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プールや風呂、尿意との関係…静水圧とホルモン

2014年05月28日 | 健康情報

お風呂に限らず、プールで泳いでいてもトイレが近くなりませんか?

プールの場合は「体が冷えるからかな」と思われるかもしれませんが、

実は、静水圧の影響でトイレが近くなるのです。

想像以上に大きな静水圧の影響

お風呂に入ると体には水圧がかかります。わざわざ静水圧と記載している

のは、ジェット水流などの場合は動水圧というからです。この静水圧は

想像以上に大きいものです。ちょっと計算してみましょう。

一辺が1センチのサイコロを想像して下さい。

このサイコロが水でできていると重さはほぼ1グラムです。

足を楽に伸ばしてお尻を湯船の底に付け、肩まで湯の中につかったと

します。典型的な日本式入浴法です。この際、座高の高低はありますが、

大体60センチ程度の水深になります。その時、例えば、お尻に1センチ

四方の正方形を描くと、その範囲には60グラムの水圧がかかることに

なります。体の表面の全面積は体格で異なりますが、身長と体重から計算

できますので、体全体にかかる水圧も計算できます。

例えば、身長170センチで体重70キロ・グラムの方が肩までお湯に

つかった時に全身にかかる水圧を合計するとおよそ600キロ・グラム、

160センチで55キロ・グラムならおよそ500キロ・グラムもの水圧が

全身にかかっているのです。ちなみに、みぞおちまでつかる半身浴では

170センチ、70キロ・グラムであっても、全水圧は190キロ・グラム

程度に激減します。

心肺機能を鍛え、むくみ軽減する効果も

それでは静水圧が高いとどうなるのでしょうか。皮膚表面の血管(静脈)が

圧迫され、またお腹(なか)がへこみますので、血液が豊富に流れている

肝臓も圧迫されます。するとたくさんの血液が心臓に戻ってきます。

これを静脈還流が増加すると表現し、心臓に戻ってくる血液が最初に到達

するのは右心房です。たくさんの血液のため、右心房壁が伸ばされます。

そうするとナトリウム利尿ホルモンという物質が右心房より分泌され、

尿意を催すのです。

心臓は循環水分量(血液量)が多いと、「これはまずい。余分の水分は体に

毒だ」ということで、尿にして排せつさせようとするのです。

静脈還流が増加すると、心臓は大きくなり容量が200ミリ・リットルほど

増加します。横隔膜も水圧のために押し上げられ、肺の容量が減少して

しまいます。血液量が増えた心臓は一生懸命収縮して一度にたくさんの

血液を送り出さなくてはならなくなり、酸素を十分補給するために呼吸数も

増えてきます。これが肩までつかるときに感じる呼吸困難感の原因なのです。

皮膚呼吸ができないために苦しいわけではないのです。

ちなみに人では皮膚呼吸は全ガス交換の1%しか占めないとされています。

心臓、肺などに病気を持っている方には、静水圧はそれらにさらに負荷を

かけることになりとても危険ですので、半身浴や寝湯のように静水圧を軽減

できる入浴法をお勧めします。一方、静水圧は健康な方には心肺機能を

鍛えることになります。また下肢のむくみを軽減する効果も知られています

ので、悪いことばかりではありませんね。

 

(2014年5月19日/26日 読売新聞)

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