今朝、猫のブラッシングをする前に思わず笑ってしまった。
ブラッシング台として使っているテーブルがある。
朝の餌やりが終わり、猫トイレを掃除しているとサンタがテーブルに乗る。
ブラッシングをしてくれと言う合図らしい。
ほぼ毎回、乗る。
そうして、掃除している私をじっと見つめている。
今朝はその目をまじまじと覗き込んでやった。
目が、真面目だ。
笑っていない。
・・・
その時ふと思い出したことがある。
息子の友達のお母さんのことだ。
不気味だと言う。
話をしているとき、目の表情が一切変わらないと言うのだ。
楽しい話の時も、みんなが笑っているときも同じ目だと。
猫の目を覗き込んで、その話を思い出した。
私の妻もその方と知り合いで、時々話をするそうだ。
最近、こんな話をしてくれたという。
父親は８歳の時に丁稚奉公に出て小学校も卒業できなかった。
だから、文字も満足に書けない。
それでも事業に成功して小さい会社ながら社長になった。
社長業としては色々仕事があり、その都度社長の奥さんが着いていった。
社長の手書きがどうしても必要な時以外は奥さんが代行した。
しかし、必要なときは多い。
その都度緊張し、手が震えているのが解ったと思い出話をしたそうだ。
社長はずいぶん前に亡くなった。
この父親は母親に暴力を振るったという。
子供心に辛かったと話したそうだ。
お金には困らなかったが、家庭の幸福を味わったことが無いとも。
そんな家庭が嫌で、両親の反対を尻目に優しい夫と結婚したそうだ。
言葉少なの旦那様で、結婚以来喧嘩したことは無い。
奥さん以外、家族全員が病気持ちだがそれでも幸せだと。
病気も生死を彷徨うような悲惨な物だったと。
・・・
私も妻が病気になり、母親の介護もと大変なときがあった。
しかし、その程度はたいしたことないかもと思った。
・・・
物心ついた子供の頃から、家庭の温かさを知らずに居たとしたら。
結婚後も家族の病気と闘い続けていたとしたら。
笑いながら話すこと、知らずに過ごしたのだろうな。
サンタの屈託無く訴える目を見て、ふと思い出してしまった。
多くの動物は感情表現が顔には出ないのだと。
