■現在の株式売買最低金額は50万円以下!
「東京証券取引所は10日、投資家が市場で株式を売買する際の最低金額(投資単位)に下限を設ける方針を明らかにした」と、マスコミが報じています。投資単位は現在、50万円以下ですが、これを「5万円以上50万円以下」に見直す方針のようです。
背景にはライブドアやシーマ等に見られた大幅株式分割と株価低下、それによる株売買最低金額の急落と取引件数の異常な増加があります。ライブドア事件で東証の取引システムが売買注文の急増に追いつかず、システム障害を起こし、取引全面停止に至ったケースは、まだ記憶に新しいところです。
普通、株の取引単位は1000株。しかし、1株から取引できる会社(例えばヤフーやNTTドコモ)、100株単位の会社(例えばソニー、ニッシン)、500株単位の会社(例えばコロワイド)など色々あり、株価の高い企業は一般に売買単位を小さくなっています。
例えばNTTドコモ株の取引単位は1株以上、12日の株価は17万1千円ですから、株式を購入する際の最低金額は17万1千円(手数料別)。同じくソニー株の取引単位は100株以上、株価が4930円ですから最低金額は49万3千円(同)となります。
■経営者は、株価を適正に維持しろ!
株価が高いときに株式分割を行い、株価を下げて、個人投資家が購入しやすくすることには意味があります。しかし、それが株価上昇を狙って意図的に行われたり、100円を割ってボロ株と言われる水準にまで下がることには問題があります。株価の僅かな値動きで利益を得ようという投機家が跋扈することになります。
例えば事業者金融ニッシンの昨12日の株価は85円、売買単位は100株ですから、株取引に必要な金額は8500円(手数料別)。小遣いにも満たない金額で上場企業の株が取得でき、しかも株主総会にも出席できるのです。これは明らかに異常であり、行き過ぎです。
ニッシンの場合、業績は順調で、決してボロ株・ボロ企業といわれるものではありません。しかし、株式分割のやりすぎで株価は100円を大きく割り込み、結果としてボロ株扱いされ、企業イメージも低下しています。
株価が異常な低水準にある企業の経営者は、業績向上や配当金増額という方法以外に、自社株買いや株式統合、売買単位の引き上げなどを行い、適正な株価水準に戻して欲しいと思います。私見ですが、適正な株売買最低金額は30万~60万円位と考えます。
以上