柔らかなやさしい色合いの表紙。
大好きな、ばあばが「忘れてしまう病気」になる。
ばあばが変わっていくのを、傍らで見ている孫のつばさクン。
とまどい、目をそむける時もある。
大好きなばあばがいなくなったのは、「にわのみずたまりに こおりがはった日」。
寒い冬の夜中、かえってこないばあばを待つ。つばさは眠れない。
作者の実体験を、つばさに重ねている。
最後のページの作者の言葉より。
「・・・介護をするというのは確かに大変だが、学ぶことも多く、心が満たされることも多い。母は病気のせいでだんだん表情がうしなわれつつあるが、わたしがしんどい顔をしていると、にこっとわらいかけてくれることがある。『そんな顔をしてちゃだめよ』と言われているような気がして、はっとする。守っているつもりで、じつはいまも守られているのかもしれない。うん、だいじょうぶ。きょうもわらっていこう。」
「・・・大変だが学ぶことも多く、心が満たされることも多い。」・・・そう感じるまでに、様々なことがあったのだろうと思う。
身近なところで「忘れてしまう病気」になった人に接することが増えています。
病気であることを受け入れて、医師のアドバイスも受けながら、家族に支えられて暮らし方を工夫している人もある。
外出先で道に迷い、そんな自分の変化を受け入れがたく、それでも不安でたまらない人もいる。
人が信じられず、「モノがなくなる。あの人が盗った」と訴える人がいる。
そういう姿を見る時に、どんな言葉をかけたらいいのか。
いつも答えは出ない。
「忘れてしまう病気になった人」は、深い孤独の闇の中で「だいじょうぶ」と言ってくれる人を待っているような気がする。
楠 章子 作
いしいつとむ 絵
発行 童心社
大好きな、ばあばが「忘れてしまう病気」になる。
ばあばが変わっていくのを、傍らで見ている孫のつばさクン。
とまどい、目をそむける時もある。
大好きなばあばがいなくなったのは、「にわのみずたまりに こおりがはった日」。
寒い冬の夜中、かえってこないばあばを待つ。つばさは眠れない。
作者の実体験を、つばさに重ねている。
最後のページの作者の言葉より。
「・・・介護をするというのは確かに大変だが、学ぶことも多く、心が満たされることも多い。母は病気のせいでだんだん表情がうしなわれつつあるが、わたしがしんどい顔をしていると、にこっとわらいかけてくれることがある。『そんな顔をしてちゃだめよ』と言われているような気がして、はっとする。守っているつもりで、じつはいまも守られているのかもしれない。うん、だいじょうぶ。きょうもわらっていこう。」
「・・・大変だが学ぶことも多く、心が満たされることも多い。」・・・そう感じるまでに、様々なことがあったのだろうと思う。
身近なところで「忘れてしまう病気」になった人に接することが増えています。
病気であることを受け入れて、医師のアドバイスも受けながら、家族に支えられて暮らし方を工夫している人もある。
外出先で道に迷い、そんな自分の変化を受け入れがたく、それでも不安でたまらない人もいる。
人が信じられず、「モノがなくなる。あの人が盗った」と訴える人がいる。
そういう姿を見る時に、どんな言葉をかけたらいいのか。
いつも答えは出ない。
「忘れてしまう病気になった人」は、深い孤独の闇の中で「だいじょうぶ」と言ってくれる人を待っているような気がする。
楠 章子 作
いしいつとむ 絵
発行 童心社