川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

死に沈むシニシズム

2007年08月28日 | 法律・海外法務
ジュリストというおカタイ法律雑誌に書いてあった,東大大沼教授の「護憲的改憲論」。間然するところがない(←内田樹の真似)。全く同感。

≪9条を維持してきたことにより,日本は国際社会で平和と経済的繁栄を享受する国家として生きていくうえで,巨大な自己欺瞞と現実逃避を体質化させてしまった。そうした自己欺瞞と現実逃避の害悪は1990年代以来増加する一方であり,日本社会全体にとって放置できない段階に来ている≫

≪9条は,日本と国際社会の双方の現実が憲法制定時と半世紀後の今日との間であまりに大きく変化しているため,法が予定し,また実際に果たしてきた諸々の役割を十分果たすことができなくなっている一例である。(中略)それはすでに,憲法という国家の最も重要な基本法への疑念とシニシズムをかなりの程度国民の間に生じさせている≫

≪海外における武力行使という,9条にとって最も論議が対立し注目を集めている問題についてこの上「解釈」という手法で国家の根本方針を変えることは,国民の憲法への信頼と尊敬を回復できないまでに傷つけ,21世紀の日本を法一般,規範一般へのシニシズムやニヒリズムがはびこる社会へと決定的に押しやってしまうのではないか≫

法治国家の国民が,国家の基本法=憲法に対してシニシズム・ニヒリズムを抱くことは許されない。それはもはや法治国家ではなくなる。

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