millennium” p7-p10
http://www.nss.org/resources/library/spaceelevator/index.htm
以下のセルカン氏の国際学会発表資料を基に検証する。
・ “ATA” SPACE ELEVATOR ATA宇宙エレベーター‘A Gateway to Heaven’ASANSOR ’2005 Conference, April 2005 (での、アニリール・セルカン氏の国際学会発表資料(JAXA所属のもとでの発表となっている) ↓バックアップファイル http://cid-dbce8db649ee5160.skydrive.live.com/self.aspx/.Public/space%5E_elevator%5E_SAnilir.ppt ↓発表資料の入手先(疑惑発覚後、削除されました。) http://www.asansoristanbul.com/presentations/space_elevator_SAnilir.ppt |
この発表資料のスライド2枚目では、セルカン氏の提案するATA宇宙エレベーター計画についての概略が述べられている。それによると、ATA宇宙エレベーター計画が関わる日本国内外の学会受賞歴として以下のものが挙げられている。
・ 2000 JSPS ‘Young Promoting Scientist’ Award ・ 2003 Japanese Ministry of Science and Technology Award ・ 2004 Science and Engineering Award , Japanese Chamber of Architects and Engineers ・ 2005 ’21st Century’s Top 10 Scientific Projects Award’, Cambridge University |
⇒ これらの受賞に関する記録はweb上では確認できない。
また、JSPSは学術関連では通常、日本学術振興会を指すが、日本学術振興会はそのような賞を授与していない。 ちなみに、「創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を早い段階から顕彰する」ことを目的として平成16年に創設された日本学術振興会賞の英文名称は"JSPS Prize"。同賞の過去の受賞者一覧はhttp://www.jsps.go.jp/jsps-prize/index.html で確認可能であるが、セルカン氏の名前はその中にない。)
・ また、この発表資料のスライド3枚目では、ATA宇宙エレベーターのプロジェクトチームの人員構成は、セルカン氏を筆頭に各界著名人を集めた以下の陣容であると述べられている。
・ Ass.Prof. Dr. Serkan ANILIR Head of Space Physics Department, JAXA ・ Prof.Dr. Michiro NATORI Head of Space Structures Department, JAXA ・ Dr. Fumihiko MORI & Dr. Hiroko MUKAI Astronaut, Supervisor, JAXA ・ Prof. Dr. Susumu NARA 2004 Physics Nobel Award Winner, Kyoto University ・ Dr. Arthur C.Clarke Science-Fiction Writer (Author of “The Fountains of Paradise”) ・ Prof. Dr. Tadao ANDO Architect, Professor ・ Prof. Dr. Shuichi MATSUMURA Head of Department of Architecture, University of Tokyo ・ and 16 universities, numerous companies, agencies, research laboratories and hundreds of students with great vision… |
・ 2004 Physics Nobel Award Winnerとあるが、2004年のノーベル物理学賞は米国のデイビッド・グロス (David J. Gross)、H. デビッド・ポリツァー (H. David Politzer)、フランク・ウィルチェック (Frank Wilczek)の3人でありナラ・ススムという人物は不明である。
・ Prof. Dr. Tadao ANDOとは、打ち放しコンクリート建築で有名な建築家の安藤忠雄氏のことではないかと推測される。
・ Dr. Arthur C.Clarkeとは、『2001年宇宙の旅』などで有名なSF作家のアーサー・C・クラーク氏のことではないかと推測される。
・ Prof. Dr. Shuichi MATSUMURAとは、セルカン氏が所属する研究室の松村秀一教授のことではないかと推測される。
・ また、この発表資料のスライド16枚目では、ATA宇宙エレベーターに関わる知財として、以下の米国特許が挙げられている。
・ U.S. Patent 6,378,203 Patent Holders: Matsumuto S., Anilir S., Lorenzo H., Nozaki K., Tetsuhashi H., Takagi M |
⇒しかしこの特許番号(U.S. Patent 6,378,203) については、http://www.patentstorm.us/patents/6378203/fulltext.html で確認可能な内容は下記のとおりである。
US Patent 6378203 - Method of making fluid heat exchanger
(Inventors Lu, James W. B. Sanatgar, Homayoun Holt, Neil Johnson, Gary F.)
・ セルカン氏についての日本語版wikipediaでは「学会で懇意となった研究者と共に、現在この計画(ATA宇宙エレベーター)はNASAで研究が続けられている」との記述があるが、上記の発表を見る限りATA宇宙エレベーター計画は日本のJAXA主体で行われているように見える。
・ また理由はまったく不明であるが、上記の多数の表彰歴や非常に大規模な人員計画、知財については、東京大学やJAXAのHPでは一切触れられていない。
・ ちなみに、Google検索によると、NASAサイト中で"space elevator"を含むページは1,610件ヒットする("space elevator" site:nasa.gov で検索)が、NASAサイト中で"ATA space elevator"を含むページは1件もない。
このセルカン氏によるATA宇宙エレベーター計画について、朝日新聞は以下のコメントを寄せたとされている(OHP2枚目)
"Japanese researchers, under the supervision of a young Turkish scientist, are heading to develop the technology of the next century’s vertical ‘Shinkansen’", Asahi Newspaper
ATA宇宙エレベータ計画に関する図画やコンセプトの盗用疑惑
Image credit: Dr. Serkan ANILIR | Image credit: Dr. Serkan ANILIR |
↑ セルカン氏の著書「宇宙エレベーター」p32 (左図)の図の上半分の図や、「ポケットの中の宇宙」p46(右図)に使用されている宇宙エレベーターのイメージ図は、
The Space Elevator Referenceの下記リンク論文の図からの流用である。
"The Space Elevator Development Program, Dr. Brad Edwards, Carbon Designs, Inc. (Session IAC-04-IAA.3.8.2.01)"
この論文は、2004年にカナダのバンクーバーで行われた”International Astronautical Congress”で発表されたものらしい。
この画像のクレジットには "Image from Discover Magazine" とある。
Discover Magazine 2004年7月号に掲載された宇宙エレベーターの記事が、
同Webサイトの2004年7月24日に転載されている(→ 4ページ目の図)
上記論文で使われている図そのものではないが、使われている要素がすべてここにそろっている。
この図は、 "Aerospace engineer Brad Edwards’s plan for a space elevator..."とある。
つまり、この図は上の論文の執筆者である Bradley C. Edwards 氏の宇宙エレベーター計画を、 Discover Magazineが記事にした際に画像化したものである。
(この宇宙エレベーターのイメージ図は、Moonlinxのウェブマガジンにおけるセルカン氏に関する記事にも流用して掲載されている。)
なお、左図の下半分の図は、http://turcopolier.typepad.com/the_athenaeum/2008/09/space-elevator.html に掲載されている図と同一である。
また、更なる調査の結果、この左図の下半分の図は、Space Elevator Library (National Space Society) から入手できる下記の報告書(”Space Elevators - An Advanced Earth-Space Infrastructure for the New Millennium”)の、p8 に同じ図である(PDFでp16の図 http://www.nss.org/resources/library/spaceelevator/2000-SpaceElevator-NASA-CP210429.pdf)。同図には出典があり、さらに別の複数の論文に依拠するらしい。これは1999年にNASA Marshall Space Flight Centerで開かれたワークショップの報告書(2000年出版)である。
セルカン氏著作物の『ポケットの中の宇宙』で、「アメリカのヒューストンで宇宙エレベーターに関するワークショップに参加。"ATAエレベーター"を発表。NASA関係者の目に止まり、共同研究を持ちかけられる」となっているのがちょうどこの時期。ちなみに、Marshall Space Flight Centerはアラバマ州ハンツビル。 ちなみに、この報告書には、ワークショップの参加者の名前が書かれているが、セルカン氏の名前はない。また、REFERENCESにも、BIBLIOGRAPHYにも氏の名前はない。
この報告書では、「片方に小惑星をつないだ宇宙エレベーター」が登場し、別案として、このATA宇宙エレベーターと同じ形式の全長4000km、先端が高度150kmに位置する”LEO space elevator concept”が提示されている。
このワークショップの後、Bradley C. Edwards氏がNASAのNIACから資金提供をを受け、宇宙エレベーターの研究をしている(これはNASAで行われている研究として過去スレでも言及されているもの) 。この報告書も上記のページからダウンロードできる(下二つがそれに該当)。 この一連の流れはセルカン氏のATA宇宙エレベーターの研究と時期的にも、内容的にも一部がかぶっているが、どの報告書にも氏の名前はない。もし仮に、NASA内で異なるプロジェクトが動いていたとしても、まったく言及がないというのはかなり考えにくいのではないか。
まとめ
2006年にセルカン氏が著書『宇宙エレベーター』で発表した「ATA宇宙エレベーター」は、1999年にNASAのMarshall Space Flight Centerで開かれたワークショップで発表された ”LEO space elevator concept”に、コンセプト(全長4000km、先端の高度150km)、概念図ともに酷似している。
”Space Elevators - An Advanced Earth-Space Infrastructure for the New Millennium” p7-p10
http://www.nss.org/resources/library/spaceelevator/index.htm
http://science6.2ch.net/test/read.cgi/rikei/1256393255/566
【566】Nanashi_et_al. 2009/10/27 22:45:17
「カナダ宇宙庁長と開発部長と見学」
http://blog.anilir.net/?month=200903
カナダ宇宙庁公式ページによると、カナダ宇宙庁長と
呼べるのは以下の二人であり、セルカンの隣にいる人物とは
顔がまるで違う。
http://www.asc-csa.gc.ca/eng/about/minister_biography.asp
http://www.asc-csa.gc.ca/eng/about/president.asp
http://science6.2ch.net/test/read.cgi/rikei/1256393255/566
【566】Nanashi_et_al. 2009/10/27 22:45:17
「カナダ宇宙庁長と開発部長と見学」
http://blog.anilir.net/?month=200903
カナダ宇宙庁公式ページによると、カナダ宇宙庁長と
呼べるのは以下の二人であり、セルカンの隣にいる人物とは
顔がまるで違う。
http://www.asc-csa.gc.ca/eng/about/minister_biography.asp
http://www.asc-csa.gc.ca/eng/about/president.asp
JAXAの宇宙飛行士の毛利さんと向井さんのこととも思えますが、毛利さんの名前は「衛」(まもる)、向井さんの名前は「千秋」(ちあき)。
さてこのAstronautのDr. Fumihiko MORI、Dr. Hiroko MUKAIとは一体何者なのでしょうね?
このページによると
JAXA に Hiroko Mukai さんという方がいて
Space Elevator の研究をしているのは本当らしい。