徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「しあわせの絵の具 / 愛を描く人 モード・ルイス」―絵画のように優しく紡がれる夫婦の絆―

2018-05-18 12:15:00 | 映画


 日本ではあまり知られていない、カナダ画家モード・ルイス(1903年-1970年)の実話だ。
 彼女の創作活動と結婚生活に光を当てた、すてきな人間ドラマが伝わってくる。

 猫などの動物をユーモラスに誇張して描き、鮮やかな配色の草木や田舎の風景など、どれをとっても明るく愛くるしい。
 絵画は温かな描き方で、こんな絵の描き手が、このドラマのような壮絶な人生を送っていたとは・・・!
 四季折々の、厳しいけれども美しい自然を背景に、三角屋根のちっぽけな家がアトリエとなり、それもこれもがまるで芸術作品のように、時の流れを描き出している。

 アイルランド・ダブリン出身アシュリング・ウォルシュ監督の作品で、登場する夫婦の静謐な迫力が、二つの魂と交わりながら、「しあわせ」とは何かを優しく語りかけてくる一作だ。



カナダ東部ノバスコシア州・・・。
絵を描くことと自由を愛するモード(サリー・ホーキンス)は、小さな町で厳格な叔母アイダ(ガブリエリ・ローズ)と暮らしていた。
モードは兄や叔母の冷たさに耐えていたが、自立を求め、一人の男が店の壁に張った家政婦募集の広告を見て彼の家に押しかけ、住み込みで働かせてもらうことにした。
その男エベレット(イーサン・ホーク)は、魚の行商人で、町外れの粗末な一軒家に住んでいた。

モードは子供の頃から重いリュウマチを患い、一族から厄介者扱いされてきた。
一方エベレットは孤児院で育ち、学もなく、電気もない小さな家で、生きるのに精一杯だった。
やがて二人は結婚し、そんなはみ出し者同士の同居生活はトラブル続きだったが、無欲で多くを望まないモードの描く絵を5ドルで買ってくれるサンドラ(カリ・マチェット)のいるおかげで、夫婦の世界はささやかな変化を見せ始める。
そうしてモードの絵は次第に評判となり、アメリカのニクソン大統領から依頼が来るが・・・。

粗暴な魚の行商人と、家事をせっせとこなし絵も描くヒロインは行くあてもない。孤独な男女は結婚するといつも寄り添っている。
そして、貧しいが豊かな居場所を自分たちで見つけていく。
ひとつベッドに雑魚寝で、厭なら出て行けといわれるモードだが、喧嘩もするが簡単にはひるまず、絵の具を買うお金が欲しいなどとねだったり、要求は抜け目なく、まあまあ二人は結婚したわけだ。
妻は有名人となり、夫にはそれも不満でまた喧嘩したりもする。
でも、何となく仲良くなったりする。
わずか4メートル四方の家で、絵を描きながら暮らすモードを演じるのは、「ブルー・ジャスミン」(2013年)の実力派サリー・ホーキンスで、妻への愛と尊敬の念も無骨なエベレットに扮するのはアカデミー賞ノミネート組のイーサン・ホークで、このはみ出し者同士がいつしかお互いを認め合い、結婚にこぎつける過程もわかるような気がする。

粗末な家の室内の壁から外壁まで、モードは絵を描き続ける。
67年の生涯を終えるまで・・・。
主人公の病状が悪化する中で、わが手に抱かないまま別れ、養子に出された娘のことも気にかかっている。
それでもわが子との対面は望まず、その心情が胸を打つ。
そんな生き方が二人の夫婦のありかたなのだ。
これを時間が育てる夫婦の愛というのだろうか。
社会からつまはじきにされた二人が愛を育み、ささやかに生きている。
その不器用な(?)女が、何とも言えない輝きをこの作品にもたらしている。
カナダ・アイルランド合作映画「しあわせの絵の具/愛を描く人 モード・ルイス」は、小品ながら心温まる芯の通った作品で、見応えのある感動作といえる。
いい映画だ。
     [JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点
次回はフランス映画「ダリダ~あまい囁き~」をとりあげます。

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