2010年12月の宿泊。
国道414号から、いくつかの旅館名が記されている色あせたアーチ看板を潜り、徐行しながら右へ左へとハンドルを切って進むと落合楼の入り口。落合楼と書かれた門から進み、玄関の前に車を止めた。
さて車をどうしようかと思案しつつ地味な玄関を見ていたら、女将をはじめ仲居さんと男性の3人が飛び出してきた。慌てさせてしまったかもしれない。
入ってみると、3人くらい仲居さんが正座しており、挨拶をいただいた。
この宿の歴史とか、文化財に関しては情報があちらこちらにあるので割愛。
部屋を入るとすぐ右手に横椅子があり、左手にはネット用の机と将棋の小部屋、その脇にテーブルと椅子。
部屋は書院造。
広い縁側には源泉掛け流しの足湯があった。
テレビは部屋に合わないから置いていないのかな、ま、いいやと思ったら茶箪笥みたいな家具の中に隠してあった。
畳が床暖房になっている。洗面所・やはり源泉掛け流しの内風呂ともにしっくりと配置されている。
全く、トイレのロールペーパーから旅館内の至るところまで気遣いを感じさせる宿だった。
ロビーも落ち着いた雰囲気で、暖炉脇には薪が積まれていた。
コーヒーを飲んで一服してから、部屋に戻って足湯に浸かっていると仲居さんが夕刊を届けに来てくれた。
貸切の露天風呂に入らせてもらったが、広い。無料なのだったら貸切にしないほうがいいと思うのだけれど、客の需要があるんでしょうね、やっぱり。
大浴場は男女、時間で入れ替え制。もちろんすべて源泉掛け流し。
印象に残ったのは、つまらないことかも知れないけれど、朝入った小さい露天風呂。湯船の脇に絵タイルがあるのだ
けれど、その絵を躊躇することなく手すりが横切っていた。この宿のことだから手すりを設置するときに気が付かないわけがない。その思い切りの良さ。信用できる宿だと思った。
文化財のある宿はいくつもあるけれど、ここはそれが濃いというか宿全体が一つの世界を持っている感じがします。
帰るとき仲居さんが靴をお盆に置いて持ってきたので、もしかしたらと思ったのですが、やっぱり暖めてくれていました。
木下藤吉郎か、あなたは。