透かし百合
夏椿
アマゾンよりベストセラーの触れ込みで『嫌われる勇気』の案内メールが届いた。
この手の勧誘にはめったに乗らないのだがタイトルに釣られてつい注文してしまった。
というのも最近大きな決断をしたのだが人の動向ばかりが気になる自分に嫌気をさしていた。
自身に気合をいれるために「嫌われる勇気」とやらを持とうと思ったのだが、
思っていた内容ではなかった。
自分の思いは極力出さず、むしろ相手の意図をしっかり捕え相手のペースには乗らず
自己の持論のみを相手に示すようにという内容のようである。
これは早い話がアリサがこれまでいつも失敗をくりかえした事柄ではないか、、。
嫌われてもいいから思ったことをバンバン主張せよという話しかと思ったら真逆で
やっぱり「おもえもそうか」とがっかり。しかし冷静になるとよくぞこのタイミングで
この本に出会ってものとむしろ感謝している。生来のそそっかしさであやうく突っ走る
ところであった。嫌われる勇気とは信念のことだったのだ。
この本で面白かったのは「トラウマ」の否定である。人はだれしも生い立ちや
境遇に影響されると信じている。しかし同じ境遇でも誰もが同じ結果に終わらないことを
考えれば「事柄をどう本人が捉えるかにかかっている」とする作者の説も一理ある。
しかし小説の題材にはトラウマは重要な鍵となり山場でもある。大抵後半部分であきらかと
なり読者を納得させる重要な事柄になる。トラウマ説が存在しないとなったら小説も
書き辛いことなるだろう。
でもここは生き方を示す本なので各人の持つ「トラウマとの決別」を促しているのだろう。
人生を失敗しないように、失敗をくりかえさないように、、。
※『嫌われる勇気』 岸見一郎・古河史健
三億円事件の暗き映像思いつつ降りやまぬ雨の駅に降りたり
この街の隠しカメラに捉えるらる未だ決心つかぬ心をも
春嵐に閉じ込められしビデオ店に往年のスターが談笑している
木製のベット下を転がりゆくシヤーペンの行方追う午前零時
重責を決意させたのは穂村弘のメガネの奥に光る猫の眼
アリサ / 佐々木則子
HP「萌黄の鳥」
http://www.eonet.ne.jp/~arisa118/