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軍属時代 7 ~憲兵隊~

2010年05月30日 | 人生航海
当時の賭博罪は、非現行でも罰せられて逮捕もされた。

憲兵が、夜間に船まで来ることもないと思い、船が賭博場ならば安全な場所と考えたのであろう。

電気も無くランプを4~5箇所ぐらいに置いて、明りが外に漏れないようにシートを掛けて、雨が降ってもよいように工夫していたのである。

その頃、暇が長く続いたので、毎晩のように多くの人達が集まって、益々賭博は盛んになっていったのである。

なかには、商人や遊び人たちもいて、兵隊は勿論のこと、徴用船の船主船長の金持ちの人達も多く集まり、一晩で何百円もの金が動いたのである。

私も毎晩の如く、花札賭博をそばで見ていたので、完全に覚えてしまった。

丁半賭博ではなく、カブという簡単な花札賭博で、誰にでも出来る仕組みだった。

正直言って私も大勢の人にまじって何度か賭けたが事もあったが、一度も勝った事はなかった。

悪い事は、そう長く続くものではなく、負けた者達との貸し借りの争いが生じて、やがて停泊場司令部の知る事になったのである。

その後、特務機関にも知れて、即刻何人かの船員たちが、まず憲兵隊に呼び出された。

そして、次々に芋づる式に連行されていった。

憲兵と言えば、今の警察と違って怖い事は誰もよく知るところである。

呼び出された者の調べが終わると一応帰してくれるが、踏んだり蹴ったりの凄い体罰を受けて帰ってきた。

そのために、顔面は変形して・・見る眼も痛ましかったのである。

それ以後も毎日のように呼び出され、取り調べられて、問い詰められて、次々に名前を挙げるのである。

その名前を挙げられた人達が、次々と呼び出されたのである。

そして、「この非常時に、お前たちは日本人として恥ずかしくはないのか!お前たちは国賊だ!」と罵られて、その上に体罰の制裁を受けたのである。

しかし、それで済まされない人も多く、軍属でも厳しい処分となった。

不良送還された人も多くいたと・・その後に知ったのである。

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