とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

『わたしと遊んで』エッツ

2006年06月20日 07時36分51秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
ああ、絵本の感想文を書くのに苦しめられています。
どうしても、うまくいかない。

エッツのこの絵本は、文の少ない絵ばかり(かなり緻密)です。
ストーリーはいたって簡単。
女の子が動物たちと遊ぼうと近づいていくと、みんな逃げてしまう。
今度は、じっとして動かずにいると、動物たちが寄ってきて、さらに自由にさせておくと、今度はなかよく遊べる、というストーリー。

はっとさせられるもの、ほっとさせられるもの、強烈な安心感といったものが印象にのこりました。

さて、それを、どう言葉であらわすか。
私は、結局、人とつきあうには、こうするればいい」というふうにとり、自分を押し付けず、相手を尊重すれば、ことはうまくいく、という程度のことしか思い浮かびませんでした。

さて、どうしても、これでいいのかという後味の悪さがのこるため、また『絵本とはなにか』松居直さんにお伺いをたてました。
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p317
『わたしとあそんで』という作品は、一見、去るものは追わず、来るものは拒まずというように読めます。しかし決して消極的な作品ではありません。一生懸命においかけて行動的に働きかければかけるほど、ことが成就しない。しかし、いったん、自分、あるいは自分の場というものをすえて相手を見定めると、だんだん相手の姿が見えてくるというような、作者の何か深い体験か、ああいう一つの場所に舞台を固定させておいて、物語をあれだけひっぱってゆくという力を生んでいるのではないでしょうか。
 私たちの生活の中でもそうですが、動き回れば動き回るほど、こわれてしまうということがあります。日本人は動き回りすぎて、みんなこわしているようなものですが、ここらへんで、私たちのも自分のあるべき場所というものを考える必要があるのではないかという気がします。自分の場をもたないのが、今の私たちの生活ではないでしょうか。一体、私達は自分の場、精神的にも自分の場というものを持っているだろうか。そういうことも、あの作品を読むと、強烈に考えさせられます。

マックス・ピカートという哲学者の『沈黙の世界』という本があります。マックス・ピカートは、ことばというものは、沈黙のなかから出てくるといいます。
おしゃべりのなかから決してクリエティブなことばはでてこない。ほんとうのことばというものは、沈黙という深い世界の中から生まれてくるのだといいます。現在の人間は、沈黙の世界を自らの中に持っているのかという問いかけをしてきます。たしかに私達は、数時間、あるいは30分でも1時間でも、沈黙をしている時を生活のなかに持っていません。何かを聞いているか、しゃべっているか、見ているかです。そしてわたしたちの言葉はだんだん存在感が希薄になっています。そういうときに、エッツという人が、あのように大胆に、自分の考えを絵本の中で展開しているということに、私は彼女の強さを感じます。しかも、人にわかるように、小さい子どもにもわかるように形象化するということは、よほど深い体験を自分のなかに持っていなければできないことです。人間は自分の世界をしっかりと持っていなければ、表現などできないのだということをが、エッツの絵本を読むと実によくわかります。
 私はいろいろとエッツのことを言いました。けれども、そういうふうに読むことも問題です。なるべくこどもといっしょに遊んで、子どもが感じているものを、それぞれエッツの世界をよく現しているというそこのところを大切にし、原点にして考えていただいたほうがいいのです。知識を多くしたから作品がわかるというものではありません。子どもは、そんなことを抜きにして本の世界に入ってゆきます。そうした子どもの入り方が、いちばん正しいのです。私の言ったことにこだわらず、もう一度、子どもといっしょに作品の中に入っていただきたいと、最後に、心からのぞみます。
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以上。まだエッツについては記述がありますが......

絵本の感想文は、むずかしい、本当にむずかしい。
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