とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「枯葉」ジャック・プレヴェール 高畑勲訳

2006年09月24日 21時57分11秒 | 

日本には、今まで「枯葉」のキーワードを使った創作はあっても、真の意味での翻訳は紹介されていなかった。
それがついに原詩の完訳が出た。(色々な方に教えていただいて、やっと見つけました)

イヴ・モンタンなどは原詩をそのまま歌っているが、CDには後半がカットされているということも他の方からお教えていただき分かりました。
それでは、本当のプレヴェールの言いたかったこと、彼の表現したい大事な恋愛観が弱まってしまうように思います。

高畑勲さんが『ことばたち』という本を翻訳刊行されたことを教えていただいたので、読んだのです。(ぴあ株式会社――快挙)

そのなかに「枯葉」の完訳がありました。
この詩が生まれたいきさつや、プレヴェールの恋愛観などの解説もついていました。
非常に面白かった。理解が深まった。刊行は、ちょっと前になりますが。

別冊の「解説と注釈」P89~90
《「枯葉」はまず映画の中の唄である。そしてプレヴェールの詩にしばしばあらわれる「ぼく」は、プレーヴェール自身のみを指すわけではない。プレヴェールは詩の内容を個人的な心境に限定するつもりはまったくなかった。1958年、エディット・ピアフのために書かれた「心の叫び」(アンリ・クロラ作曲『おはなし』より)で、プレヴェールは自分の歌が自分だけのことを歌っているのではないことを表明するが、同時に、苦痛や苦悩は、ある時間と距離を置くことによってそれが美しい想い出の姿を取るまで待たねばならないことをも語る。

  歌うのはただぼくの声だけではない
 それはほかの人たちの声だ たくさんの声だ
    (中略)
  情け容赦なくぼくは自分の涙を踏みつぶす
   ぼくはその宣伝をやらないよ
    (中略)
   もし 個人的な悲しみのために
  非常警報器を引っ張ってしまったら
  列車は走ることなど出来やしない
   そしてぼくは景色を眺める
  もしたまたまそれがひどく醜いなら
 ぼくは待つ それがある美しさを取り戻すのを》

★この箇所には、深く共感しました。ふしぎに物事、15年、20年、30年という時をかけるとはっきりとした姿をとってくる。書くというのは、ただその姿を書き取るだけのような気がする時があります。深くは知りませんが。岸恵子さんの『30年の物語』は大好きですが、やはり全くおなじ感慨を書いておられるような気がしていますが、早とちりでしょうか?

では、最後に、せっかく色々な方に教えていただいた、本当の「枯葉」の訳を、忘れないように、書いておきます。

   「枯葉」 ジャック・プレヴェール 高畑勲訳

   ああ!思い出しておくれ
   ぼくたちが恋人だったしあわせな日々を、
   あの頃 人生は今日よりももっと美しく
   太陽はもっと輝いていた
   枯葉はシャベルで集められる....
   ほらね ぼくは忘れていないよ、
   枯葉はシャベルで集められる
   思い出も未練もおなじこと
   そして北風はそれらを運び去る
   忘却の冷たい夜のなかへと、
   ほらね ぼくは忘れていないよ
   きみが歌ってくれたあの唄を

   それはぼくらに似合う唄
   きみは ぼくを愛していた
   ぼくはきみを愛していた
   そしてぼくらは暮らしていた ふたり一緒に
   ぼくを愛していたきみと、
   きみを愛してたぼくと、
   けれども人生は 愛し合う仲を引き裂く
   やさしくそっと
   音もたてずに
   そして海は消し去る 砂の上
   別れた恋人たちの足跡を

   枯葉は積もる うずたかく
   思い出も未練もおなじこと
   けれどもぼくの愛は 黙ったまま忠実に
   いつも微笑み 人生に感謝する
   ぼくはきみをうんと愛し きみはとてもきれいだった
   どうやてきみを忘れろっていうんだい
   あの頃 人生は今日よりももっと美しく
   太陽はもっと輝いていた
   きみはいちばんやさしい恋人だった....
   だけど ぼくは未練に用はない
   そしてきみの歌っていたあの唄が
   いついつまでも ぼくに聞こえてくるだろう

   それはぼくらに似合う唄
   きみは ぼくを愛していた
   ぼくは 君を愛していた、
   そしてぼくらは暮らしていた ふたり一緒に
   ぼくを愛していたきみと
   きみを愛してたぼくと、
   けれども人生は 愛し合う仲を引き裂く
   やさしくそっと
   音も立てずに、
   そして海は消し去る 砂の上
   別れた恋人たちの足跡を。  


   

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7 コメント

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「枯葉」を探してたどり着きました。 (警備のおじ)
2008-09-20 12:07:00
はじめまして。
高校時代から親しんできたボクの好きな歌の一つなんですが、フランス語の味わいは好きなんですが、断片的にしかわからないので、邦訳詩を探してきました。
「枯葉はシャベルにかき集められる」という言葉のギクシャクさが、なんだか恋人の思い出に浸るときの心情表現の拙さをあらわしているようで、印象に残っていたみたいです。

ただこの詩は高校時代に「ジャック・プレヴェール詩集」の中で読んでいましたよ。邦訳だったと思います。
そうですか、この詩の後半は確かに聞いたことないですね。原詩のほうを探してみることにします、ありがとうございました。
「枯れ葉」の原詩です (空を飛ぶカバ)
2008-09-21 17:37:30
はじめまして。原詩を載せておきます。byヤフーfr(http://fr.yahoo.com/)
本当はparoles: Jacques Prevertの文献を確認しなければいけないのですが、時間がなく、とりあえず、ご参考になれば幸いです。高畑勲氏もこの原詩をご使用です。

http://74.6.146.244/search/cache?ei=UTF-8&p=les+feuilles+mortes&rd=r1&fr
=fp-tab-sayt1&rs=more&u=www.francehongrie13.org/1999/lesfeuilles.htm&w
=les+feuilles+mortes+morte&d=WcOkzvReReGq&icp=1&.intl=fr
(このサイトからはメロディも流れてきます。イヴ・モンタンらは参考にしてはならない)

LES FEUILLES MORTES

paroles: Jacques Prevert
musique: Joseph Kosma

Oh! je voudrais tant que tu te souviennes
Des jours heureux ou nous etions amis
En ce temps-la la vie etait plus belle,
Et le soleil plus brulant qu'aujourd'hui
Les feuilles mortes se ramassent a la pelle
Tu vois, je n'ai pas oublie...
Les feuilles mortes se ramassent a la pelle,
Les souvenirs et les regrets aussi
Et le vent du nord les emporte
Dans la nuit froide de l'oubli.
Tu vois, je n'ai pas oublie
La chanson que tu me chantais.

C'est une chanson qui nous ressemble
Toi, tu m'aimais et je t'aimais
Et nous vivions tous deux ensemble
Toi qui m'aimais, moi qui t'aimais
Mais la vie separe ceux qui s'aiment
Tout doucement, sans faire de bruit
Et la mer efface sur le sable
Les pas des amants desunis.

Les feuilles mortes se ramassent a la pelle,
Les souvenirs et les regrets aussi
Mais mon amour silencieux et fidele
Sourit toujours et remercie la vie
Je t'aimais tant, tu etais si jolie,
Comment veux-tu que je t'oublie?
En ce temps-la, la vie etait plus belle
Et le soleil plus brulant qu'aujourd'hui
Tu etais ma plus douce amie
Mais je n'ai que faire des regrets
Et la chanson que tu chantais
Toujours, toujours je l'entendrai!

C'est une chanson qui nous ressemble
Toi, tu m'aimais et je t'aimais
Et nous vivions tous deux ensemble
Toi qui m'aimais, moi qui t'aimais
Mais la vie separe ceux qui s'aiment
Tout doucement, sans faire de bruit
Et la mer efface sur le sable
Les pas des amants desunis.

Kosma Joseph
(文字化けをふせぐため、アクサンぬきの仏語です
はぁはぁ、文献を確認しました (空を飛ぶカバ)
2008-09-22 14:49:21
ただ、文献を確認。プレヤード版によると、「枯れ葉」は、やはりこの4かたまりの詩でありますので、これが正解、オリジナルと考えていいと思います。ただしプレヴェールの詩集は年代別に小分けされて出版されています。『ことばたち』は1930-45年、以後『見世物』1951年、『雨とお天気』1955、「『おはなし』1963、『がらくた』1966、『よもやま』1972、と選集が順次編集さていったのだそうですが、かならずしもその時期に書かれたものではなく、新しい作品にまじって『ことばたち』時代の詩も多く収録されていったそうです。問題の「枯葉」は、プレヴェール没後も、プレヤード叢書の全集を編集することになったラステル夫婦の手により、同様の手法でまとめられた『夜の太陽』1980、『第五の季節』1984のうち『夜の太陽』に収録されており、やはり4かたまりの詩でありましたので、「枯葉」のオリジナルは4かたまりの詩であったで、決定!
世界で一番売れた詩集 (根保孝栄・石塚邦男)
2014-03-20 02:30:18
「枯葉」のシャンソンの歌詞を作ったプレベールの詩集「ことば」は、500版を重ね、世界で一番売れた詩集として有名ですね。
世界で一番熟れた詩集 (根保孝栄・石塚邦男)
2016-09-26 19:22:38
そうか・・・シャンソンの歌詞を作ったことで有名になったということか。
プレベールの詩 (空を飛ぶカバ)
2016-09-26 22:08:58
プレベールは詩を作ったり、映画の台本を書いたり、児童文学を書いたりと、いろいろなことをしていますが、シャンソンの歌詞を書いたことはないのではないでしょうか?

「『10月グループ』が解散した1936年から1945年にわたって、約20の映画のシナリオ、台詞を書き、マルセル・カルネ、ジャン・ルノワール、ジャン・グレミヨンらの監督、ジャン・ギャバン、アルレティ、ミシェル・モルガンらの俳優と仕事をした。

撮影所仲間の作曲家ジョゼフ・コズマが、1935年の『美しい星へ』(À la belle étoile)以降、プレヴェールの詩によるシャンソンを50曲も作り、イヴ・モンタン、エディット・ピアフ、ジュリエット・グレコ、マルセル・ムールジ(Marcel Mouloudji)らが歌った。

1940年からのナチスによる被占領期は、南仏に疎開した。

1946年(43歳)、奨められて最初の単行本『パロール』(Paroles)を出版した。書き溜めた自由詩・散文詩・メモなどの寄せ集めであったが、待たれていて売れ、のちのちまで数百版を重ねたと言われる。」
ウイッキペデアより。

逆です。彼の詩にひかれて曲がつき、シャンソン歌手が歌ったのが真相ではないでしょうか?魅力的な詩だと思います。
高畑氏 (denden)
2018-04-06 12:22:17
高畑氏のご逝去から検索してきました。
このページをFBで紹介させていただきました。
事後となりますが、ご容赦ください。
ツイッターもフォローさせて頂きます。

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