オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

歌劇「ジョコンダ」

2009年07月16日 09時33分40秒 | オペラ
この前の日曜の深夜、NHK・BS2で藤原歌劇団によるポンキエルリ作曲の歌劇「ジョコンダ」の公演の放送があり、やっと録画を見終えました。私自身、このオペラのCDは持っていますが、映像で見るのは初めてでした。
このオペラが我が国で上演されるのは、たいへん珍しい。ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトンのしっかりした歌手が必要で特にジョコンダを歌うソプラノはドラマチックな声が要求されているので、なおさらで公演を難しくしているのであろう。ただ聴き所も多くあり、第2幕のエンツォ(テノール)が情熱的に歌う「空と海」、第4幕のジョコンダが死を決意して歌う「自殺」、そして第3幕のバレエ「時の踊り」は特に有名です。
作曲者のポンキエルリは年齢的にはヴェルディとプッチーニの中間に位置していている。そしてこのオペラの台本はヴェルディの歌劇「オテロ」「ファルスタッフ」の台本を書いたボイートである。
今回、改めて聴いてみて、やはり、この作品はヴェリズモ・オペラの先駆けのように感じました。公演自体、歌手のバランスなどいろいろ思うことはありましたが、コーラスも健闘していて、このオペラを我が国で上演する自体、意義を感じました。また演出も、この数年、主流になっている「読み替え」の演出ではなくオーソドックスなものだったので助かりました。オペラに集中することが出来ました。

この歌劇「ジョコンダ」の放送の一週間前には同じ時間帯で新国立劇場でのプッチーニの「トゥーランドット」の公演の放送があり、こちらは途中で見るのを止めてしまいました。
このオペラの設定を現代のイタリアの広場で上演される仮面劇(道化芝居?サーカス?)に「読み替え」られていましたが、見ていて辛くてたまらなった。舞台はなかなか派手なものだったでしたが作品自体がだんだん小さく感じてしまった。演出がゴチャゴチャしてプッチーニの作品の持つ旋律の美しさが味わうことが出来ない。またリューの悲しみも伝わってこない。このプッチーニの最高傑作を茶化しているように感じて本当に辛かった。このような演出が今は主流なのはよくわかっています。しかし私は保守的なのかもしれませんがオペラの演出はやはり音楽を生かすものであって欲しい。ただ全ての「読み替え」の演出を否定する者ではないので誤解のないように。
「読み替え」と「斬新さ」は同じようであるが違うと思います。特にイタリアオペラの場合、旋律の美しさを生かした演出であって欲しい。私は大昔、ミラノ・スカラ座の初来日公演で見たゼッフィレッリ演出の「ラ・ボエーム」を忘れることが出来ません。舞台に目を引きつけられながら音楽の美しさも堪能できる。現在もこの演出が続いているのは、この演出の初公演の時の音楽を生かした「斬新さ」が現在も失はれていないと言う事でしょう。
最近はどうもオペラを映像で見るよりCDで聴く方がホッとすることが私は多くなってきました。オペラと正面から向き合った目が覚めるような「斬新な」演出のオペラの映像を見たいものである。