百島百話 メルヘンと禅 百会倶楽部 百々物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

ふるさと。

2021年03月07日 | 百伝。

昨日の土曜日、僅か1時間ほどの滞在でしたが、尾道まで出かけてまいりました。

母の入院見舞いです。

コロナ禍の今、病院も施設も面会規制があります。

母の入院先の病院は、県外からは、福井県は面会可能、面会時間は15分程度。

でも遠方からという事で、30分ぐらい面会する事が出来ました。感謝。

「百島には店は無いし、誰にも会わないし、母さんは90歳過ぎた」と、母は何度も繰り返して言っていました。

百島での年老いた独り暮らしの孤独生活が身に沁みるように申し訳なく、福井に帰る道中に涙が出て止まりませんでした。

伴侶も身内も親類縁者も友人も亡くなり、子供は、東京やら福井の県外暮らし。

百島に移住者が増えても、百島アースベースやら百島診療所が出来ても、90歳過ぎの年老いた母親の心には賑やかさも無く、別世界の日常生活だったのかもしれません。

入院先の部屋の窓越しに尾道水道を眺めると、百島に向かう高速艇びんご丸が見えました。

80代半ばで逝った父を、最後は独りで介護して見送った母。

元気な時の母が、よく言っていました。

「どうせ皆、誰も行くところだからね。余程、いい所なのか、誰も帰って来ない」

その母が、点滴、食事介助、痩せて寝たきりの病状、もう母は百島での自立生活は無理でしょうが、孤独生活から抜け出た現実が唯一の救いかもしれません。