オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

歌劇「椿姫」第1幕

2013年01月29日 09時18分40秒 | オペラ
今年はワーグナーとヴェルディの生誕200年の記念イヤー。
この前はワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」への思いを書き込みました。ワーグナーのオペラでは、やはり「トリスタンとイゾルデ」が私のベストワンであるし、全てのクラシック音楽の作品の中で、私にとって最上位の作品と言いでしょう。
さてヴェルディはどうかである。オペラ大好き人間の私にとってヴェルディのオペラも、私にとって大切な作品ばかりである。
ヴェルディのオペラの中でベストワンは何?と聞かれたら、おそらく多くの方は「オテロ」を挙げるでしょう。「オテロ」はヴェルディのオペラの中で初めて全曲盤のレコードを手にした作品。当然、思い入れもあり私も「オテロ」が頭の中を過ぎります。
しかし、すぐに「ドン・カルロ」「仮面舞踏会」「イル・トロヷトゥーレ」も思い浮かび、そして初期の作品の「ナブッコ」や「マクベス」も忘れてはいけないし、「シモン・ボッカネグラ」はどうする?あっ、「椿姫」を忘れていた!と言うことで収集つかないのである。

と、言うことで収集つかない状態の中で、今回は歌劇「椿姫」を語ってみます。
このオペラは我が国では昔から「椿姫」の名前で親しまれていますが、原題は「ラ・トラヴィアータ」、訳すると「道を踏み外した女」「堕落した女」と言うべきか。ヴェルディは、デビュー以来、どちらかと言うと歴史劇や史劇をテーマにした作品を書き上げてきましたが、「椿姫」はパリの社交界を渡り歩く高級娼婦ヴィオレッタを主人公にした、ヴェルディとしては珍しい当時としては現代劇である。
これを頭の中に入れておかないと、何故アルフレードの父親ジェレモンが、ヴィオレッタと息子の仲を裂こうとしたのか理解できないでしょう。

歌劇「椿姫」の第1幕。このオペラのヒロインのヴィオレッタの運命を暗示するような物悲しい前奏曲が終わると華やかなパリの社交界の夜会。そして盛り上げって行き、有名な「乾杯の歌」へなだれ込む。おそらく、このオペラ最大の聴き所でしょう。
しかし「乾杯の歌」は単に、このオペラを盛り上げるだけの曲でしょうか?「乾杯の歌」がいつも単なる名曲扱いされているのを見ると、私はいつも違うのではないかと思っています。有名だからと言って単に、のんきに歌って美声だけを誇示する曲では絶対に違うと思っています。
第1幕への前奏曲が終わり、幕が開くと、そこは華やかなパリの社交界。社交界の女王ヴィオレッタの登場。そして純情な田舎青年アルフレードの登場。
2人は初めて出会って視線を交わした瞬間から離れることの出来ない関係となるのである。ヴィオレッタが多くのパトロンたちの間を廻って行くが、どこにいても、互いの視線は切れることはない。誰も断ち切ることが出来ない。正に赤い糸で結ばれたかのように。
やがて夜会に出席している人々は、この2人の異様な視線に気が付き始め、舞台は緊張感が漂い始まる。
そして、この緊張感を、和らげようと客のガストーネが言う。
「歌でも歌えよ」と。
一度は固辞したアルフレードでしたが、もう、しっかりとした視線で結ばれている2人。ヴィオレッタに促され立ち上がる。
その瞬間、「乾杯の歌」の前奏が鳴り始める。
前奏曲が終わって幕が開いて「乾杯の歌」が始まるまで約5分。たったの5分。
そして、たいへんな緊張感。正にドラマである。
このたった約5分が、このオペラの命。
このたった5分が私にとって、このオペラの最大の聴き所です。

さて私のCDの棚には多いのか少ないのかは、よく分かりませんが10種類の歌劇「椿姫」の全曲CDが並んでいます。
その中で一番のお気に入りは、やはりマリア・カラスのジュリーニ指揮による1955年ミラノ・スカラ座でのライブ録音(EMI盤)です。
ただ、たいへん条件の悪いライブ録音なのが残念ですが、スカラ座の熱気と興奮が伝わって来て、やはり忘れることが出来ません。
マリア・カラスが、このオペラをEMIで、きちんとスタジオ録音を出来なかったのは痛恨の極みです。
なおEMI盤は1955年5月のライブ録音ですが、翌年1956年1月でのスカラ座でのライブ録音もあり、幕を追う毎に録音状態が悪くなるのが残念ですが、1956年の録音の方がマリア・カラスの表現力を増しているように感じることが出来、2つの演奏を聴き比べるのも面白いでしょう。
カラスの1955年のライブ録音以外では、プレートルがRCAイタリア管弦楽団・合唱団を指揮した1967年のスタジオ録音(RCA盤)が気に入っています。ヴィオレッタ役はモンセラ・カバリエ、アルフレード役はカルロ・ベルゴンツィ。定評のあるカルロスクライバー指揮のグラモフォン盤より好きです。
スタジオ録音ですがオペラの雰囲気が満ち溢れていて、このオペラを聴きたい時はプレートル盤を聴くことが多いです。

歌劇椿姫」、最初の約5分の部分だけでダラダラと書き込んでしまいました。
またの機会に、このオペラの他の場面を語ってみたいと思っています。
今回は、ここまで。