
1/6(木)、ユナイテッド・シネマ新潟で、「私はいったい、何と闘っているのか」を観てきました。
安田顕さん演じる主人公が仕事に家族に奮闘するコメディ。
予期せぬトラブルに直面する度に脳内の叫びがモノローグとして流れ、それが時にツッコミとして笑いを誘いつつ、悩みもがきながらも必死に生きる主人公が愛おしく思える映画でした。
脳内の喜怒哀楽や一喜一憂を前面に押し出すことで、周りから見たら些細な出来事も主人公にとっては大事件であることを描く作風は、僕も経験があることなので、思わず応援してしまいました。
そんな主人公の心の「つぶやき」が面白い映画だなと思ったら、なんと原作小説の作者がつぶやきシローさんでした。
脳内のつぶやきや叫びを前面に押し出す作風は、「私をくいとめて」も思い出しました。
つぶやきシローさんの原作小説「私はいったい、何と闘っているのか」、綿矢りささんの「私をくいとめて」と一緒に読みたいですね。
そんな感じでとても面白い映画だたのですが、ただ、一つだけどうしても気になる部分がありました。
というのも、この映画、情けない主人公が必死に生きる姿が滑稽だけどカッコいい、というギャップによって感動を与えることを狙って作られていると思うのです。
でも僕からしたら、スーパーの主任・副店長として一生懸命店のために働きながら従業員達を支え、さらに家庭では夫として父親として妻と3人の子供も支えている主人公が、最初から普通にカッコよく見えてしまうのです。
映画の中で主人公は、昇進できない、父親の威厳がない、と嘆いていましたが、いやいや、そんなことないから!あんた十分すごいから!
他にも、劇中ところどころで少しずつ描かれる回想シーンが最後に一つに繋がり、妻と娘に関するある過去が明かされ、最後は主人公がその過去にそこに向き合っていく…という物語でもあるわけですが、その過去を知れば知るほど、びっくりするくらい主人公がいい人すぎるのです。
いや、どんなに優しさがあってもそこまで出来る人いないよ!という感じで、全然ダサくないよなこの人!もはや聖人の域だよ!と思って見てしまいました。
だから、僕は主人公のことが好きになれたし、普通に楽しんだのですが、最初から普通に主人公がカッコよく見えちゃうのは映画の狙いとしてどうなんだ…!?とちょっと思いました。
前半からもっと情けなく描いた方が、もしかしたらもっと感動できたのかもしれないな…などと思ってしまいましたが、そこまで気にするようなことではないのかもしれない。
それにしても、ちょっと情けないけど真面目に必死に生きる主人公の、一生懸命さが周りから見るとコミカルという部分も含めて、安田顕さんにぴったりでした。
実直な役が似合う、本当に愛すべき俳優だなあと思います。
あと、一見冷たいようで実は主人公を応援しているスーパーの従業員役のファーストサマーウイカさんが予想以上に良かったです。
あの最後の別れ際のクスっとしながらも温かさが伝わる感じとかも良かったし、もともとアイドルになる前は役者をされていた方だしすごく表現力のある方だと思うので、もっと映画やドラマで見たい方です。